- BlockShow Europe 2018
- ドイツ、ベルリンで行われているBlockShow EuropeにCoinPost編集部も参加。今回はイベントで行われたパネルディスカッションから重要な内容をピックアップしてお届け致します。欧州におけるブロックチェーンの在り方と正しい規制とはどういうものなのか、異なる見解を持った人物が意見を話し合いました。
- ピックアップワード「CBDC」とは
- 法定電子通貨(Central Bank Digital Currency)の略。 通常の仮想通貨や電子通貨と違い中央銀行によって発行されるので差別化が図れ、既にウルグアイでは『eペソ』が実行されている。
パネルメンバーの紹介
写真左からメンバーを紹介致します。
Naeem Aslam
金融ヘッジのマネージャーとして10年勤務した後、LondonFintechFundを起業。
その他にもForbesでコラム書いたり、歴史のあるLondon School of Businessで講師を務めるなど多方面で活躍。
Plane Russev
自主規制団体であるEuropean Blockchain Observatory and Forumの一員。
プライバシー第一を掲げており、そのための規制の整備を推進。
Vit Jedlicka
リベルランドという2015年に建国された都市国家の大統領。
リバタリアニズムの思想に基づいて建国された為、政策も個人の自由を重視した法律が主体とのこと。
Oleksii Konashevych
元弁護士。ブロックチェーンに可能性を見出し、物件の土地所有権のトークン化など法的書類のブロックチェーン上に載せる方法を模索中。
イタリアの大学で教授も務める。
Alex Grebnev
仮想通貨取引所Oxygenの創設者兼CEO。
Oxygenはジブラルタルで規制に準じて登録される初めての取引所。
パネルディスカッション内容まとめ
パネルに名を連ねたNaeem Aslam氏とPlane Russev氏が、6月6日に欧州議会で欧州におけるブロックチェーン技術の導入について対談する、という話題からディスカッションが始まりました。
欧州連合(EU)が発足した自主規制団体所属のRussev氏は、極めて中立的な立場を保ち、ヨーロッパ人にとってブロックチェーンで達成すべき最優先事項は『プライバシーである』としました。
またプライバシーを確保するにはある程度の規則が必要であると言及しています。
政府はブロックチェーンには価値を見出しているが、仮想通貨は見向きもしない。
同氏はこのように発言し、その現状を変える為には、ブロックチェーンについての『話し方』を変えなければならないとしました。
Russev氏はまず、EUの世界におけるドミナンスについて、GDP(国内総生産)から考察しました。
12年前、世界のGDPは32%欧州が占めていたのに対し、現在は21%まで低下している現状を指し、『仮想通貨とブロックチェーンが未来を動かすのでしょうか?』と問う事から政府側と初めて対話が始まる、と述べました。
規制の立ち位置
議論は、政府とブロックチェーンの取り組み方、どのようにすればこの新技術が受け入れられるか、プライバシーとポリシーのバランスなどについても発展しました。
また、中央銀行は独自の電子(仮想)通貨をブロックチェーンを駆使して発行する可能性はあるのかという問いに対し、リベルランドの大統領は以下のように回答しました。
どんなに中央銀行が努力しても、モネロなどのプライベートネットワークのブロックチェーンに勝ることはない。
またRussev氏が引用したGDPの統計についても、欧州経済のドミナンス低下は厳しい規制が原因であると発言。
そして、『自国のリベルランドでは、詐欺の蔓延するICO規制以外はされてない』と発言したことで、会場は拍手に包まれました。
対するRussev氏は、劇的な変化を続ける仮想通貨業界に追いつくことで精一杯なのが政府の現状であると指摘。
また、時間はかかるが、EU市民のプライバシーを最優先に考えた規制の整備が必要である、と訴えました。
仮想通貨を取り巻く環境が劇的に変化している中、『鬼ごっこ』をしている取り締まり役も大変だろう。
また最後に、自主規制団体の必要性について、以下のように投げかけました。
コミュニティとして、より良い”自主規制団体”を築いていくことが必要だ。
そうして行き着く先には、透明性と分散化に基づいた、人々にプライバシーを戻す将来が待っているだろう。