- オーストラリア準備銀行が公式文書を発表
- オーストラリア準備銀行(RBA)が、仮想通貨に関する公式文書を公表した。価格変動性などから、「近い将来に仮想通貨がオーストラリアドルに取って代わることはない」と論じた。
オーストラリア準備銀行が公式文書を発表
オーストラリア準備銀行(RBA)は20日、仮想通貨に関する公式文書を発表した。
過去10年にわたる仮想通貨の歩みを振り返った上で、近い将来に仮想通貨がオーストラリアドルに取って代わることはないだろうとし、その理由を以下のように述べている。
お金の経済学的定義として、(お金は)一般的に三つの特徴を備えている。
・決済手段
・価値表示尺度
・価値保存
ビットコインやその他の仮想通貨が、これら定義に当てはまるかを考慮すると、当てはまらないという結論に至る。
さらに、RBAは文書内で、上記した項目が当てはまらない理由についても言及を行なった。
ビットコインが決済利用できない理由
決済手段として仮想通貨が広く普及していない現実があるが、その一番の理由に、価格変動が激しいということを挙げた。実際に公式文書では下図を提示し、AUD/USDとBTC/USDのチャートの推移を比較、そのボラティリティの高さを示している。
RBAは、価格の安定性と決済手段の普及には密接な関係があるため、決済手段としてのビットコイン利用はニッチなものであるとし、さらに、スケーラビリティ問題や決済完了性(ファイナリティ)の不確実性も根拠に挙げ、ビットコインが決済方法として普及するには、多くの課題を抱えている点を指摘した。
RBAの同文書は、以下のような文章で締めくくられている。
オーストラリアドルが安定し、低インフレの価値保存機能を提供し続け、決済サービス業界が、効率性や機能性、オーストラリアの決済システムの向上に努める限り、仮想通貨が現在のオーストラリアで広く普及することは考えにくい。
このようにRBAは、ビットコインの決済手段としての機能性を否定した格好だ。
ビットコインの需要
上述したRBAの結論を逆手に取れば、ニッチな市場においては、ビットコインに一定の需要があるとも取れるだろう。
例えば現在、米国とイランの国家間対立が激しさを増し、米国による経済制裁などの影響で、イランのインフレ率は今年4月に50%以上高まっている。こうした同国の法定通貨リヤルへの不安感の広がりから、避難通貨先としてビットコインが選択される傾向が強まっている。
その他にも、先月81万%以上のインフレ率を記録しているベネズエラにおいても、イランと同様の傾向が見られており、投機目的以外に価値貯蔵としての利用が一定数確認されている。ただ一方で、こうしたユースケースも、RBAの指摘した通り、決済手段としての利用には疑問符が残る形となっているのが現状だ。