はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習-運用 WebX
CoinPostで今最も読まれています

「ビットコインETF」が重要視される3つの理由|専門家は現状をどの様に見ている?

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

ビットコインETFの重要性と専門家の意見
ウィンクルボス兄弟が申請したETFは2度目の非承認となったが、現在の状況を専門家はどの様に見ているのか? また機関投資家だけでなく、一般投資家への影響はどうなるか?
ETFとは
Exchange Traded Fund (上場投資信託)の略でインデックスファンドの一種。 日経平均株価や東証株価指数(TOPIX)等に連動する運用成果を目指し、東証などの金融商品取引所に上場している。株と投資信託、両方の特性を兼ね揃えた金融商品のこと。

▶️CoinPost:仮想通貨用語集

7月24日、米国証券取引委員会(SEC)は、Direxion Investments投資会社から提出された5つのETF申請について、「もうしばらく検討する時間が必要だ」とし、可否判断の延期を発表しました。

また、7月27日には、SECがウィンクルボス兄弟の「ビットコインETF」申請を取り下げ、ビットコイン価格の急落を招きました。ビットコインETFに関するニュースは、最近のビットコイン相場と密に連動しており、ETF上場に対して市場の関心が高まっています。

そこで、「ビットコインETFの上場が、なぜ重要とされているのか。」を考察します。

「ビットコインETF」は、なぜ重要なのか

株式市場では、日銀による巨額のETF買い入れ(年6兆円ペース)が、安倍政権によるアベノミクス(金融緩和政策)の一環として行われています。通常のETFは、複数の銘柄を組み合わせることで、日経平均株価やS&Pなどの指数に連動する運用成績を目指します。

従って、投資家は少額の元手からでもETFを通じて、低コストで世界中の企業に分散投資することができます。特定の銘柄ではなく、市場そのものに投資していると考えて差し支えありません。

一方、ビットコインETFに含まれるのはビットコインだけで、アルトコインが含まれているわけではありません。

それでも、ビットコインETFが上場することのメリットは数多くあります。

機関投資家が参入するために

2017年末から2018年初頭にかけて、多くの個人投資家が参入した結果、仮想通貨市場が大幅に高騰しましたが、次に高騰が起こるとすれば、機関投資家の参入によるものになるという見方が濃厚です。

ただし、莫大な資本力を有する機関投資家が仮想通貨市場に参入するためには、現時点でさまざまな参入障壁があり、国際的な規制の整備や、ビットコインを含む資産クラスの定義の曖昧さや、保有リスクなどが考えられます。

現時点では、米国内でのビットコインの明確な定義がなく、ビットコイン取引に関する法規制も厳密ではありません。

そのため、金融市場に絶大な影響力を持つ機関投資家は、市場参入前に、ビットコインに対する規制の動向を慎重に見極める必要があります。

一方、ビットコインがETFとして認められた場合、ビットコインETFは「証券」に分類され、指数連動の証券に投資が行うことができ、保有リスクも解消されます。

したがって、ビットコインETFが上場することで、機関投資家はすでに市場に存在する「金や原油のETF」と同様の枠組みで、ビットコインを扱うことができるようになり、参入障壁は大幅に下がると言えます。

「金ETF」上場で金価格が急騰した歴史も

過去には、金(ゴールド)のETF上場から、金価格が急騰した歴史があります。

2003年の金ETF開始以降、金価格は長期間にわたって上昇し、2011年にはETFから+478%の高騰を記録しました。この背景には、機関投資家の参入があります。

金価格は株価との相関が低く(逆相関するケースが多い)、分散投資を行う機関投資家にとって魅力的な資産クラスでしたが、年金基金などの保守的な機関投資家は、金を投機的な「商品」とみなし、投資を敬遠していました。

しかし、ETFの上場によって金が金ETFという「証券」となったことで、機関投資家が多額の資金を投資することになりました。

このような金ETFの歴史を踏まえると、「デジタルゴールド」であるビットコインのETF上場によってビットコイン価格が高騰する可能性は十分に考えられます。

仮想通貨情報サイトTotalCryptoからは、ビットコインETFが上場した場合500%以上の価格上昇の可能性を示唆するレポートも発表されています。

個人投資家にとっての様々なメリット

個人投資家が直接ビットコインに投資をする場合、ビットコインの価格変動リスクだけではなく、大きな管理リスクも抱えることになります。

個人がビットコインを保管する場合、秘密鍵のパスワードを紛失するなどしてビットコインが取り出せなくなるケース(セルフGoX)が多く見られる上、ウォレットのハッキングリスクなども同時に抱えることになります。

その点、ビットコインETFでは、信用力の高い取引所にビットコインの管理を委ねることで、上記で述べた通り、多額の資産を扱う機関投資家だけでなく、一般投資家も個人の管理リスクを軽減することができ、分散投資の観点からも、より安定した運用を行うことができます。

