はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習 WebX
CoinPostで今最も読まれています

仮想通貨の損益計算ツール「クリプタクト」|投資家支援プラットフォームの構築へ

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

クリプタクト Co-CEOへインタビュー
誰もが暗号資産(仮想通貨)のメリットを簡単に享受できる社会を目指し変革を推し進める、仮想通貨の損益計算ツールなどを提供するクリプタクト。仮想通貨の魅力や、税制の今後などにも言及。また同社が見据える将来の展望についても語られる。
株式会社Cryptact(クリプタクト)とは
2018年1月、Cryptact創業メンバー3人は元ゴールドマン・サックスで前職ではヘッジファンドと呼ばれる絶対収益型のファンドで運用を担当しており、そのシステム開発を行うエンジニアと共に設立しました。

▶️公式ホームページ:株式会社Cryptact

▶️Twitter:クリプタクト(@Cryptact)

暗号資産(仮想通貨)損益計算のクリプタクトを取材

2月1日付で、株式会社クリプタクトの代表取締役Co-CEOに就任した斎藤 岳 氏へインタビューを行いました。

撮影:CoinPost

―簡単な自己紹介をお願いします。

私は2007年に東京大学の大学院を卒業し、新卒でゴールドマン・サックスに入社して以来、投資家としてのキャリアを歩んでいました。

まず最初に戦略投資部に配属され、業務としてゴールドマン・サックスの資金を使い、未上場株や不良債権、ローン、不動産、船舶投資など、ありとあらゆるものに投資をしていました。

その後、その部署を移動し、上場株や国債、為替、金利、CDSやデリバティブなどのアセットに投資を行うチームのヘッジファンドマネージャとして、最大800億円のポートフォリオを運用した経験も持ちます。

そうした業務などを通して、資本主義におけるビジネスのルールや仕組みを知ったり、様々な情報を集約し一つの結論を導き出しベットするという投資家としてのマインドセット、カウンターパーティとの交渉術、契約書の作成、投資先企業へのマネジメント業務のノウハウなどを身につけることが出来ました。

それらが、つい最近まで行っていた仕事となります。

世界的金融企業ゴールドマン・サックスからクリプタクトを設立した経緯をお聞かせください。

三年ほど前に同僚だった、共同創業者のアミンと増田と話をしたのがきっかけでした。

その当時、私は自分のキャリアを一生投資家としてやっていくと思っていました。

クリプタクトを設立したきっかけというのは本当に単純で、幸いなことに、当時、投資家としてのキャリアは成功を収めていましたが、投資家としてのキャリアよりもクリプタクトのビジネスを進めたほうが楽しそうだな、と思ったのがきっかけでした。

―クリプタクト設立後に苦労したことはありますか。

設立後、自用目的で当初作っていたサービスの「grid@cryptact」が、仮想通貨の損益計算に困っている方から支持を受け、既に3万人以上の方にご利用いただいており、非常にありがたく感じております。

我々はプロダクト自体には、すごく自信があるんですけれども、一方で、それらプロダクトを上手にマーケティングするという部分で苦労しています。

とはいえ、自分たちが考えているビジネスの理念や、やりたいことにご賛同をいただいた投資家の方から、去年資金調達を行いまして、初年度としては、苦労というよりは、良い意味でのサプライズが多かった年なのかなと思っております。

撮影:CoinPost

ゴールドマン・サックス時代に扱っていた伝統的な金融商品から、なぜ仮想通貨に興味を持たれたのでしょうか。また、仮想通貨の魅力をどのように捉えていますか。

私自身が初めてビットコインを知ったのは、2012年のギリシャ危機の際にギリシャやキプロスの人がビットコインを買っているとの記事を見たときでした。正直、その当時はビットコインというものにかなり懐疑的でした。

それから4年ほど経ったときに、共同創業者のアミン、増田と話した時に、「そういえば、2009年からシステムが完全にダウンしたことがなく動いているビットコインって一つの社会的実験としては成功を収めたんじゃないか。もしかしたら、その先にあるトラストレスな分散型社会の一つの例になるんじゃないか。」という話で盛り上がり、ひょっとすると10年、20年というスパンで社会が大きく動くかもしれないと、そのとき思い始めました。

