資金のフローを比較
米大手暗号資産(仮想通貨)ファンドのグレースケールが提供するビットコイン投資信託(GBTC)への資金流入が増加傾向にある一方で、ゴールド(金)の上場投資信託(ETF)からの資金流出が続いている。
このことについて仮想通貨メディアTheBlockが、グレースケールの見解とゴールド価格の展望について取材を実施した。
グレースケールのMichael SonnensheinマネージングディレクターはTheBlockに対し、「2020年は当社の事業に前例のない資金流入が続いている」と説明。ゴールドからビットコインへの資金流入の可能性を指摘した。
グレースケールは今年のQ3(7〜9月)だけで、同社が提供する一連の投資商品に合計10億ドル(約1045億円)の資金が流入しており、運用資産額は91億ドル(約9500億円)に到達したことが分かっている。
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この対照的な資金の動きについてSonnenshein氏は「驚くことではない」とし、グレースケールは投資家の好みが変化して、BTCに資金が流入することは予想していたと述べている。
グレースケールは昨年5月、米国の投資家にゴールドの保有をやめて、BTCへ投資するように促す「Drop Gold(金を”投げ捨てる”)」というキャンペーンを開始していたが、Sonnenshein氏はこのキャンペーンを改めて引用し、「我々は今、資産の移行を目撃している」と自信を見せた。
金→ビットコインへの資金移動について
同様の見解としては、JPモルガンが先週末のレポートで、ゴールドは10月中旬以降、全体的に少量ながら資金流出が見られたとして、ファミリーオフィスなど以前はゴールドのETFに資金を投じていた投資家の一部が、ゴールドの代替資産としてBTCへの投資を検討している可能性があるとした。
また、Bloomberg IntelligenceのMike McGlone氏もデジタルゴールドとしてのビットコインへの関心高を背景に、機関投資家やヘッジファンドが、金に投じていた資金の一部をビットコインに再分配していると指摘。
先物金利が上昇していることで、仮想通貨への優位性が高まっており、高パフォーマンスを維持するビットコインへの投資的な魅力が高まっているとした。
金市場の規模からも、一部の資金がビットコイン市場に流入する際の影響力は大きく、BTC市場を後押しする要因になっている可能性がある。
ゴールド価格
ゴールドのETFから資金が流出している一因には、ゴールド価格の下落がある。今年8月に2000ドル(約21万円)超まで上昇したゴールドの価格は、本記事執筆時点で1800ドル(約18.8万円)あたりを推移しており、約20%下落している。
コロナ禍の経済対策で現金の供給が増える中、主にインフレヘッジ手段として注目を集めて価格を上昇させていたゴールドだが、米大手投資銀行ゴールドマンサックス(GS)は、今後数年の間は劇的なインフレは起こりそうもないとの見解を示し、19日時点の今後の見通しとして投資家へ伝えている。
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