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「5年以内にビットコインを量子耐性にアップグレードすべき」ソラナ共同創設者が警告

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

2030年の量子リスクに警鐘鳴らす

暗号資産(仮想通貨)ソラナ(SOL)共同創設者のアナトリー・ヤコベンコ氏は、量子コンピューターの急速な進歩が、ビットコインのセキュリティを大きなリスクにさらす可能性があると警告している。

その脅威に備えるために、「ビットコインを量子耐性のある署名方式に移行すべきだ」と主張した。

人気ポッドキャスト番組の「All-In Summit 2025」に登壇したヤコベンコ氏は、今から5年以内に量子コンピューターがビットコインの暗号技術を突破する可能性は”50/50”であると予測している。その理由として同氏は、AIの進化が量子コンピュータ研究を加速させている点を強調し、以下のように述べた。

なぜなら、今まさに非常に多くのテクノロジーが同時に収束しつつあるからだ。AIの進化のスピードは目を見張るものがあり、研究論文から実装に至るまでの加速度が驚異的に速くなっている。

またGoogleとAppleが量子耐性のある暗号基盤を採用したことの重要性に触れ、「今こそが移行のタイミングだ」と主張。開発のスピードを上げるよう呼びかけた。

一方でヤコベンコ氏は、一般の人々にとって量子コンピューターは処理能力の面で大きな飛躍をもたらすものであり、実現すれば、AIと同様の大きな富を生み出すものになると主張。

この分野に関わるエンジニアとしては、量子コンピューターに対して警戒し、「膨大なエンジリング作業」を行うことが必要だが、それ以外の人々にとっては、「大きなチャンス」となると述べた。

進行役のデービッド・フリードバーグ氏は、その具体例としてGoogleの量子コンピューターチップ「Willow」プロジェクトに言及した。同プロジェクトにおけるブレイクスルーは、AIによるモデリングが大きく寄与しており、AIがその実現に必要な多くの能力を引き出していると指摘。AIがプロジェクトの進展を強力に後押ししていると述べた。

業界内で分かれる見解

量子コンピュータがもたらす脅威とその緊急性について、仮想通貨コミュニティの意見は分かれている。

警告派の代表として、Googleの量子AI研究者であるクレイグ・ギドニー氏は5月に、ビットコインの暗号技術のセキュリティは量子コンピューターの急速な進歩により、リスクが増大していると指摘。ヤコベンコ氏の懸念と一致している。

Naoris Protocolの創設者兼チーフサイエンティストであるデービッド・カルバーロ氏は、量子コンピュータは非常に進歩しており、5年以内にビットコインの暗号を「解読」できる可能性があると述べた。

仮想通貨ヘッジファンドCapriole Investmentsの創設者チャールズ・エドワーズ氏は、2,500個の論理量子ビット(量子コンピュータのエラー訂正された有効なビット単位)でセキュアハッシュアルゴリズム(SHA-256:ビットコインのハッシュ関数)が破られる可能性があるとし、5~10年以内に量子脅威が現実化する可能性を約50%と見積もっている。

一方、大袈裟だとする懐疑派の意見も強く、脅威のタイムラインをより長期的に見積もる声が多い。

Blockstream社のCEOであるアダム・バック氏は、現在の量子技術はビットコインの脅威とはなり得ず、20年後を現実的なタイムラインとして予測した。 また、Bitcoin Coreの貢献者であるピーター・トッド氏も、ビットコインの暗号技術である楕円曲線署名(ECDSA:ビットコインのデジタル署名方式)を解読できる実用的な量子コンピュータの実現はまだ遠い先のことだと見ている。

さらに、米ストラテジー社のマイケル・セイラー会長は、量子リスクは誇張されており、フィッシングなどの脅威の方が深刻な問題であると述べている。これらの懐疑派の見解は、量子コンピュータのエラー訂正技術の課題や、ビットコインのアップグレード可能性を考慮したもので、警告派の緊急性を相殺する形で議論を深めている。

量子技術の進展

量子リスクについては、さまざまな意見が混在するが、量子コンピュータ向けのチップ開発は着実に加速している。

マイクロソフトは今年2月、量子コンピュータ向けのチップ「Majorana 1(マヨラナ・ワン)」を発表。Majorana 1の誕生により、数十年ではなく数年で、産業規模の問題を解決できる量子コンピュータが実現することが期待されると述べた。

Majorana 1は、世界で初めてトポロジカル絶縁体と超伝導体の性質を兼ね備えた「トポコンダクター」を使用。マイクロソフトは、この技術により新しいチップは100万量子ビットまで拡張することが可能で、最も複雑な産業規模の量子コンピュータシステムの開発への道を開くとしている。

ITコンサルティング企業SHI International Corpのコンサルタント、ファブリツィオ・ミクッチ氏は、仮想通貨業界に対して、量子コンピュータの存在を前提とした対応を呼びかけている。

大規模な量子コンピューティングが現実になる前に、仮想通貨の開発者は、ポスト量子暗号(PQC)アルゴリズムに移行する必要がある。

関連:マイクロソフト、新量子コンピュータチップを発表 仮想通貨でもセキュリティリスクが再燃か

IBMは今年6月、耐障害性量子コンピューターの実用化に向けた明確な計画を発表し、「IBM Quantum Starling」の構築を開始した。IBM Quantum Starlingは、現在の量子コンピューターの約20,000倍の演算能力を実現するとされ、2029年までにニューヨーク州ポキプシーにある新データセンターで稼働する予定だという。

このような進展を受けて、ヤコベンコ氏らは、量子技術が成熟する前に暗号技術の防御を整備することの緊急性を強調している。

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