
リスク管理の強化が必要と見解
ニューヨーク大学スターン・スクール・オブ・ビジネスの客員教授でステーブルコインにも詳しいオースティン・キャンベル氏は、暗号資産(仮想通貨)イーサリアム(ETH)が大規模な現実資産(RWA)トークン化には、まだ対応できない可能性があるとの見解を示した。
キャンベル氏は、2月に仮想通貨取引所Bybitからハッキングにより15億ドル相当のイーサリアムが盗まれた事件を例に挙げている。
この件が、イーサリアムのバリデータシステムの脆弱性と、大規模な不正行為や攻撃への対策が限られていることを示していると述べる格好だ。
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また、最悪のシナリオとして、不正行為者がテザー社やサークル社をハッキングして秘密鍵を入手し、イーサリアム上で発行されるUSDCやUSDTのスマートコントラクトを制御できるようになった場合を挙げた。
仮想通貨取引では、流動性の面でステーブルコインの果たす役割も大きいため、こうした攻撃はネットワーク全体に影響を及ぼす可能性があるとも指摘している。
そうしたシナリオも踏まえてリスクマネジメントを強化するまでは、まだ大規模なユースケースには準備できていないと意見した。
仮想通貨支持で知られるジョン・ディートン弁護士はこの議論を引用し、仮想通貨が前進していく上では、こうした「健全で成熟した議論」が不可欠だとして、コミュニティに意見を募集している。
キャンベル氏はこれに応答し、解決不可能な問題だと主張しているのではなく、現時点でまだ解決されていないとだけ述べているものだと強調。自分は「イーサリアムの大ファン」であり、建設的な批判を行ったものだと続けた。
ステーブルコインとは
価格が常に安定している(stable)仮想通貨を指す。ステーブルコインは暗号資産の一種で、BTCやETH、XRPなど変動性のある資産とは異なり、米ドルなどに裏付けられその価値を保つことが目的だ。米ドルの裏付けによるステーブルコイン(USDT・USDC)のほか、アルゴリズムを利用するステーブルコインもある。
キャンベル氏は、仮に北朝鮮などがUSDCのコントラクトを掌握した場合、サークル社はどのように対応するのかとも疑問を投げかけた。
新しいスマートコントラクトを展開したり、チェーン(決済や取引)をロールバックすることが考えられるものの、これには法的責任問題が伴うと述べる。実物資産の場合は、発行者や取引所、関係者に義務を課す法的枠組みが整備されているが、トークン化資産の場合はまだ整備されていないとも示唆した。
Bybitのハッキングについては同取引所のセキュリティ上の問題もあり、一概にイーサリアムのセキュリティの問題とは言えない部分もある。
ただ、キャンベル氏の見解は、トークン化資産が増加し、ステーブルコインの時価総額も今後数年での拡大が予想される中、リスク強化についての議論を喚起するものとなった。
ヴィタリック氏、イーサリアムトレジャリー企業へ見解
イーサリアムについては、財務資産として採用する企業も増えているところだ。イーサリアムのヴィタリック・ブテリン共同創設者は先週、Banklessポッドキャストでイーサリアムを蓄積する財務戦略を採用する企業について語った。
人々がイーサリアムにアクセスするための手段が多様化することで、最終的にイーサリアムのエコシステムが強化されると評価している。
トレジャリー戦略が何らかの形で過剰レバレッジのゲームに変わってしまうことへの懸念も表明しつつ、そうした企業は責任感があり、ネットワークを不安定化させるようなことはしないだろうとも信頼を示した。
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