
コインベースやロビンフッドに一時不具合
米アマゾンのクラウドコンピューティング事業アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)の障害により20日、様々なオンラインプラットフォームが影響を受けた。暗号資産(仮想通貨)関連では、コインベースやロビンフッドなどが障害を報告している。
今回の出来事は、世界中のデジタルサービスがAWSという集中型クラウドプロバイダーに大きく依存していること、そのプロバイダーがダウンした場合の影響範囲の大きさを浮き彫りにするものともなった。
コインベースのサポートチームは20日、AWSの障害により、多くのユーザーがコインベースにアクセスできない状態にあると報告。取引や送金など、多くの主要機能が利用できない状況だとも続けていた。
その後21日、コインベースはシステムが復旧したと発表。今後、不安定な状態が続くことは予想していないが、引き続き状況を注視していくとしている。
また、株式や仮想通貨の取引アプリであるロビンフッドも20日、同社のサードパーティー・ベンダーの一つであるAWSの障害に影響を受けていると報告。21日には通常の状態に復旧したと述べた。
今回の障害では銀行や大学の教育システム、任天堂のゲーム、音声アシスタント「アレクサ」など様々な分野のサービスに影響が波及している。
アマゾンによると、太平洋標準時夏時間(PDT:米国西海岸で使用される時間)の10月19日午後11時49分から10月20日午前2時24分までの間、米国東部のAWSサービスにおいてエラー率が上昇した。
その結果、Amazon.comやアマゾン子会社、AWSサポート業務に影響が発生。チームは、DynamoDBというAWSのデータベースサービスにアクセスするためのアドレス(ドメイン名)が、一時的に変換できなくなったことに原因があると判断して解決に取り組んだ。
その結果、20日午後3時01分までに、すべてのAWSサービスが通常運用に戻ったと報告している。
関連:ウォルマート・アマゾンが独自ステーブルコイン検討、競争激化でビザとマスターカード株価急落
今回の障害を受けて、改めて分散型クラウドソリューションに注目する声も上がった。データとオペレーションを中央集権的な少数の主体が管理するのではなく、多数のノードに分散させることで、単一障害点を排除できると主張する形だ。
こうした分散型クラウド技術には現時点でレイテンシー(処理時間)やスケーラビリティといった課題があるものの、地政学的ハードルを回避し、中央集権型プロバイダーがオンライン状態を維持できない状況でもオンライン状態を維持できるなどのメリットがあるとされる。
2025年4~6月期におけるクラウド市場のシェアでは、AWSが30%、マイクロソフトAzureが20%、グーグルGCPが13%を占めている。
Web3・ブロックチェーン分野では、クラウド含めて分散型物理インフラネットワーク(DePIN)の可能性についても注目されているところだ。
例えば、ソラナ(SOL)ベースのプロジェクトXNETはWiFiホットスポットの分散ネットワークを提供するものだ。4月には米国の通信大手AT&Tとの提携を発表した。
その他に、分散型クラウドを提供するポケットネットワーク(POKT)や分散型LoRaWAN(IoT向け無線通信技術の一種)ネットワークのヘリウムも存在する。
関連:ソラナ基盤DePIN「XNET」、通信大手AT&Tと提携 WiFiホットスポット提供へ