- APEJのブロックチェーン支出は2022年までに2000億円超に
- 日本を除くアジア太平洋(APEJ)のブロックチェーン支出は3年以内に2664億円に達する見通し。ブロックチェーン支出の製造や流通分野での急増など、様々な側面から同技術の普及を示すデータもみられた。
APEJのブロックチェーン支出は2022年までに2000億円超に
IT専門調査企業IDCが、世界全体のブロックチェーンへの支出額予測を発表した。同社のレポートによると、日本を除くアジア太平洋(APEJ)のブロックチェーンへの支出は、2019年内に2018年から83.9%増の5.2億ドル(581億円)、2022年までに24億ドル(2664億円)に達するという。2018年から2022年の5年間の年平均成長率(CAGR)は77.5%と予測されている。
また、同レポートによると、銀行、証券、投資サービス、保険といった金融分野が、分野別では最もブロックチェーン支出が高く、今年は2.9億ドル(約327億円)に達する見通し。それに次ぐ分野が製造/資源分野で9500万ドル(105.5億円)、サービス/流通分野は9100万ドル(101億円)になるとみられている。
2018年から2022年までで最もブロックチェーン支出の成長率が高いとされるインフラ分野については、年平均成長率は99.6%。製造/資源分野が次点で83%となっている。
貿易金融とポスト・トレード/取引決済においては8210万ドル(約91.1億円)、国際決済と決済では7900万ドル(約78.9億円)と、その2つはブロックチェーンのユースケースで2019年最も資金が投入された金融分野中の業界である。なお、銀行業界がその2つにおける最も巨大な出資者となっている。
また、2019年のAPEJのブロックチェーン支出は世界全体の18.4%を占めるとレポートでは予測されている。これは、米国の37.6%、西ヨーロッパの23.7%に次ぐ形で3番目に高い割合である。なお、2022年までにAPEJのブロックチェーン支出の70%が中国によるものになるとの予測もでている。
レポートは、今後様々な分野、地域でブロックチェーンが普及していくことをデータから予測しているが、特に発展途上国でもその兆候がみられることは注目に値するだろう。
それに加えて、これまではブロックチェーンのユースケースとしては金融分野でのものが目立っていたが、今後は製造/資源とサービス/流通といった分野でも高い成長率をもって普及していくことが予測されている点も興味深い。
そのような状況からは、様々な業界がビジネスにおけるブロックチェーンの活用に強い興味を示している様子がうかがえる。そして、これまでブロックチェーンの採用に消極的であった業界からの新たなユースケースにも期待ができるだろう。