はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 取引所 WebX
CoinPostで今最も読まれています

American Bitcoin CEOが語る、環境配慮型マイニングの未来|独占インタビュー

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

ビットコインマイニングは大量のエネルギーを消費する環境破壊的な活動だという批判が絶えない。しかし、実際には業界全体の60%以上が再生可能エネルギーを使用し、むしろ余剰電力の有効活用を通じて再生エネルギー開発を促進している実態がある。

2025年1月、American Bitcoinは業界における再生エネルギー活用のリーダーとして注目を集めている。

同社CEOのMichael Ho氏を独占取材。ビットコインマイニング業界の進化、環境への配慮、そして国内市場への期待について話を伺った。

目次
  1. アメリカ市場
    1. ビットコインマイニングの進化
    2. トランプファミリーとの協業
    3. 環境に優しいマイニング:60%が再生可能エネルギー
    4. 2030年の業界展望
    5. ビットコインの真の希少性
  2. 国内市場
    1. 国内市場への期待
    2. マイニングの重要性
    3. 国内市場への参入

インタビュイー紹介

同社CEO Michael Ho氏

Michael Ho(マイケル・ホー)氏は、American Bitcoin Corp.の会長(Executive Chairman)およびHut 8 Corp.の最高戦略責任者(CSO)を務める。新興市場で高成長なビジネスに10年以上携わってきた起業家であり、デジタル資産マイニングのパイオニアとして2014年から業界に参入。

2017年には、機関投資家向けにデジタル資産マイニング施設の調達・管理・販売を行うビジネスを立ち上げ、現在では世界最大級の上場マイニング企業へと成長した顧客基盤を構築。

また、US Bitcoin Corp.の共同創設者としてCEOおよび取締役会長を歴任。戦略的M&A、事業変革、パートナーシップ、ストラクチャードファイナンス(資産や将来の収益を活用して資金を調達する手法)、国際貿易における深い専門知識を有し、Young Presidents’ Organization(YPO)のメンバーでもある。

アメリカ市場

ビットコインマイニングの進化

まず、暗号資産業界、特にビットコインマイニング業界への参入の経緯について教えてください。Hut 8からビットコインへ、そして現在のAmerican Bitcoinに至るまで、この数年間で業界に対する見方はどのように変化しましたか

私のビットコインマイニングでの経験は、2014年のHut 8以前に遡ります。当時のマイニング環境は、今日のデータセンターとは大きく異なっていました。数100MW規模の施設ではなく、地元の電子機器店でゲーミング用のグラフィックカードを購入してマイニングリグを作っていた時代です。当時のマイニング作業は非常にDIY的で、コンピューターサーバーを商用利用していました。

その後、ASICの登場と資本市場や機関投資家からの関心の高まりにより、業界は大きく進化しました。現在では20GWもの電力が世界中に分散配置されるまでに成長しています。業界の黎明期から現在に至るまで、この成長プロセスを目の当たりにできたことは、本当に貴重な経験でした。

ASIC(特定用途向け集積回路)
ビットコインマイニング専用に設計された高効率なチップ。一般的なコンピューターよりも高速に計算を行う。

トランプファミリーとの協業

American Bitcoinとトランプファミリーとのコラボレーションが大きな注目を集めていますが、このビジネスパートナーシップについて教えてください

これは政治的な連携ではなく、純粋なビジネスパートナーシップです。私たちが接触したのは、インフラとエネルギーに対する共通の理解と、起業家としての志の共有からでした。私たちは暗号資産分野において、ビットコインマイナーとして初期の頃から活動してきましたが、常にハードアセットインフラ(事業を支える物理的な施設や設備)に注力してきました。

私たちの仕事の多くは不動産開発と共通点があり、データセンター建設の実務、現場での生活、請負業者や電気技師との協働、サプライチェーン管理といった経験を共有してきました。エリック・トランプ氏もトランプ組織での経験を通じて、世界各地のホテル、ゴルフコース、その他の施設建設において、電気技師や配管工、重機オペレーターなどと協働してきた豊富な実績があります。

インフラとエネルギーに対する共通の理解に加えて、この技術自体が分散型金融を創造し、グローバル社会に力を与え、誰もが自分の財政を真にコントロールできるようにするという点で意見が一致しました。これは政府との関係ではなく、事業ビジョンを共有するビジネスパートナーシップなのです。

