
投資家を制限して運用か
中国大手の資産運用会社チャイナ・アセット・マネジメント・カンパニー(チャイナAMC)の香港支部は、5億ドル(約750億円)規模のトークン化ファンドを立ち上げている。BeinCryptoなどが報じた。
暗号資産(仮想通貨)イーサリアム(ETH)上でトークン化されたマネー・マーケット・ファンド「ChinaAMC USD Digital Money Market Fund Class I USD(CUMIU)」である。
投資目的は、短期預金および高品質なマネーマーケット商品に投資し、実勢のマネーマーケット金利に沿ったドル建ての長期収益を達成することだ。
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マネー・マーケット・ファンド(MMF)とは
米国の投資信託の一種で、投資家の小口資金を集め短期で運用するもの。主な投資対象は、国債など国内外の公社債や、米国の金融市場で流通している米国財務証券や譲渡可能定期預金証書、コマーシャル・ペーパーなど。1円単位で購入することができる。
トークン化プラットフォーム「Libeara」を使っており、1トークンの純資産価値は100ドル、運用手数料はわずか0.05%である。
RWA.xyzによると、このファンドは8月に運用開始し、すでに約5億200万ドル(約750億円)を運用している。総資産で11番目に大きなトークン化商品となっているところだ。なお、首位はブラックロックのBUIDLで総資産は21億ドル(約3,100億円)である。
運用資産額の規模は大きいものの、現在、CUMIUトークンを保有しているのは2社のみだ。流通を制限することでブロックチェーンの機能とコンプライアンスを検証している段階である可能性がある。
チャイナAMC香港は、昨年よりイーサリアムのパフォーマンスに連動することを目的とする「ChinaAMC Ether ETF」も提供しているところだ。
このETFは香港証券先物委員会(SFC)よりステーキングサービスを提供することも承認されている。
中国当局はRWA事業の監視強化か
中国の証券監督管理委員会(CSRC)は、香港におけるRWA(現実資産)トークン化事業を停止するよう、水面下で同国の証券会社に促していると伝えられるところだ。
ロイター通信が関係筋の話として報じたところによると、CSRCは少なくとも2社の大手証券会社に対して非公式のガイダンスを出した。
CSRCの措置は、より強固なリスク管理を確保し、RWAの提供が合法かつ持続可能なビジネスモデルに裏付けられることの保証を目的としているとされる。一方で、公式な指示を出していないため、現在の方針がいつまで維持されるかは不明だ。
中国本土では2021年より、あらゆる暗号資産(仮想通貨)取引やマイニング活動が禁止されている。これと対照的に香港では仮想通貨を推進する規制が整えられているところだ。
8月末には、中国の国有企業である深セン市福田投資控股有限公司が、イーサリアム上での公開上場RWAデジタル債券の発行を香港で完了している。
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