さらに「CBOEによるETF」は、一口25BTC(約2250万円)と高額で、機関投資家やヘッジファンド、ファミリー・オフィス、証券会社、大口投資家などの富裕層をターゲットにしており、保険会社によって1.25億ドル(約140億円)の保険が適用される設計になっているとされています。

さらに、ビットコイン投資に対する課税の条件が変化する可能性もあります。

ここではわかりやすい様に、日本国居住者に関して例をあげようと思います。

現状では、ビットコイン投資で得た利益は「雑所得」として計上され、利益に対して最大で約55%もの税金を納めなければなりません。

一方、ビットコインETFは「上場投資信託」である点から証券として定義される可能性が高く、一律で約20%の課税が適用されることになります。

このような利点から、ビットコインETFに対する個人投資家の期待は、急速に高まる可能性があり、米SECのウェブサイト上で実施しているETFに関する世論調査でも、97%のコメントが賛成するものになっています。

ビットコインETFは必要か?専門家の意見は分かれる

一方で、ビットコインETFの必要性については、専門家の間でも意見が分かれています。

Netcoins創業者|ETFは「興味深いアイディア」、BTC価格は短期的に上昇か

Netcoinsの創業者であるMichael Vogel氏(以下、Vogel氏)は、ビットコインETFがビットコインの長期的な成功に影響を与えるものではないと考えています。

一方で、Vogel氏は、ビットコインETFの可能性を「興味深いアイディア」だと語っています。

同氏は、ビットコインETFがビットコイン価格に与える影響を次のように説明しています。

ETF上場がビットコイン価格に影響を及ぼすのは、取引ボリュームが拡大するからという理由だけではない。

一部のビットコインがETF企業によって半永久的に保有されることで、市場流通量が減少するという理由も含まれるからだ。

Trezor創業者|ETFは全く必要ないもの、BTC価格は短期的に上昇か

Trezor創業者のAlena Vranova氏(以下、Vranova氏)はビットコインにとってETFは全く必要ないものだと考えています。

一方で、ビットコインETFの上場は、新規投資家が参入するための良い機会になるとも言います。

従ってVranova氏は、Vogel氏と同様に、短期的にはビットコイン価格が上昇するだろうと考えているようです。

CryptoCrestパートナー|ビットコインETF承認自体が難しい

CryptoCrestのパートナーであるDana Coe氏(以下、Coe氏)は、ビットコインETFの必要性以前に、ETFとして認可されることが困難であると指摘しています。

Coe氏は、既存のETFはSECなどの機関に規制された資産クラスを扱っているのに対して、仮想通貨は規制がなされていないと言います。

まとめ

ビットコインETFの上場が承認されれば、ビットコイン市場の透明性及び信頼性が向上し、新たな資金が流れ込むことは、ほぼ確実と言えるでしょう。

ビットコインETFは、機関投資家と個人投資家双方にとって一定のメリットがありますが、どこの資産運用会社がスポンサードしているか、どのような商品設計になっているかが重要であり、「ビットコインの成功自体には関係のないもの」、「ビットコインETFの認可は困難」と考える専門家も存在しています。

今後、本命視されているCBOEの申請に対するSECの回答が控えており、市場はSECの決定に注目しています。

可否の判断については、「最短で8月上旬」という見解もありますが、サーベイランス(調査監視)の整備や、G20による国際規制策定との兼ね合いが前提条件にあり、SEC側が万全を期した場合、ビットコインETFの実現が2019年以降にずれ込む可能性も十分考えられます。

過度な期待は”失望売り”につながることから、短絡的な考えはマーケットも望んでいません。CBOEのビットコインETFの商品設計が過去最高に優れているのは間違いないですが、長い目で見て支援していく必要があると言えるでしょう。