環境に優しいマイニング:60%が再生可能エネルギー

エネルギー消費と環境への影響について、多くの誤解があると聞きます。American Bitcoinの取り組みについて教えてください

これは非常に重要なポイントです。ビットコインマイニングに使用されるエネルギーの60%以上は再生可能エネルギー由来です。これは、マイナーが立地とエネルギー源に対して非常に柔軟だからです。マイニングビジネスは本質的に、余剰電力をデジタル通貨に変換する事業です。そのため、マイナーは常に最も低コストのエネルギーを求めており、それが再生可能エネルギーであることが多いのです。

私たちはテキサス州などで、風力発電所や太陽光発電所の隣接地にデータセンターを設置し、発電事業者から直接電力を調達することで再生可能エネルギー開発を支援しています。これは、私たちが「余剰電力の受け皿」として機能し、立ち上げ段階のプロジェクトを経済的に成立させるためです。

これらのプロジェクトは、送電インフラが十分でない地域にあることが多く、電力を必要とする場所に届けることが困難です。そこで私たちが介入し、これらの再生可能エネルギー開発者が電力を売却できるようにします。特に昼夜の需要が少ない時間帯には、電力を採算割れの価格で販売していることもあり、私たちがそれを引き取ることで事業を黒字化させ、さらなる再生可能エネルギー発電の拡大を支援しています。

ビットコインマイナーに関する最大の誤解の一つは、電力消費についてです。私たちは伝統的な大量消費者とは異なります。化学工場や製鉄所、重工業のように24時間365日稼働する必要はありません。私たちのマイニング施設は電力負荷を柔軟に調整することが可能です。テキサスの冬や夏など、電力コストが上昇し需要がピークに達する時期には、マイニングを縮小し、その電力を住宅や企業など、より経済的な用途に再配分できます。

つまり、American Bitcoinのマイニング事業は、風車やソーラーパネルといった自然エネルギーを活用し、環境に最も優しい形でビットコインを生産しているのです。

2030年の業界展望

2030年にビットコインマイニング業界がどのようになっているとお考えですか

これには2つの側面があります。ビットコイン自体とビットコインマイニングです。

ビットコインマイニングについて言えば、世界各国が豊富なエネルギーとエネルギー生成の重要性を認識し始めています。再生可能エネルギーであれ、原子力のようなベースロード電源であれ、多くの場合、発電設備はベースロード消費に合わせて構築されていません。そのため、発電能力と実際の消費量の間に大きなギャップが生じています。

例えば、ブラジル、フィリピン、UAEなどの国々は、発電能力の40〜50%程度しか稼働させていませんが、それでも猛暑日に全員がエアコンをつけた際のピーク需要に対応できるよう、大きな発電容量を維持しています。常に余剰発電が存在しており、この余剰発電が新規プロジェクトのエネルギーコストを押し上げる要因となっています。

ビットコインマイニング業界は、これまで経済的に活用されていなかった余剰発電に対する需要を生み出すと考えています。これにより、世界中でより多くの再生可能エネルギープロジェクトが経済的に実現可能になります。

ビットコインの真の希少性

ビットコインがデジタルゴールドとしての役割を果たすとお考えですか

マクロ経済的な観点から見ると、中央銀行がますます多くの通貨を印刷しマネーサプライが急増する中、ビットコインこそが本当の意味で希少性が保証された資産です。

金もインフレヘッジと見なされていますが、金は常に新たに採掘される可能性があります。金価格が上昇すれば、より多くの採掘と探査が行われ、供給が増加します。さらに将来的には小惑星や日本の海底から金が採掘される可能性もあります。しかしビットコインでは、価格が上昇しても、2,100万BTCという上限は決して変わりません。

さらに重要な点として、インターネット接続があれば誰でもウォレットを開設してビットコインを購入できるという、アクセスのしやすさがあります。世界の多くの人々は、銀行口座を持てず、米ドルや外貨にもアクセスできません。資本規制により、インフレに苦しむ自国通貨しか使えない状況に置かれています。

トルコの例を見てみましょう。ビットコインとトルコリラのチャートを過去5年間で比較すると、2020〜2021年にはビットコインは約10万トルコリラでしたが、今日では500万トルコリラ以上です。これは米ドル建てでは約10倍ですが、トルコリラ建てでは50倍です。これが通貨のハイパーインフレからの保護です。

