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ビットコインを売らずに家が買える? コインベース仮想通貨住宅ローンの仕組みを解説

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

この記事のポイント
  • BTC担保250%必要、追証なしの固定金利設計
  • 2本のローンを統合、月1回の支払いで完結

仮想通貨担保の住宅ローン登場

コインベースが26日に発表した、ビットコイン(BTC)またはUSDCを担保にした住宅ローンサービス。米政府支援機関「ファニーメイ」の裏付けを持ちながら、なぜ価格変動の激しいBTCを担保にしても追証が発生しないのか。本記事では、コインベースと住宅ローン会社ベター(Better Home & Finance)が組んだこの新サービスの仕組みを解説する。

仕組みは2本のローンを組み合わせた構造だ。借り手は自身のコインベース口座のBTCまたはUSDCを担保に差し入れ、頭金相当額の別途ローンを調達する。この頭金ローンと本体の住宅ローンは同一の金利・返済期間(15年または30年固定)で設定され、月々の支払いは1本にまとめられる。例えば50万ドルの住宅購入時、25万ドル相当のBTCを担保に差し入れることで10万ドルの頭金ローンを得られる設計だ(BTCの場合、頭金額の250%相当の初期担保価値が必要)。

従来の仮想通貨担保ローンと最も異なる点は、追証(マージンコール)が発生しない仕組みにある。BTC担保には頭金の250%相当の初期担保が必要だが、一度ローンが組成されると、BTCの価格変動に関わらず返済条件は完全に固定される。市場がどれだけ変動しても、月々の支払い額、金利、返済スケジュールは一切変わらない。

この設計により、価格下落だけでは強制清算やマージンコールは一切発生しない。公式発表では「市場変動だけでは決して清算されない(Market movements alone never trigger liquidation)」と明記されており、借り手が毎月期日通りに支払いを続けている限り、BTC価格が暴落してもローン条件に影響はないという。

また、担保のBTCはベターのコインベース・プライム口座で保管され、ローン完済まで売買はできないが、価格下落だけでは強制清算されない。担保が失われるのは60日以上の返済延滞による債務不履行時のみで、通常の住宅ローン延滞と同じ法的プロセスに従う。

従来の仮想通貨担保ローン(DeFiやCeFiなど)では、担保価値を毎日マーク・トゥ・マーケット(毎日市場価格で評価し直す仕組み)し、LTV比率が悪化すると即時マージンコールや自動清算が発生するが、コインベースの住宅ローンサービスではそうした継続的な価格監視や調整は一切行われない。初期の高い過剰担保と固定条件の住宅ローン構造により、ボラティリティの影響が排除されている。

米国では住宅取得コストの上昇が深刻で、2025年第2四半期時点で中間所得世帯が住宅ローン返済に収入の36%を充てる必要があり、低所得世帯では71%に達している。

初めて住宅を購入する年齢の中央値は40歳まで上昇しており、現金資産の乏しい若年世帯には特に高いハードルとなっている。コインベースはこうした背景を踏まえ、仮想通貨保有者の住宅取得機会拡大を狙いとしてこのサービスを位置付けていると説明した。

コインベースのメンバーシップ制度「コインベース・ワン」加入者がベター経由でローン審査を通過した場合、住宅ローン金額の1%相当(上限1万ドル)のクロージングコスト・クレジットが受けられる。またUSDCを担保に使う場合、ローン返済中もUSDC報酬を継続して受け取ることができ、月々の返済負担を一部相殺できる設計となっている。

コインベースはこのサービスを「仮想通貨を規制下の政府支援システムで活用できることの証明」と位置付けており、仮想通貨担保ローンやUSDCレンディングと並ぶ金融サービス拡充の一環として捉えている。

一方、BTC価格が急落した場合に担保価値が大幅に毀損するリスクや、こうした商品が広く普及した際に米国住宅ローン市場全体に新たな系統的リスクをもたらしうるかどうかについては、規制当局や市場関係者の間で議論が続いている。仮想通貨保有者の裾野が広がる中、実物資産取得への活用が進むかどうかとともに、リスク管理の枠組み整備が今後の焦点となりそうだ。

関連:コインベース、仮想通貨担保の住宅ローンを発表 米ファニーメイの裏付けで信頼性向上

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