大手金融もビットコインETF申請へ
米金融最大手Fidelity Investments(以下、フィデリティ)が暗号資産(仮想通貨)ビットコインのETF(上場投資信託)の目論見書をSECに提出したことがわかった。伝統金融企業の提出は初事例。
目論見書によると、ETFの申請名称は、「Wise Origin Bitcoin ETF」。フィデリティはETFの「ファンド管理者」、投資企業FD Funds Management LLCがETFの発行機関を担当する。「ファンド管理者」は、財務報告の作成や財務状況の監査を行い、「トランスファーエージェント」として投資信託の入出金・分配金・手数料などやその保有者情報の管理などの手続きも担当する機関。
また、仮想通貨ビットコインの管理を担うカストディを、フィデリティの仮想通貨関連子会社Fidelity Digital Assets。ETFに利用されるビットコインの参考価格にフィデリティ独自のビットコイン(BTC)インデックスを採用するなど、自社グループのシステムで固める。
同社代表は米メディアTheBlockに対し、「デジタル資産のエコシステムは近年大きく成長し、機関投資家や個人投資家にとってもより健在な市場環境を提供するようになっている。より多くの投資家がビットコインへのエクスポージャーを持ちたいため、我々もより多様なプロダクトを提供する必要がある」、とETF申請の理由を語った。
フィデリティは伝統金融として率先してビットコイン市場に参入。2018年にFidelity Digital Assetsを設立し、現在ビットコインのカストディやOTC取引、ビットコインを担保資産とした融資サービスなど複数の関連サービスを提供している。また、2015年から数百のビットコインをマイニングし、カナダのビットコインマイニング企業Hut8の株式をも10%以上持つなど、積極的にビットコインの関連投資を行っている。
米国では依然としてビットコインETFの承認事例はないが、伝統金融として自らビットコインのインフラを持つフィデリティもETFの申請に動き出したことから、市場への信頼度や認知度が高まり、SECに承認される見通しは以前よりも明るくなるとの指摘なども出てきている。
他には、VanEckやNYDIGなど複数のビットコインETFも現在SECの審査を待つ状況だ。