将来的には、ビットコインの保有を担保として住宅ローンや従来の融資を申請できるようになると考えています。ビットコインは伝統的な金融システム内で担保として認識されるようになるでしょう。

国内市場

国内市場への期待

暗号資産規制に関して、米国と日本の違いをどのように見ていますか

日本は最近、暗号資産に対してより好意的になってきていると思います。暗号資産に対する課税が所得やキャピタルゲインよりもはるかに高い税率であることを認識しています。これにより、MicroStrategyのような企業が投資家にビットコインへのエクスポージャーを提供したり、ビットコインを保有する信託やビットコインを直接取引することが難しくなっています。

日本は海外への資本流出によって多くの機会を逃しています。10年国債の利回りを見ると、約160ベーシスポイント(0.01%を表す金融の単位)です。これは米国の10年国債よりもはるかに高く、フランスは約1%、ドイツは約60ベーシスポイントです。これを、過去10年間で平均年率約260%の成長率を示してきたビットコインと比較すると、投資資本がビットコインに流れることは自然な流れであり、国内市場でビットコインがより普及することで大きなメリットが生まれるでしょう。

マイニングの重要性

多くの国内投資家にとって、ビットコインへのエクスポージャーは主に取引であり、マイニングではありません。ビットコインエコシステムにおけるマイニングの重要性をどのように説明しますか

ビットコインマイニングには複数の利点があります。マイニングを理解する最も簡単な方法は、単にスポットビットコインを取引するのとは異なり、価格変動に対するヘッジとして機能するということです。

マイナーとして、私たちの最大のコストはエネルギーです。私たちは世界で最も安価なエネルギーを持っているため、エネルギーコストだけで約35,000〜37,000ドルでビットコインを生産できます。設備費などすべてのコストを含めた損益分岐点は約55,000〜57,000ドルです。つまり、市場価格が85,000ドルの場合、市場価格よりも大幅に低いコストでビットコインを取得できるわけです。

ビットコイン価格が上昇すると、マイニング報酬の価値も高まり、収益性が向上します。マイニング難易度も上昇しますが、それを上回る形で収益が増加します。逆に、ビットコイン価格が下落すると、より高コストのオペレーターやマイナーがマシンをオフにするため、日々のビットコイン報酬における私たちのシェアが増加し、取得コストは実質的に低下します。

国内市場への参入

American Bitcoinが国内市場に参入したり、国内取引所やエネルギー会社、インフラと協力する可能性はありますか

はい、もちろんです。最近SBI Holdingsとの対話があり、MetaPlanetについても話しました。私たちは日本の企業との協業の機会を模索しています。

日本滞在中にいくつかの企業と話し合いを持ちましたが、まだ具体的に確定したものはありません。しかし、日本のコミュニティとの対話を続けており、パートナーシップを結ぶ可能性を探りながら、ビットコインとビットコインマイニングについて一般の方々への啓蒙活動を進める方法を検討しています。

