はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習-運用 WebX
CoinPostで今最も読まれています

FATF書記官「日本の仮想通貨規制は2年先を行っている」|V20 CoinPost取材

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

FATFの書記官に取材、各国の遵守に自信を
先日、大阪で開催されたFATF合同の国際仮想通貨(暗号資産)サミット「V20」にて、FATF書記官に取材を実施。新ガイダンスにおける各国のコンプライアンス課題や、10月に予定される対日審査に関する見解を伺った。

仮想通貨規制に関してFATF書記官に取材

先週末、大阪にて開催された「V20仮想通貨(暗号資産)サミット」にて、FATF(金融活動作業部会)の書記官Tom Neylan氏やFATF元理事長Roger Wilkins氏、日本の財務省副財務官三村 淳氏が登壇し、様々な見解を語った

V20は、仮想通貨関連事業者(VASP)が主体となる集結であり、6月にFATFが公表した「仮想通貨監督ガイダンス」における公式の解釈や今後国際的仮想通貨規制やエコシステムの推進などを語り合う場だ。

仮想通貨メディアCoinPostもV20に招待され、現地の様子や要人の講演内容などを配信した

本記事では、FATF書記官「Tom Neylan」氏に対する取材内容をお届けする。

主要国はガイダンスを採用するか

(以下、FATF書記官の発言)

監督ガイダンスはFATFが加盟国に対して、資金洗浄(AML)やテロ資金(CTF)を防ぐためのVASP顧客情報共有等に関する勧告ではあるが、FATFが規制者ではないため、ガイダンスのコンプライアンス施行はそれぞれの国による方針である。

例えば、米国や日本、イギリスなどの先進国は、すでにある程度の金融秩序と法的環境を整えている。特に米国はここ数年ではFATFからの勧告と指摘を受けたものの、実行に移っていないのが現状だ。

一方、日本政府は2008年のFATF相互審査を受けた結果、法整備や顧客管理、リスクにおける要改善項目などが確認されたため、複数の改善策を取っていた。

このように、国によっては仮想通貨業において法的定義や許認可制度も異なるため、新たなガイダンスに、仮想通貨の市場規模が比較的に大きい国がどのように対応するかとの点に関しては、業界内外でも議論されている。

当然ながら、日本や米国、イギリスなどはしっかりと新ガイダンスに取り組み、実施すると考えられる。

その他の国も含め、FATFの今回の新ガイダンスの作成にもコミットしてきた国だ。

FATF加盟国の中にあるすべての国々も今回のガイダンスの考案・作成者であったが、特に米国と日本は、AMLとCTF規制ルールを先行して実施に動いた主要国だ。

このガイダンスの目的について同書記官は、「加盟国がより一般的で合致するグローバルな基準をより容易に実行し、犯罪者が利用できるいわゆる仮想通貨の避難港のようなものを根絶する」ことだと強調している。

仮想通貨業界は規制者の新たな課題

新ガイダンスの勧告事業対象は、全ての仮想通貨取引・交換事業者であるため、中央集権取引所はもちろん、分散型取引所(DEX)もその範囲に置かれる。

しかしながら、世界にはユーザーの身分確認(KYC)をきちんと行わない取引所も少なくない。DEXの場合はその特性上、KYC不要が大前提である場合が大半だ。

このような課題に対してNeylan氏は「挑戦的」だと述べ、「仮想通貨業界は、全くの新しい規制分野だ。大半の国は、監督機関とともに規制基準及び関連法律を作っている最中にいる。」と指摘している。

Neylan氏の解釈では、政府も業者も規制や技術的理解、技術的向上など多くの課題に取り組み解決して行かなければならないとし、「特にDEXに関しては、規制機関がその仕組みを理解・把握し、取引を管理する必要性は欠かせない」と話した。

