USDTにわずかなディスカウント
暗号資産(仮想通貨)に投資していた中国人投資家の一部が、株式に戻っている可能性がある。ブルームバーグが7日に報じた。
仮想通貨データを提供するKaikoのシニアリサーチアナリスト、デシスラバ・オーバート氏によると、9月末からステーブルコインUSDTがドルに対してディスカウントで取引されている。USDTは通常、米ドルと1:1の価値で取引されている。
また、バイナンスのP2P市場でも、人民元の取引業者が提示しているテザーの取引価格は1元=6.78~6.98となっている。従来型市場ではオフショア人民元が1ドル=7.07元で取引されており、これよりもわずかに割安になっている格好だ。
中国政府はちょうどこの時期、景気刺激のために一連の政策パッケージを打ち出しており、株価対策にも総額8,000億元(約17兆円)を投入している。
中国は、2021年より、あらゆる仮想通貨取引活動を禁止しているところだ。一方で、投資家はVPN接続などにより、この取り締まりをかいくぐって仮想通貨を取引している。
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オーバート氏によると、取り締まりによって仮想通貨取引プラットフォームにUSDTと人民元の取引ペアは存在しないため、ドルが活動のバロメーターとなっている。ディスカウントはわずかであるものの、ドル買いとUSDT売りを示唆するものだ。
香港の仮想通貨取引所ハッシュキーのリビオ・ウェンCEOは、投資家が急いで法定通貨に戻そうとしているのであれば、中国株をパニック買いしていることが推測できると意見した。
今後の財政刺激策は?
中国の景気刺激策は、不動産バブル崩壊による景気後退の懸念を受けたもので、現在のところ、中国株が反発し、人民元が上昇するなどの反応がみられている。
中国の代表的株指数「A50」は先週9月30日には7.18%上昇し、年初来では約24%の上昇率を見せている。(国慶節のため、株市場の再開は8日から)
投資銀行UBSのチーフ中国エコノミストである王濤氏によると、市場は中国政府が2~10兆元(42~210兆円)の財政刺激策を打ち出すことを予想しているとみられる。
同氏は、今年の経済成長率を目標の約5%にするには、短期的には1.5~2兆元というより穏やかな政策を実施する方が合理的かもしれない、と述べた。
UBSは、中国政府による今年の景気刺激策は、国慶節(10月1日から1週間の祝日)の後か、10月18日の四半期経済指標発表前後に発表される可能性があると予想している。
王濤氏は、今後数シーズンで不動産市場を安定させ、企業および消費者の信頼低下を逆転させて、今後2年間の成長を5%に近づけるためには、大幅な刺激策の追加や、さらなる構造改革が必要だと見解を述べた。
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USDTは10周年
テザー社の提供するステーブルコインUSDTは、2014年のリリースから10月7日で十周年となった。テザー社によると、現在のユーザー数は世界で3億5,000万人を超えている。
CoinMarketCapによると、USDT時価総額は現在1,196億ドル(約18兆円)。すべてのステーブルコインの中で他に差をつけて首位を維持しているところだ。
ステーブルコインとは
価格が常に安定している(stable)仮想通貨を指す。ステーブルコインは暗号資産の一種で、BTCやETH、XRPなど変動性のある資産とは異なり、米ドルなどに裏付けられその価値を保つことが目的だ。米ドルの裏付けによるステーブルコイン(USDT・USDC)のほか、アルゴリズムを利用するステーブルコインもある。
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