「決められたルールの下、コンセンサスに基づいて管理、発行されていく」という多くの仮想通貨の特徴は、中央銀行がその責任において管理、発行する法定通貨と大きく異なる一方で、通貨として基本機能は成立させてしまっている、という点で魅力かなと思います。

―バブルが弾け、低迷している今の仮想通貨市場をどう思いますか。

この段階で価格について言及しても意味はないと思っていますが、一投資家として意見を言うと、過去を振り返ると少なくともビットコインは10年の歴史があって、こういった局面は何度もありましたし、それはあまり珍しいことではないのかなと思います。

多分、経済的な意味で価格よりも大切なのことは、例えばビットコインであれば、通貨としてどれぐらいの量が決済に利用されたのか、あるいはドルや円、ユーロなど主要な法定通貨の取引の流動性がどれほどあるのかということだと思います。

ビットコインの場合、主要な法定通貨との流動性でいうと、それなりの規模があるにはあって、その流動性とビットコインの時価総額という形で見ると、法定通貨の南アフリカランドと比べて一回りか、二回り小さくしたぐらいの規模になっています。

一方で、決済金額を見た場合、ビットコインは世界中で決済できるという強みはあるものの、南アフリカランドと比べ規模は断然小さい。

これはトラストレスな仕組みを保証する技術や理論の発展というのも非常に重要ですが、それと同時に、人々がそれを信用して共通の価値観として受け入れるのかどうかという、社会全体のイデオロギーに関わってくるのではないかと思っています。

特にP2Pの分散型社会というのを考えた場合に、それを言い換えると、個人の自己責任が大きな社会になるので、今後そういった概念がより受けられていくことが最も必要なことなのかなと思っています。

自分たちとしては、そういったトラストレスな分散社会、そして、それらが引き起こす自己責任の時代というのは、徐々に拡大して受け入れられてくるものだと思っていて、そういった流れの中で、仮想通貨の価値をどう見ていますかということを考えると、そういった価値観が受け入れられた時に、初めて価値というものが醸成されて残っていくのかなと思います。

撮影:CoinPost

税金計算サービスを提供されております。類似する他社のサービスも存在しますが、クリプトタクトの強みは何でしょうか。

今展開しているサービス「grid@cryptact」に関して言えば、技術的な側面と事業の視点の二つがあります。

技術的な面で言えば、弊社のシステムはスケーラビリティの効いたシステムとなっているところです。 そこが一番の強みなのかなと思っています。

具体的には、大量の取引件数、大量の通貨の種類、大量の価格データや、大量のユーザーをいかに短時間かつ効率的に処理するのかという点に注力しており、こういった視点やスケーラビリティというのは金融の大量取引処理に必要不可欠な視点でして、当社のシステムは金融機関の最先端のシステムに負けないレベルにあると自負しています。

また、それらを開発している技術者が仮想通貨だけではなくて、金融だったり、会計、税務などの知識をもっていることもポイントでして、理解している人が直接開発することで、スピーディかつミスの少ない開発が行われています。

事業の視点でいうと、我々は損益計算サービスを主たるサービスとして捉えておらず、投資家としての視点に立った場合に、投資をする上で必要となってくる、あるいは、あると便利なツール、サービスの提供が我々のビジネスとして捉えています。

損益計算はあくまで、その中の一つでしかなく、我々が展開している「grid@cryptact」の中に、今後、色々なサービスを展開し、包括的な一つのプラットフォームとして利用できる予定で、それが大きな利点となってくると思います。

やはり、損益計算だけしかできないサービスよりも、複合的なサービスを一括で受けられる方が、利便性が高いと思っています。

―設立以来、ユーザーの増加数はどのように推移していますか。

ユーザー自体は、もちろん増加しています。ただ去年は、仮想通貨自体が右肩下がりだったので、納税のための損益計算の需要というのは間違いなく減っています。

ただ一点加えると、当社のサービスは英語版ができており、かつ、ドル建て、ユーロ建てでも全く同じ機能が利用でき、かつ、アメリカの税制に従った計算方法も行うことができます。

