はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習-運用 WebX
CoinPostで今最も読まれています

暗号資産の金商法移行 日本の法整備徹底解説|WebX2025

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

暗号資産の金商法移行 日本の法整備徹底解説

大型Web3カンファレンス「WebX」では25日、暗号資産の金商法移行についてディスカッションが行われた。

タイトルは「暗号資産の金商法移行 日本の法整備徹底解説」。登壇したのは以下のメンバーである。

  • 廣末 紀之氏:ビットバンク株式会社代表取締役社長CEO
  • 片山 さつき氏:参議院議員/自由民主党決算委員長/金融調査会長
  • 増島 雅和氏:森・濱田松本法律事務所パートナー
  • 白石 陽介氏:一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会副会長

「WebX」は国内最大手のWeb3メディア「CoinPost」を運営する株式会社CoinPostが企画し、一般社団法人WebX実行委員会が主催するWeb3カンファレンスで、今年は8月25日と26日に「ザ・プリンスパークタワー東京」で開催されている。

税制問題が業界発展の最大の障壁

自民党金融調査会長を務める片山さつき氏は、暗号資産の金商法移行の背景について「課税の問題が根本にある」と明言した。現在、暗号資産の売却益は雑所得として最高55%の税率が適用されるが、「これでは普通の投資商品として活発に売買できない」と指摘した。

片山氏は「他の投資商品と同程度の厳しいガバナンスや枠組みがなければ、投資家保護もされていることにならない。そのため金商法並みの取り扱いが必要」と説明し、税制当局との交渉における政治的背景を明らかにした。

米国のクラリティ法との類似性

森・濱田松本法律事務所の増島雅和氏は、今回の日本の規制方針が「アメリカのクラリティ法と非常に近い」と分析した。

具体的には以下の2つの類型に暗号資産を分類する方針が示された:

資金調達・事業活動型

・発行者と投資家の情報格差を埋めるための情報提供義務
・虚偽記載に対する厳格な罰則付きホワイトペーパーの提出
・重要事項変更時の継続的開示義務
・発行体のネットワーク支配力低下時の開示義務免除(リフトオフ)

非資金調達型(ビットコインなど伝統的暗号資産)

・投資セミナーやSNSでの無資格勧誘行為の規制
・金商法上の投資運用業者ライセンスの適用
・インサイダー取引規制の導入

インサイダー取引規制の実態

インサイダー取引規制について片山氏は「従来の有価証券とは発行体の意味や重要事実の意味が異なるため、そのまま適用するわけではない」と説明した。

「マーケットマニピュレーション、パンプ・アンド・ダンプ、フロントランニング、ウォッシュトレーディングなど、すでに起きている不公正取引を捕まえられるようにする」とし、最終的には包括条項(バスケットクローズ)で対応する方針を示した。

事業者への影響と業界の課題

ビットバンクの廣末紀之氏は事業者の立場から「規制強化によりコストは増加するが、税制改正とセットであればプラスになる」と評価した。

「日本の取引量が脆弱な最大の要因は税制。ここが緩和されない限り取引は増えず、日本の産業は活性化しない」と税制改正の重要性を強調した。

一方で「DeFiやL2、AI関連など、インベストメント以外の特性を持つ暗号資産を金商法の枠で整理していいのか迷いと不安がある」とも述べ、幅広い暗号資産の特性に対する懸念を示した。

今後の業界展望

増島氏は「ステーブルコイン、暗号資産、セキュリティトークンで全体が大きなエコシステムとして回っていく世界観を来年以降目指すべき」と将来像を描いた。

廣末氏は「既存の金融業界とクリプト業界の融合が急速に進む。それぞれのいいところを持ち合って新しい金融イノベーションを起こしていく」と期待を示した。

片山氏は政治的観点から「トランプ政権は100の約束を根性でやり遂げる。国民を豊かにする運動として暗号資産を位置づけており、価格の安定性まで政府が配慮している」と米国の政治的コミットメントを評価し、日本も同様の姿勢が必要と述べた。

▼登壇者概要

廣末 紀之氏:ビットバンク株式会社代表取締役社長CEO

野村證券でキャリアをスタートした後、インターネット分野に魅了され、IT系スタートアップの立ち上げや経営に長年携わる。GMOインターネット株式会社常務取締役、株式会社ガーラ代表取締役社長、コミューカ株式会社代表取締役社長などを歴任。

2012年に「暗号資産技術はマネーのインターネットになる」と確信し、2014年にビットバンク株式会社を創業。さらに2022年には、機関投資家や事業会社を対象としたデジタルアセット信託事業への参入を見据え、日本デジタルアセットトラスト設立準備株式会社(JADAT)を設立し、代表取締役を兼務。暗号資産取引所ビットバンクとデジタルアセット特化型信託事業の双方を通じ、健全な暗号資産エコシステムの発展に尽力している。

