- 投資番組の価格予想、仮想通貨市場の逆指標に
- 米投資番組で強気な発言が放送されるタイミングで市場が逆に反応するとの意見が再度相次いでいる。最新投資番組でビットコイン2万ドルを語った内容と、トレーダーの指摘から考察する。
投資番組の価格予想、仮想通貨市場の逆指標に
米国の投資番組で行われる仮想通貨に関する発言が、相場の逆指標になっていると海外で相次いだ指摘が行われている。
これは、米国で人気を博す投資番組「Fast Money」や「Squawk Box」などでの一幕で、仮想通貨の市場に関するアナリストの分析を紹介するコーナーに反応して、市場が変動するといったものだ。
特に番組で有名なBrian Kelly氏やTom Lee氏などの著名分析家の分析は金融市場全般でも有名であるが、明確なファンダメンタルズ要因が乏しい仮想通貨市場の分析は実相場から大きくずれ込むことが多々見受けられた。
昨年末の市場は通常の金融市場の想定下落水準を大きく下回る長期的な下落相場が続いたため、ポジティブな要因を上回る売り圧力が市場予想とは異なる動きに繋がったとの見方もある。そのような経緯を経て、米投資番組の仮想通貨市場予想が、実際の相場の逆指標として定着しつつあるようだ。
4月11日の最新番組にて
4月11日の「Fast Money」でも米投資アナリストBrian Kelly氏が、ビットコインが今後2年間で最高値の200万円を突破するだろうと前向きな予想を語る。
Bitcoin is up more than 30% this month and @BKBrianKelly says it could hit new highs by this date… pic.twitter.com/afC58AqIGW
— CNBC's Fast Money (@CNBCFastMoney) 2019年4月10日
市場予想の見解としては、ビットコインの半減期前後の今後2年間がカギとなるなど、長期目線の予想を展開している。
「ビットコインは2年おきのサイクルで動く傾向がある。来る2020年にはビットコインの半減期が予定されており、機関投資家の参入が進めば余裕でビットコインは最高値を更新するだろう。」と語り、現市場が上向きに転じてきた具体的な理由を4点挙げた。
- アクティブアドレスの増加(1月比+26%)
- トランザクション量が2017年水準
- CMEビットコイン先物出来高が過去最高水準に到達
- フィデリティなどの機関投資家の参入
Kelly氏はまずビットコインの実需を示すアクティブアドレス数の増加を上昇の要因と説明する。
アクティブアドレスは一般的に過去24時間以内に仮想通貨の取引が行われているアドレス数を指す指標で、複数の仮想通貨データサイトで確認できる。アクティブアドレスによるビットコインの分析はTom Lee氏も先週の投資番組出演時にもビットコインの適正価格は現在の約3倍に当たる14000ドルだと分析する際に指摘した指標だ。
ほかにもビットコインのトランザクション数増加がビットコイン価格が価格急騰時の2017年水準に到達したこともポジティブ要因として挙げた。誕生から約10年でこの大台に到達したビットコインの取引回数はデータを観察したところ、価格急騰時に増加する傾向が確認されていると分析する。
なお、4月2日にビットコインが52万円を突破した際、トランザクション数の急上昇が確認され、歴代9番目の日間トランザクション数を記録している。
またCME(シカゴマーカンタイル取引所)が提供するビットコイン先物取引においても価格上昇に比例して出来高が上昇、上昇前水準比で950%高を記録した。特にCboeが出来高減少を理由に先物提供を一時取りやめしていた直後の動きであり、伝統取引所での進捗に業界が注目した。
以前から指摘されていた逆指標の疑惑も
このように複数の意見から20000ドルのラインを突破できるとの見解を示したKelly氏だが、放送のタイミングで市場が下落したため再度コメント欄には逆指標との指摘が相次いでいる。
オランダのアムステルダム証券取引所に所属する有名トレーダーMichaël van de Poppe氏も「いつもありがとう!ショートを入れた。」とコメントを残したほか、番組放映タイミングで機械取引であるBOTが反応しているとの意見も見られた。
Thanks, I’m short. Much appreciated guys! Continue the performance.
— Crypto Michaël (@CryptoMichNL) 2019年4月10日
なお、このような動きはこれまでも指摘されてきたもので、投資番組内のビットコイン価格予想が逆指標となっていると指摘するレポートも公開されている。
昨年8月Tradingviewで投資家のJacob Canfield氏がCNBCの仮想通貨に関する報道を価格チャートに当てはめたところ、95%の確率でCNBCが予想していた結果と逆の値動きをしていることが確認されていたという。
赤は価格下落など仮想通貨に対して弱気またはネガティブ的なツイート、緑は仮想通貨に対してポジティブまたは強気なツイートを表している。
投資番組が強気なツイートをした場合はほとんどが価格の天井で行われているケースが多いため、強い売りシグナルとなるとCanfield氏は説明。反対に投資番組から仮想通貨に対して弱気なツイートが発信されると「下向きの動きが終わることを示唆している」傾向をデータで示した。
これらのレポートが示したことで、ある意味での市場判断材料と見られている可能性があるが、今後トレンド転換が明確に見られれば状況は好転する可能性もある。
ビットコイン価格は先週50万台を突破してから53万円を下回っておらず、今週に入ってからは57万円台を推移、Kelly氏が予想するように半減期などを要因に上昇基調を継続するとの見方もある。短期的な逆指標として捉えられている一方で、今後の長期的な市場展望では注目したい見解だ。
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