異なる管轄でも通用するライセンスを

新ガイダンスが勧告する情報共有(いわゆるトラベルルール)とは、基本的に1つの国における本国の規制を踏まえた上のコンプライアンスであり、国境を超えた規制の連携に関して、どのように対応すべきなのか議論の話題になっている。

Neylan氏は、新ガイダンスには「どの国が業者を監督するか」の項目があり、「事業登録を行った国では、当時国の管轄に入る。」と説明した。

そして、複数の国で「ある程度」の取引事業を行う場合、その国の規制にも置かれる可能性が高く、ライセンスを取得する必要性が高まるとしている。よって、既存の金融セクターと同様に基本のルールは一般的だという。

FATFが追求しようとするのは、異なる国では他国のライセンスの法的有効性を認めることだ。もちろん、場合によってはローカルの許認可も必要になることは否めない。

日本の規制ルールは2年先をゆく

日本本土の規制についても書記官に見解を伺った。

Neylan書記官は、「日本の規制は非常に先進的であり、他国と比較すると”2年進んでいる”と言っても過言ではない。」と、日本政府の方策を評価している。

日本は、改正資金決済法など世界において最も早く法規制の施行に動き出した国であり、自主規制団体JVCEAも存在していることから、その積極性が見受けられているとしている。

今秋には、FATFによる第4次対日審査が行われ、日本の仮想通貨規制も評価項目に置かれる。

Neylan氏は、日本に対する審査結果をもち、どのように規制が効果的なのかを他国の規制例として公表する予定があるとしており、日本審査の評価次第では、FATF加盟国の全体基準になることは可能だとした。

V20の意義

最後に、Neylan書記官は、業界初の仮想通貨国際サミットである「V20」の開催意義について見解を述べた。

新ガイダンスが発表されてわずか1週間ほどで、V20が開催されたことに、業界の積極姿勢が感じられる。

V20では、FATFと業界を代表する面々がガイダンスにおける困難な各課題について協議し、実行方針や方法などを探った。FATFとしては、透明性を貫きたい。

現状、FATFは仮想通貨業界に精通しているわけではない。業界・FATF・各国の規制者間で信頼関係を築き、仮想通貨業界を守ることが急務である。

この連携さえ順調にできれば、投資家を含む一般利用者が無用なリスクを被ることが避けられ、仮想通貨がもたらすより安価かつ迅速な金融サービスを享受することができるだろう。