CoinPostの関連記事

ビットコインETF認可が金ETF相場を踏襲する場合、500%暴騰の可能性を示唆|TotalCryptoが分析結果を発表
仮想通貨専門家であり、トレーダーのTom Alford氏が運営する、仮想通貨情報サイト、TotalCryptoで公開された分析にて、米証券取引委員会(SEC)がビットコインETFを認可した場合、実に300日間で+500%という驚くべき価格の暴騰につながる可能性があるという調査結果が報告された。
ビットコイン急下落|ウィンクルボス兄弟ETF不許可から見る、仮想通貨市場の状況変化
ウィンクルボス兄弟の申請していたビットコインETF申請が米国証券取引委員会(SEC)不許可となり、仮想通貨市場のBTC価格が暴落。本命視されるCboeのETFへの影響など、市場の重要点に変化はあるのか?内容を読み解いていきます。
CoinPost App DL
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
11/01 土曜日
13:50
ステーブルコイン覇権争い激化 テザーが過去最高益、USDCは機関投資家採用加速
ステーブルコイン最大手テザーが2025年第3四半期報告書を公表し年初来利益が100億ドルを超えたことを明らかにした。米国債保有額は1350億ドルに達し国別ランキング17位相当。
13:20
仮想通貨市場の現状、センチメント冷え込み=CryptoQuant分析
CryptoQuantがビットコインとイーサリアムの週間市場レポートで投資家の慎重姿勢を指摘した。現物ETFや先物ベーシスなどの指標から市場のセンチメントが冷え込んでいると述べる。
10:20
イオレがSBI VCトレードと提携、ビットコイントレジャリー事業強化へ
イオレがSBI VCトレードと提携し、法人向けサービスを活用したビットコイン取引・保管・運用を開始した。Neo Crypto Bank構想の実現に向けSBIグループとの初の具体的連携となる。
09:50
チェンジHD、JPYCで地方創生へ ふるさと納税・インバウンド決済に円ステーブルコイン導入検討
チェンジホールディングスが日本円ステーブルコインJPYCを活用した地方創生に着手する。「ふるさとチョイス」での決済導入検討やインバウンド事業での実証実験を計画している。
09:20
欧州中央銀行がデジタルユーロ開発加速、2029年導入目指す
欧州中央銀行が中央銀行デジタル通貨(CBDC)デジタルユーロの開発を次段階に進めることを決定した。2027年にパイロット実験を開始し、2029年の正式導入を目指す。
07:40
ビットコイン、サトシ・ナカモト執筆のホワイトペーパー公開から17周年に
仮想通貨ビットコインは10月31日、ホワイトペーパー公開から17周年を迎えた。SNSでは祝福の声が投稿されており、コインベースのCEOは、1つのPDFが世界を変えたとコメントしている。
07:30
米連邦控訴裁、仮想通貨銀行カストディアのマスターアカウント請求認めず
米連邦控訴裁判所が仮想通貨銀行カストディアに対するFRBのマスターアカウント拒否を支持した。裁判所はFRBがアクセスを認めるかどうかの裁量を持つと判断し、地方裁判所の判決を支持した。
06:45
コインベースが民主党議員の政治献金批判に反論 、「中立的活動」と主張
仮想通貨取引所コインベースが民主党マーフィー上院議員からの政治献金批判に公開反論した。同社幹部は仮想通貨業界PAC活動が非党派的で企業献金は歴代政権で標準的慣行だったと説明。
06:10
ストラテジーのセイラー会長、ビットコイン企業買収に消極姿勢
ストラテジーのセイラー会長が他のBTCトレジャリー企業の買収に関心がないことを明らかにした。不確実性が多く時間がかかることを理由に挙げ、デジタルクレジット販売とビットコイン購入に注力する方針だ。
05:45
カナン、日本の電力会社と契約 ビットコインマイニングで送電網安定化図る
BTC採掘機器メーカーカナンが日本の大手地域電力会社とマイニングサーバー販売契約を締結した。水冷式アバロンサーバーで送電網バランシングとエネルギー効率最適化を実現し、2025年末に稼働開始する予定だ。
10/31 金曜日
18:45
American Bitcoin CEOが語る、環境配慮型マイニングの未来|独占インタビュー
American BitcoinのMichael Ho CEO独占インタビュー。ビットコインマイニングの60%以上が再生可能エネルギー由来という実態や、トランプファミリーとのビジネス関係、日本市場への期待について詳しく聞く。
18:41
万博ウォレットがリニューアル、JPYC対応開始&総額1億円配布へ
EXPO2025デジタルウォレットが「HashPort Wallet」としてリニューアル。JPYC対応を開始し、総額1億円プレゼントキャンペーンを開催。Ethereum・Polygon対応も。
18:33
SBIホールディングスが上半期で過去最高益 暗号資産事業は堅調・Web3戦略を本格化
暗号資産事業も堅調 SBIホールディングス株式会社(東証プライム:8473)が31日に発表した2026年3月期第2四半期(2025年4〜9月)連結決算は、純利益が前年同期比3….
16:59
ゲーム会社gumi、子会社で予測市場サービスの事業化を検討
gumiが子会社gC Labsで予測市場サービスの事業化検討を開始。AIとブロックチェーンを活用し、政治・経済・エンタメなど幅広いテーマで集合知を生成。海外で急成長するPolymarketを参考に、日本での新市場創出を目指す。
16:53
金融庁、ビットコインなど暗号資産ETF関連デリバティブの国内提供を「望ましくない」と牽制
金融庁は31日、海外で組成された暗号資産(仮想通貨)ETFを原資産とするデリバティブ商品の取扱いについて「望ましくない」との見解を表明した。IG証券が開始したブラックロックのビットコイン・イーサリアムETFのCFD取引が背景とみられる。国内では暗号資産ETFの制度整備が進行中で、税制面の不透明さも課題となっている。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