命名はSTART(スタート)
大阪デジタルエクスチェンジ(ODX)は16日、上場有価証券取引に係る私設取引システム(PTS)について、デジタル証券(セキュリティトークン:ST)取引に係るPTS開設の変更登録及び変更認可を金融庁より承認されたことを発表した。
併せて、STのPTSの取引市場名を「START(スタート)」とすることを発表した。
日本初となるデジタル証券(ST)のセカンダリー市場が“スタート”し、流動性が増すことで、さらなる資金調達の機会が生まれ、ST市場がより発展していくことを期待しているという。
大阪デジタルエクスチェンジは21年4月、国内初のセキュリティ・トークン取引市場の運営を目指して設立された。ODXはSBIホールディングス(出資比率70%)を主要出資者とし、三井住友、野村ホールディングス、大和証券グループからも資金を調達している。
活発なセキュリティ・トークンのセカンダリー・マーケットを創設することで、プライマリー・マーケットの活性化を促し、より利便性の高い新たな資本市場の形成を目指す。また、大阪府は「国際金融都市構想」を推進しており、ODXもその一環にある。
CoinPostが携わる大型カンファレンスのWebX 2023にビデオ登壇した大阪府知事の吉村洋文氏は、「金融機能の強化を通じて大阪をグローバル都市に位置づけたい」とし、その一環として、ODXによるセキュリティトークンの私設取引市場(PTS)展開があることを強調した。
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第1号は公募型不動産ST2種類
「START(スタート)」開設に伴い、複数のSTOが発表された。
いちご株式会社は都内のレジデンス(高級住宅)を投資対象とし、三菱UFJ信託銀行株式会社および株式会社SBI証券とともに、Progmat, Incがライセンス提供するデジタルアセット発行・管理基盤「Progmat」(プログマ)を活用した、資産裏付型セキュリティ・トークンの公募および運営について協業する。
STARTにおける取扱い第1号案件としては、いちご株式会社にとって3件目の公募案件となる「いちごレジデンストークン」で芝公園・東新宿・都立大学・門前仲町・高井戸・新小岩(デジタル名義書換方式)」を発行する。
投資家のニーズを踏まえた投資商品を企画し、プロの目利きと運用力で個人の方でも安心して不動産に投資できる機会の提供を行うものだという。
また、ケネディクス株式会社は、SMBC信託銀行と大和証券と協業で不動産セキュリティ・トークンを発行し、公募にて資金調達を行う不動産セキュリティ・トークン・オファリング(STO)の実施を発表した。
こちらも、ODXのSTARTにおいて取り扱われる公募型不動産セキュリティ・トークンとして本日承認されたばかりの事例だ。STARTにおいて市場価格での売買が可能となり取引価格が公表されるため、本STは投資家にとってより一層透明性の高い金融商品となることが見込まれる。
ケネディクスグループは21年8月、不動産セキュリティ・トークンを発行し、公募にて資金調達を行う不動産セキュリティ・トークン・オファリングを日本で初めて実施した企業。
セカンダリー取引をより活性化する環境を整備することを目的にしたPTS(私設取引システム)における取り扱いとしては初事例となる。これにより、金融商品取引業者が相手方となる従来の方法のみならず、金融商品取引業者がSTARTへの取次を行う方法でも取引が可能となった。
取引方法の多様化が図られるだけでなく、取引価格の透明性の向上など、投資家の利便性向上が期待できるという。