フランスの規制強化
フランス政府が暗号資産(仮想通貨)の取引や取引所に対して、規制を強化する予定だ。
同国の仮想通貨協会ADANのSimon Polrot理事長がTheBlockの取材に対して、フランスの財務省から規制強化について知らされたと話した。TheBlockは、同国の業者Coinhouse GroupやDigital Service Groupにも事実性を確かめたという。
内容によると、フランスの財務省は仮想通貨関連企業におけるKYC(顧客認証)を強化し、業者が全ての仮想通貨の取引(トランザクション)に対してもKYCを導入すると規定する法令を、今週中に発表する予定だ。
具体的には、現行の規制では、取引におけるKYCは、1,000ユーロ以上の仮想通貨と法定通貨間の取引に限られているが、強化体制が実施された場合、0ユーロ以上のすべての仮想通貨関連取引もKYCの対象になる。
また、法定通貨を取り扱わない、仮想通貨と仮想通貨間のサービスだけを提供する取引所が当局に登録しなくてはならなくなることも法令の内容に含まれる。今後6ヶ月以内で登録を行う期間が与えられるという。
これまで登録する必要のあるのは、法定通貨と仮想通貨の取引サービスを提供する業者とカストディ業者のみだった。これらの業者は12月18日までにライセンスを取得しなければ厳格な法的処罰を受ける可能性があると報じられた。
規制強化の理由
財務省がKYCを強化する理由について、上記の業者らはフランスで発生した直近のテロ事件が主な原因と話した。
10月に起きたテロ事件では、事件発生の数週間前に、フランスの警察当局は仮想通貨をテロの資金支援手段として利用したと疑われる29人のイスラム過激派を逮捕した経緯がある。
Digital Service GroupのPierre-Guy Bareges CTOはTheBlockに対して、「フランスの一部の仮想通貨業者がトルコやシリアで活動する過激派関連の人物に仮想通貨の送金サービスを提供していたことが発端だった」と説明。結果、ビットコインなどが利用されたことが確認されたという。
また、テロ事件発生後、フランスのBruno Le Maire財務相はテレビ演説で、「仮想通貨の利用がテロ資金対策の課題となっているため、政府は今後資金ルートをコントロールする提案をする」と発表していた。
一方、規制強化による実際の影響は明確ではないとTheBlockはみる。TheBlockリサーチによると、フランスの仮想通貨取引所の取引高は米国などの地域に比べ小規模だ。取得されたデータによると、2つの取引所PaymiumとZebitexは今年において合計出来高が5,000万ドル未満だったという。
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