要するに、グローバル展開が可能であることを意味しており、実際すでに我々のサービスはグローバル展開を開始しております。

日本だけではなくて、世界のユーザーを相手にサービスを展開しているので、特定の地域のユーザーを超えた成長があると捉えております。

実績としても、海外のユーザー数は、前年に比べて数十倍になっております。

撮影:CoinPost

今の仮想通貨の税制に関して、どう感じていますか。

もし仮想通貨が金融商品の枠組みに入っていくのであれば、時期的なことはわかりませんけれども、税制も分離課税の方に向かって動くのではないのかなと思っています。それが自然な流れなのかなという感覚を持っています。

損益がわからないと、税金も分からないといいますか、税率はそのあとの話なので、送金が自由に可能な仮想通貨の仕組み上、最終的な損益計算というのは取引所ではなく、お客様ご自身で行う必要があるので、そういったところで、弊社が引き続きサポートできればと考えております。

クリプタクト最大の課題は何でしょうか。

我々の中の課題としては、損益計算のサービスですと、マーケットの動向に非常に大きく影響を受けます。

利益が出るマーケットでは(損益計算サービスの)需要は大きいですし、それがないと需要は減ります。

やはりマーケットの変動による影響をなるべく最小化できるような、損益計算以外のサービスをいかに拡充していくかというのが課題であると捉えています。

―今後の展望や目標をお教えください。

「grid@cryptact」を本当の意味での投資家支援プラットフォームとすべく、様々なサービスをこのプラットフォームの上で展開していくことが目標となっております。

去年ベンチャーキャピタルからの資金調達を行い、「grid@cryptact」上でのサービス展開にあたりますので、今年、来年が勝負の年なのかなと思っています。

他にも「grid@cryptact」に関係なく、そういうITサービス業の枠を超えて、我々のキャリアを活かした金融商品や新しい商品の開発を手がけたいなと考えています。

特に仮想通貨はボラティリティが高いですが、価格変動リスクをヘッジする手段が非常に乏しいです。

そこには、大きな潜在的需要があると考えており、こういう部分に弊社が貢献できる部分が存在すると思っています。

企業紹介

株式会社Cryptact

Cryptactは、bitFlyerと業務提携したことでも有名な仮想通貨の実現損益計算サービスtax@cryptact及びポートフォリオ管理ツールportfolio@cryptactをサービス提供している企業。

出典:Cryptact

創業メンバー自身が行っていた仮想通貨取引の損益計算を簡単にするために、2017年に自用目的で開発したのがtax@cryptactの始まりで、機関投資家が利用するような高度なシステムを個人でも使用できるサービスとなっています。2018年11月には、reports@cryptactと称して、元ヘッジファンド運用担当者による仮想通貨マーケットの分析レポートの配信も開始いたしました。