また、日本でのマイニング機会も探っていますが、コストプロファイル(事業にかかる費用の内訳やその変動要因)とエネルギー環境については継続的に評価を行っています。

CoinPost App DL
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
05/01 金曜日
16:59
SBI決算発表|仮想通貨事業が過去最高益、JPYSCローンチや貸金業参入など2026年のWeb3戦略を総括
SBIホールディングスの2026年3月期決算で、仮想通貨事業の収益が896億円と過去最高を記録。円建てステーブルコイン「JPYSC」の開発、仮想通貨担保による貸金業ライセンス取得の方針、USDCレンディング開始、Visaとの協業など、同グループが推進するオンチェーン金融戦略の全容をまとめた。
16:16
ビットコイン、短期保有者の損益が6カ月ぶりプラス転換 強気・弱気の分岐点か=アナリスト
クリプトクアントのアナリストが、ビットコインの短期保有者を対象とした損益指標の30日移動平均が6カ月ぶりにプラス転換したと報告。強気転換か戻り売りかの分岐点として注目を集めている。
14:30
ソラナ、量子コンピュータ対策でポスト量子署名「Falcon」の採用計画を発表
ソラナ財団は、ポスト量子暗号署名方式「Falcon」を最有力候補に選定したと発表した。主要クライアント開発チームのアンザとジャンプクリプトが独立研究で同一結論に到達し、GitHubで初期実装を公開している。高スループット環境での小さい署名サイズが採用の決め手となったという。
14:07
トム・リー率いるビットマインが24時間で6.5万ETHを取得=Lookonchain
トム・リー率いるビットマイン・イマージョン・テクノロジーズが24時間で約6.5万ETH(約231億円)を取得。総保有量が507万ETH超となり、長期目標として6万2,000ドルを提示した。
13:20
DatachainとProgmat、Swift連携のステーブルコイン送金システムの特許を取得
株式会社Datachainと株式会社Progmatは、国際銀行間通信協会(Swift)と連携したステーブルコイン送金システムに関する特許を取得した。既存の銀行ネットワークを活用し、AML等の規制要件を満たしつつ高速かつ低コストな国際送金を実現する仕組みである。
12:00
アニモカ・ブランズYat Siuが語る「Web4」の世界、何百億ものAIエージェントが動くインターネットの未来|Tech For Impact Summit 2026
「Web3はWeb4への基盤だった」アニモカ・ブランズ共同創業者のYat Siuが語った次世代インターネット論。AIエージェントが日常タスクをこなす時代に、所有権・真正性をオンチェーンで証明することの重要性とは。Tech For Impact Summit 2026の対談セッションをレポート。
11:30
マラソン、オハイオ州ガス発電所を約2400億円で買収 AI・HPC事業の基盤強化へ
米ビットコインマイニング大手MARAホールディングスがオハイオ州のガス発電所を15億ドルで買収する。電力・土地・水を集約したインフラでAI・HPC事業の多角化を加速する計画だ。
11:07
米国防長官、ビットコインの安保活用を認める 機密扱いの取り組みも進行中と証言
米国防長官ヘグセスが下院公聴会でビットコインを戦略的資産と認定。INDOPACOMのノード運用も明らかになり、米軍のBTC活用方針が公式確認された。
10:44
SBIホールディングス、ビットバンク子会社化に向けた資本業務提携協議へ
SBIホールディングスがビットバンクの連結子会社化を目指し、資本業務提携に向けた協議を開始。4月のビットポイント合併に続く矢継ぎ早の再編で、国内暗号資産業界の勢力図が大きく動く。IPO準備やミクシィ出資など独立路線を歩んできたビットバンクの今後に注目。
10:34
2026年4月は仮想通貨の不正流出件数が過去最高に
DefiLlamaは、2026年4月は仮想通貨の不正流出件数が過去最も多かったと報告。ケルプDAOやドリフトプロトコルなどで盗難が多かったことを他の企業や有識者も指摘している。
10:00
ポリマーケット、チェイナリシスと提携 インサイダー取引など検知強化へ
ポリマーケットがチェイナリシスと提携し、インサイダー取引検知を目的としたオンチェーン市場監視システムを導入。予測市場のコンプライアンス強化に向けた新たな業界標準の確立を目指す。
09:34
4月のビットコイン上昇は投機が牽引、現物需要縮小で下落リスク=クリプトクアント週次分析
クリプトクアントのビットコイン市場週間レポートによると、4月のBTC上昇は先物主導で現物需要は縮小していた。これは2022年の弱気相場に先行していたパターンである。
08:45
日本暗号資産ビジネス協会、ステーキング運営指針を策定=日経報道
日本経済新聞は、日本暗号資産ビジネス協会が仮想通貨のステーキング事業者向け運営指針を策定したと報じた。政府による金融商品取引法の改正や、日本取引所グループ(JPX)による仮想通貨ETF上場検討など、国内市場の法整備の動向である。
07:50
ワサビ・プロトコルから約7.8億円が不正流出か
仮想通貨トレーディングプロトコルのワサビ・プロトコルで不正流出が発覚。約7.8億円が流出したとみられ、イーサリアムなど複数チェーンに影響している模様だ。
07:45
米民主党議員、テザー社から米商務長官親族への融資を問題視 
ウォーレン米議員らは、ラトニック商務長官の親族が管理する信託に対し、テザー社が行った不透明な融資に関する調査書簡を送付した。長官就任に伴うカンター・フィッツジェラルド株式売却の資金提供の疑いや、今後の仮想通貨法案への影響など米政界の最新動向となっている。
今から始める仮想通貨特集
通貨データ
重要指標
一覧
新着指標
一覧