
*本レポートは、X-Bankクリプトアナリストである仮想NISHI(@Nishi8maru)氏が、CoinPostに寄稿した記事です。
仮想通貨マーケットレポート(10/8 AM8時)
仮想通貨ビットコイン(BTC)は7〜8日にかけて、史上最高値付近まで上昇したのち急落するという激しい値動きを見せた。最高値圏では流動性が極めて薄く、ボラティリティが急拡大しやすい局面にある。7日夜の急落の要因のひとつとして、約6,000億円(32,322BTC)のオンチェーン移動が確認されたが、この一連の動きは上昇局面で過去にも見られた典型的な動きである。

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10月7〜8日相場状況
オーダーブック(板情報)を分析すると、史上最高値圏に位置することから、現値の上下いずれの水準でも厚みが乏しく、極めて薄い板状況にあることが分かる。このため、わずかな成行注文でも価格が大きく振れやすく、瞬間的な急騰・急落が発生しやすい環境が続いている。

デリバティブ市場をみると、10日限の現物価格より先物価格が低いバックワーデーションが見られる(下画像赤枠)。依然として需給は引き締まっており、買い需要が旺盛であることが見受けられる。

暗号資産全体を俯瞰すると、多くの銘柄で現物価格が先物価格を下回っており、いわゆる「売られすぎ」の状態が継続している点も注目される。

オプション市場では、史上最高値である12万4,000ドルを上回る価格帯でのコールポジションが引き続き増加している(下画像赤枠)。一方で、プット・コールレシオ(PCR)は極めて低い水準にあり(下画像黄矢印)、投資家心理が強気に大きく傾いていることが鮮明である。オプション市場の構造からも、投資家がさらなる上昇を見込んでいる姿勢が読み取れる。

過去2カ月の主要アセットクラスとの相関分析によれば、Nasdaq100が−0.16、金(ゴールド)が−0.10、原油(オイル)が−0.17と、いずれも低い相関値を示している。つまり、現在のビットコインは主要アセットクラスとの連動性が極めて薄く、独立した値動きをしていることが確認できる(下画像赤枠)。

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現状分析(10/8日 AM8時)
史上最高値圏での急騰・急落は、2017年や2021年の相場でも繰り返し発生してきた典型的な現象である。しかし、内部需給やオプションポジション構成を見る限り、現在の市場は依然として上昇余力を残していると判断できる。
さらに、他のアセットクラスとの相関が低下している局面では、ビットコインが独自のファンダメンタルズ主導で強含む傾向が過去にも確認されている。これらの点を総合すると、今回の上昇ラリーは一時的な調整を挟みながらも継続する可能性が高いと考えられる。
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