片山 さつき氏:参議院議員/自由民主党決算委員長/金融調査会長

昭和34年、埼玉県生まれ。昭和57年に東京大学法学部を卒業後、大蔵省(現:財務省)入省。フランス国立行政学院(ENA)修了。 広島国税局海田税務署長(西日本女性初)、主計局主査、G7サミット政府代表団員、主計局主計官等女性初のポストを歴任。

平成17年、第44回衆議院議員総選挙で静岡7区より選挙区初当選し直後、経済産業政務官、広報局長等を歴任。平成22年から参議院議員(全国比例区)として3期目。総務政務官、外交防衛委員長、自民党政調会長代理、自民党総務会長代理等を歴任、第4次安倍内閣で入閣し内閣府特命担当大臣、地方創生・規制改革・女性活躍推進等担当(2018~2019)。自民党金融調査会長(4期連続)、本年1月より参議院決算委員長。

増島 雅和氏:森・濱田松本法律事務所パートナー

暗号資産・ブロックチェーン分野における「第1世代」の弁護士として、10年以上にわたり業界のルールメイキングに携わる。これまで多くの事業者のライセンス取得、新規事業・新商品の開発支援を手掛け、日本の暗号資産ビジネスの発展に貢献してきた。

白石 陽介氏:一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会副会長

ヤフー株式会社にて、PayPayを立ち上げた後、2019年株式会社ディーカレットにCTOとして参画。デジタル通貨事業を立ち上げる。 2020年 株式会社ARIGATOBANKを設立。代表取締役に就任。2024年より株式会社カブアンドピース 執行役員 決済金融部門管掌。株式会社MZ Cryptos代表取締役、株式会社Hashport社外取締役、DecimaFund Co-Founder、MZWeb3Fund GP、JCBA副会長。自民党web3WG事務局など。

▼WebXとは

WebXとは、日本最大の暗号資産・Web3専門メディア「CoinPost(コインポスト)」が主催・運営する、アジア最大級のWeb3・ブロックチェーンの国際カンファレンスです。

このイベントは、暗号資産、ブロックチェーン、NFT、AI、DeFi、ゲーム、メタバースなどのWeb3関連プロジェクトや企業が集結。起業家・投資家・開発者・政府関係者・メディアなどが一堂に会し、次世代インターネットの最新動向について情報交換・ネットワーキングを行うイベントです。

数千名規模の来場者と100名以上の著名スピーカーが参加し、展示ブース、ステージプログラムなどを通じて、業界最前線、グローバル規模の交流とビジネス創出が行われます。

▼WebX開催背景

日本市場は、政府によるWeb3政策の後押しを受け、世界各国から大きな注目を集めています。

他の先進国と比較した時の日本経済・国際競争力の低下が問題視される中、越境を強みとするWeb3分野は、アニメ、マンガ、ゲームなどIP(知的財産)大国と呼ばれる日本のコンテンツ産業等、さまざまな業種のDX(デジタル変革)化や、グローバル事業への進出を大きく後押しする可能性があります。

しかしながら、言語環境等を背景とした閉じた制度設計や最先端技術を取り巻く環境実態に則していない規制面などが課題としてあり、国外への人材流出、有望スタートアップの育成不足が課題として挙げられます

また、日本国内の事業者からは、Web3事業を進めるための知識やビジネスアイデアの構築、企業間ネットワーク、専門知識を有する人材不足などが浮き彫りになっていることが指摘されます。

このような背景を踏まえ、CoinPostでは、Web3分野で国際間交流と情報・人材の流通網を確立できる国際カンファレンスの確立がアジア市場における日本のブロックチェーン産業全体の成長に必要不可欠であると考えております。

日本だけでなく、世界各国でWeb3関連事業に携わる企業や関係者が一堂に会するイベントを開催するにあたり、第3回となる「WebX 2025」を開催する運びとなりました。

