
ビットコインの市況分析
暗号資産(仮想通貨)運用企業Bitwise(ビットワイズ)のマット・ホーガン最高投資責任者は21日、ゴールド(金)の価格上昇はビットコイン(BTC)にとって好材料であるとの見方を示した。
ゴールドの価格上昇の要因や市況を分析した上で、ビットコインにも同様のことが起きうると予測。ゴールドの上昇をうらやましく思うのではなく、忍耐強く待って、期待を持つように呼びかけている。
21日公開の定例のメモでホーガン氏は最初に、過去最高値を21日まで更新していたゴールドが、ビットコインよりもはるかに大きく上昇していたことを指摘。そして、なぜこれがビットコインにとって好材料になるかを考えるために2つの大きな疑問を提示した。
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その上で、1つ目の疑問の答えがわかれば2つ目もわかり、その答えがビットコインの強気な見方につながると主張している。
疑問の1つ目は「なぜゴールドがビットコインよりも上昇しているか」。ホーガン氏は、ゴールドは2025年に57%上昇している一方で、ビットコインは今年5月と同じような水準で推移していると指摘した。この状況は、ビットコインを「デジタルゴールド」と考える投資家に失望感を与えているとしている。
その上で、ゴールドとビットコインのパフォーマンスに差が出ている要因は中央銀行にあるとした。
2022年2月にウクライナに侵攻したロシアに米国が制裁を行った後、各国の中銀はゴールドを多く買い集めていると指摘。そして、両国の戦争開始後、中銀のゴールド購入量は約2倍になったとのデータを引用した。
一方、ビットコインは中銀に研究はされていても、購入まではされていないと指摘。ゴールド上昇の要因が中銀の購入である場合、ビットコインの価格はゴールドについていけないとした。
つまり、ゴールドの上昇にビットコインがついていけない大きな要因は、中銀による購入がないことだとの見方をまずは示している。
ETFや企業の需要
2つ目の疑問は、「(中銀が買っていなくても)ETFと企業の購入が多いのにビットコインの価格が上昇しないのはなぜか」だ。ETFやビットコイン財務企業が、新規供給量を超えるペースでビットコインを買い続けていることは以前に明らかになっている。
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ホーガン氏は、2024年1月に米国でビットコイン現物ETFがローンチしてからビットコインは135%上昇はしているが、多くの人々がさらに上昇することを予測しているとした。
そこで同氏が着目したのが売り圧力。つまり、ETFと企業が購入を継続していても、誰かがビットコインを売っているから「20万ドルに到達しない」との主張だ。
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この売り圧力を特定するために引用したのもゴールドの値動き。以下のグラフを引用し、中銀によるゴールドの購入は2022年から増え、その後は同水準である一方で、価格は2025年まで高騰はしなかったと指摘した。

出典:Bitwise
なお、以下が過去5年間のゴールドのチャートである。

出典:TradingView
その上でホーガン氏は、どんな市場にも価格に敏感な投資家がおり、その投資家は10%から15%価格が変動すると行動を起こす傾向があると指摘。この売り圧力が、中銀がゴールドを買い始めてから価格が高騰するまでに時間がかかった理由だとした。
そして、この売却が終わったからゴールドは2025年に急騰したと分析。ビットコインにも同じことが当てはまり、ETFと企業の購入が続き、価格に敏感な投資家が売り終われば、価格は急騰するとの見方を示している。
つまり、ゴールドにとっての中銀は、ビットコインにとってのETFと購入企業に相当するという論理だ。ホーガン氏は「ある時点」で売却が収まり、ビットコインは「ゴールド2025」の動きをすると予測。そのため、今は忍耐強く待つよう呼びかけた。