このようにFATFのNeylan書記官は、前向きな姿勢を示した。

Coinpost撮影

V20関連記事

財務省副財務官、V20で日本の仮想通貨規制方針を示す|来年までに資金洗浄・テロ資金供与対策に注力
財務省副財務官三村氏がV20サミットに登壇。これまでの日本の規制への取り組みや、課題点などを述べた。さらに、我が国の今後の規制方針についても示された。
【大阪V20速報】FATFの書記官が発言「仮想通貨業界の規制は怪物ではない」
仮想通貨業界サミット「V20」は現在大阪で開催中。先日発表されたFATFのガイダンスについて、初めて同機関からの解説が行われた。最適な規制ガイダンスは未だ模索中という。
CoinPost App DL
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
08:45
米財務省、北朝鮮サイバー犯罪と仮想通貨洗浄で8人と2団体を制裁指定
米財務省が北朝鮮によるサイバー犯罪とIT労働者詐欺から得た資金の洗浄に関与した8人と2団体を制裁指定した。過去3年間で北朝鮮関連サイバー犯罪者は主に仮想通貨で30億ドル以上を盗んでいる。
08:02
ビットコイン価格、10万ドル維持できなければ72000ドルまで下落の可能性=クリプトクアント分析
クリプトクアントの責任者はビットコインが10万ドルの水準を維持できなければ今後1~2カ月で72000ドルまで下落する可能性があると警告。10月の清算イベント後、現物需要が縮小していると分析している。
07:15
ビットマイン、1週間で400億円相当のETHを買い増し
トム・リー氏が率いるビットマインは、過去1週間で400億円相当の仮想通貨イーサリアムを買い増ししたことを発表。現金についても1週間で約598億円に増加したと説明した。
06:45
ソラナ保有企業フォワード・インダストリーズ、10億ドルの自社株買いプログラム承認
仮想通貨ソラナを財務資産とするフォワード・インダストリーズが10億ドル規模の自社株買いプログラムを承認した。2027年9月まで有効で、同社のSOL戦略への確信を示すものとしている。
05:55
米上場セカンス、保有ビットコインから970BTC売却で債務削減 
株価大幅安 米ナスダック上場のIoT半導体メーカーのセカンス・コミュニケーションズは4日、保有ビットコインから970BTCを売却し転換社債の50%を償還したと発表した。7月7日…
05:35
ビットコインが10万ドル割れ、2500億円以上のロスカット発生 6カ月ぶりの安値
ビットコインが11月5日に6カ月ぶりに10万ドルを下回り、一時99,954ドルまで下落した。過去24時間で16億ドル超相当のポジションが清算され、イーサリアムも年初来上昇分を帳消しにした。
11/04 火曜日
18:06
リミックスポイント、ビットコイン追加取得 新株予約権の残存分は消却
リミックスポイントは10月31日に約5億円分のビットコインを追加取得。累計1,411BTC・214億円規模に達し、第25回新株予約権を全て消却、希薄化型ファイナンスを終了した。
17:02
エアドロップやCZ支持で注目集めるDEX「Aster」とは
エアドロップやバイナンス創業者CZ氏からの支持などで注目集めるAsterについて、DEXの特徴や使い方を解説。注目される理由、エアドロップの参加方法やリスクまで詳しく紹介します。
17:00
OKJ、国内初の「MEME」取扱いを発表 
OKJがWeb3スタジオMemeland発の暗号資産(仮想通貨)「MEME」を国内で初めて上場。11月11日17時より取引開始し、販売所・積立など4サービスに対応。
16:46
モブキャストHD、ソラナ(SOL)を1.5億円取得
モブキャストHDがソラナ1億5,000万円超取得、累計5,177SOL保有。クオンタムソリューションズのETH保有など、国内企業アルトコイン保有の動きが活発化。
15:09
ストラテジー、ビットコイン購入で約620億円を調達へ
ストラテジー(旧マイクロストラテジー)は、ユーロ建て永久優先株で約620億円を調達し、ビットコインの追加購入資金に充当する。保有総量は64万BTCを突破。
13:51
トランプ大統領、バイナンスCZとの面識を否定 恩赦に対する批判をかわす
トランプ大統領がCBSのインタビュー番組で、バイナンス創設者CZ氏への恩赦について「面識がない」と主張し、その妥当性を強調した。民主党議員らはこの恩赦について強く批判しているが、トランプ氏は米国を仮想通貨No.1にする戦略の一環と擁護している。
11:59
イーサリアム財団、戦略的な新助成金プログラムを発表
イーサリアム財団が優先項目に特化した新助成金プログラムを発表した。ウィッシュリストと提案依頼の2経路で、仮想通貨イーサリアムのエコシステムを戦略的に支援していく。
11:09
チェーンリンク、英FTSE Russellと提携 伝統金融の代表指標をブロックチェーンへ
ロンドン証券取引所グループ傘下のFTSE RussellがChainlinkと提携し、Russell 1000やFTSE 100など主要株価指数のデータをブロックチェーン上で提供開始。18兆ドル超の運用資産の投資指標として利用される指数データがオンチェーン化される。
10:59
リップル社、米国で仮想通貨現物のプライム・ブローカレッジ事業を開始
リップル社は、仮想通貨現物のプライム・ブローカレッジ事業を米国で開始。機関投資家の顧客が、XRPやRLUSDなど複数の著名なデジタル資産の現物取引をOTCで行えるようになったと説明している。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