公式ページはこちら

出典:Cryptact

CoinPostの関連記事

3月に迫る確定申告、仮想通貨にかかる損益計算の課題と解決方法 | 『Cryptact(クリプタクト)』
煩雑な仮想通貨の損益計算を簡単に 2019年になり、確定申告へ向けた損益計算を始めている...
ハードフォークで取得した仮想通貨など「特有の事象」に関する税金計算方法を解説 | 寄稿『Cryptact(クリプタクト)』
仮想通貨特有の損益計算方法 今も成長を続ける新たなテクノロジーである仮想通貨。その成...
CoinPost App DL
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
12/15 月曜日
17:41
分散型AIトークンのFET、 Binance Japanで取扱い開始【国内初】
Binance Japanが国内初となるFET(Artificial Superintelligence Alliance)の取扱いを開始。本記事ではASIアライアンスの概要、FETの用途、将来性、想定されるリスクを解説する。
16:45
なぜSBI新生銀行は投資家に選ばれる? 圧倒的優位性を持つ「SBI証券」との連携メリットを解説
SBI新生銀行が投資家に選ばれる理由は、SBI証券との圧倒的な連携メリットにあります。預り金自動スィープサービスで入金操作不要、年4.2%の高金利預金で待機資金を運用。IPO投資、NISA口座、資産一元管理まで、他の銀行では実現できない理想的な投資環境を徹底解説。
14:36
リップル決済、欧州初の銀行採用 スイスのAMINA銀行と提携
リップルがスイスのAMINA銀行と提携し、欧州初のリップル決済導入を実現。ブロックチェーンと従来の銀行システムを統合し、ほぼ即時の国際送金サービスを提供。両社の協力関係はステーブルコイン保管から決済へと拡大。
13:44
イーサリアム「フサカ」実装直後にPrysm障害、1.8億円の報酬損失が判明
イーサリアムの大型アップグレード「フサカ」実装直後、Prysmクライアントでバグが発生し382ETH(約1.8億円)の報酬機会が失われたことが判明し、ネットワークの堅牢性においてクライアント多様性の重要性が再確認された。
13:22
英国、2027年に仮想通貨規制を本格導入へ 政治献金も禁止方針
英国財務省が2027年施行予定の仮想通貨規制案を策定中。英国金融行動監視機構の監督下で取引所やウォレット企業に透明性基準を義務付け、消費者保護を強化。仮想通貨による政治献金も禁止へ。
10:50
ストラテジー、ナスダック100指数への残留決定 ビットコイン買い増しの意欲示す
世界最大のビットコイン保有企業ストラテジーのナスダック100指数への残留が決定した。セイラー会長はビットコイン追加購入への意欲を示唆している。
10:41
日銀30年ぶりの0.75%利上げ見込み 仮想通貨市場への影響は?
日本銀行が12月19日の金融政策決定会合で政策金利を0.75%に引き上げる方針。30年ぶりの高水準となる利上げが、円キャリートレード巻き戻しを通じてビットコインなど仮想通貨市場に与える影響を分析。米FRBのQT終了による影響緩和の可能性も解説。
10:10
2025年末までに済ませておきたい仮想通貨に関する税金と確定申告への準備|Gtax寄稿
仮想通貨の税金の仕組みと、年末までにできる節税対策を解説。損益圧縮やふるさと納税・iDeCoの活用法、確定申告に向けた取引履歴・経費の整理ポイントをまとめています。
08:50
米SEC、個人投資家向けの仮想通貨保管ガイドラインを提示 姿勢転換示すか
米証券取引委員会が個人投資家向けにビットコインなど仮想通貨を保管する方法に関して推奨事項を提示した。ウォレットの選び方やカストディアン選定の注意点を解説している。
12/14 日曜日
14:00
今週の主要仮想通貨材料まとめ、トム・リーのイーサリアム相場分析やXRP現物ETFの連続純流入など
前週比で振り返る仮想通貨市場の最新動向。ビットコインやイーサリアム、XRP、ソラナといった主要銘柄の騰落率や注目材料を一挙紹介。市場トレンドと関連ニュースを詳しく解説する。
11:30
来週の米雇用統計に注目、労働市場減速ならビットコイン相場に追い風か|bitbankアナリスト寄稿
BTC相場は1450万円周辺で推移。FOMCで利下げ決定、流動性供給再開で中期的な下支え期待。来週の米雇用統計で労働市場減速が示されれば、追加利下げ観測強まりBTCの追い風となるか。
11:00
週刊仮想通貨ニュース|仮想通貨税制に関する国会質疑に高い関心
今週は、ストラテジーによるビットコイン押し目買い、仮想通貨税制に関する国会質疑、仮想通貨マーケットメーカー大手Wintermuteの市場分析レポートに関する記事が関心を集めた。
12/13 土曜日
14:05
米インタラクティブ・ブローカーズ、ステーブルコインでの口座入金を開始
ステーブルコイン入金を導入 ブルームバーグが報じたところによると、オンライン証券大手インタラクティブ・ブローカーズ・グループが、個人証券口座へのステーブルコインによる入金を可能…
13:35
仮想通貨業界団体ら、シタデルに反論 「DeFiは仲介事業者ではない」
DeFi教育基金など仮想通貨業界団体らが米SECに書簡を提出した。シタデル・セキュリティーズによるDeFi規制要求に反論し、自律的ソフトウェアは仲介者に該当しないと主張している。
11:55
ブラジル金融大手イタウ、3%のビットコイン配分を推奨
ブラジルの金融機関イタウがポートフォリオの1%から3%をビットコインに配分するよう推奨した。米国のバンク・オブ・アメリカやモルガン・スタンレーも最大4%の配分を提案している。
通貨データ
グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