▼カンファレンス概要

開催日 2025年8月25日(月)・26日(火)
開催場所 ザ・プリンスパークタワー東京
主催 一般社団法人WebX実行委員会
企画 株式会社CoinPost
公式サイト https://webx-asia.com/ja/
CoinPost App DL
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
09/02 火曜日
18:41
「ガス代ゼロで金融の自由を」TRON創設者が語る、ステーブルコイン普及戦略と中国香港展開|独占インタビュー
TRON創設者Justin Sun氏独占インタビュー。ガス代無料のGasFree技術、2.5億ドル超の犯罪資産の凍結を実現したT3+イニシアチブ、中国香港を拠点とした世界戦略を語る。
18:29
コインチェックグループ、仏Aplo買収で機関投資家向け事業を強化
コインチェックグループが仏Aplo買収を発表。欧州進出の第一弾として機関投資家向け事業を強化し、流動性やB2B2C展開を拡大へ。
15:55
暗号資産制度に関する第二回「金融審議会」、有識者の委員らが議論交わす
金融庁は9月2日の審議会で暗号資産規制を金商法に移行する方針を示した。資金調達型と非資金調達型の2類型に分類し、詐欺的勧誘への対応強化と発行者の情報開示義務化を検討。業界団体は実質的支配に基づく判定基準を提案。
13:55
エルサルバドル、ビットコイン準備金を複数のアドレスに移管 量子リスクに備える
エルサルバドルは、ビットコイン準備金のセキュリティ強化を目的として、従来の単一アドレスでの保管から複数の新規未使用アドレスへの分散保管に移行したと発表した。国家ビットコイン事務局は、このような措置を取る理由として、ビットコイン管理のベストプラクティスであり、将来の量子リスクに備えるためだと説明している。
13:40
トランプ一族、仮想通貨WLFI上場で55億ドルの資産獲得=WSJ報道
WSJ報道によると、トランプ大統領一族の仮想通貨WLFI保有資産価値が55億ドルに達し、数十年築いた不動産ポートフォリオを上回る価値となった。
12:40
ビットコイン反発で11万ドル台回復、ビットフィネックスのアナリストは4Qの強気予測を堅持
暗号資産(仮想通貨)ビットコインは8月下旬の大口投資家による大量売却の影響が残る。売却資金はイーサリアムに流入し、長期投資戦略の転換を示唆。一方、コインベース・プレミアムギャップは+11.6と高水準を維持し、米機関投資家の需要は底堅い。ビットフィネックスは9月底値形成後のQ4アルトコイン急騰を予測するが、米雇用統計やFRB金利決定などマクロ経済指標への警戒感が市場の重しとなっている。
11:40
トランプ一族のWLFI、供給量削減のためトークンバーン提案
トランプ一族が支援するWLFIのコミュニティが独自仮想通貨の供給量削減する方法を提案した。長期保有者の価値向上などを目指すとしている。
10:50
「仮想通貨の時価総額は2034年までに約1.5京円に達する可能性」GS元幹部
ラウル・パル氏は、仮想通貨はインターネットの約2倍の速さで普及しているとのデータを公開。仮想通貨の時価総額が2034年には約1.5京円に達する可能性があるとの分析も投稿している。
10:05
中東大手不動産開発会社、ビットコインなど仮想通貨決済導入
アラブ首長国連邦の大手不動産開発企業RAK Propertiesが仮想通貨決済を導入した。ビットコイン、イーサリアム、USDTなどで不動産購入が可能になる。
08:15
ビットコインクジラがイーサリアム大量購入継続、38億ドル超を保有
7年間休眠していた大口ビットコイン投資家が今週月曜日に2億1500万ドル相当のBTCを売却し、イーサリアム購入を継続。総保有額40億ドル超に拡大しシャープリンクのETH保有を超えている。
07:30
「仮想通貨は基本的に金商法のみで規制を」金融庁が検討へ
金融庁は、仮想通貨を現行の規制である資金決済法の規定ではなく、基本的に金商法のみで規制することを検討する。理由はルールが複雑になったり、企業の負担が生じたりする懸念があるためである。
06:55
中国の国有企業が世界初のRWAデジタル債券発行、イーサリアム上で103億円相当調達
深セン市福田投資控股が世界初のイーサリアム公開上場RWAデジタル債券を香港で発行。5億人民元、期間2年、利率2.62%でフィッチA-格付け。
06:30
OKX、6銘柄の上場廃止を発表
大手仮想通貨取引所OKXが上場基準未達を理由にWBTC、JST、BTT、ERN、GLMR、MOVRの12取引ペアを9月8日に上場廃止すると発表。
06:05
豪州年金基金に仮想通貨流入加速、コインベースとOKXが専用サービス展開
ブルームバーグ報道によると、オーストラリアの4.3兆豪ドル規模年金制度で仮想通貨投資が拡大。コインベースとOKXが自主管理年金基金向けサービスを開始。
05:45
トランプ関連WLFIがバイナンスやコインベース上場、トークン販売価格から10倍超上昇
トランプ大統領一族支援の仮想通貨プロジェクトワールドリバティファイナンシャル(WLFI)がバイナンスやコインベースで取引開始。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