
ETFへの流入や米政府閉鎖を背景に予想
スタンダード・チャータード銀行のデジタル資産調査責任者ジェフ・ケンドリック氏は2日、暗号資産(仮想通貨)ビットコイン(BTC)の2025年末の価格目標は20万ドルと改めて予想した。
顧客向けメモの中で、ビットコインは数週間以内に13万5,000ドルに達する可能性があると述べている。7月には、9月30日までにこの水準に到達するとしていたが、このペースからは遅れている。
米国でビットコイン現物ETF(上場投資信託)が上場してからの累純流入額は約600億ドルに達しているが、そのうち230億ドルは今年に入ってからのものだ。ケンドリック氏は、年末までに少なくともさらに200億ドルの流入が見込まれるとしている。
こうしたペースで需要が維持されれば、年末に20万ドルに達することは可能だと見る格好だ。
先週、米国のビットコイン現物ETFへの流入額は22億5,000万ドルに達しており、1日には9月12日以来の水準である6億ドルを超える流入が観測されている。
ビットコイン現物ETFとは
ビットコインを投資対象に含んだ上場投資信託(Exchange Traded Fund)のこと。実際にビットコインを購入し、そのビットコインを基にした信託(ETF)を株式市場で取引するもの。投資家は直接ビットコインを購入することなく、その価値に投資することが可能になる。
ケンドリック氏は、米国政府の閉鎖という要因も今後数週間でビットコイン価格をさらに押し上げる可能性があると述べた。
分散型予測市場ポリマーケットでは現時点で、政府閉鎖の解除は10月15日以降になると予想する票が70%に上っているところだ。ケンドリック氏は、閉鎖期間中はビットコイン価格の後押しがある可能性が高いと意見している。
また、今年ビットコインは米国債の期間プレミアム(長期債を保有するリスクに対する追加的な利回り)にも反映されているような「米国政府リスク」と密接に連動しているとも指摘。政治的な問題が深刻化するにつれて恩恵を受けると続けた。
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ケンドリック氏は以前よりビットコインが2025年中に20万ドルに到達するとの予想を維持している。仮想通貨トレジャリー企業によるビットコイン購入、ステーブルコイン規制の「ジーニアス法」成立なども後押し要因として上げていた。
ケンドリック氏よりも控えめな予測としては、JPモルガンのアナリストらが、ビットコインが年末までに16万5,000ドルまで上昇する可能性があるとしている。
ボラティリティ(価格変動の大きさ)調整ベースで金(ゴールド)と比較した場合、ビットコインが過小評価されていることを背景とした予想だ。
また、シティグループは2025年末のビットコイン価格を13万3,000ドルと予想。今後は、特に米国における規制環境の改善が上昇要因となるが、景気後退圧力などのマクロリスクが強気シナリオを頓挫させる可能性もあると注意を促している。
弱気シナリオとしては、マクロ経済環境の悪化を背景としてビットコインが8万3,000ドルまで下落することも想定に挙げた。
なお、イーサリアム(ETH)についてはステーキング需要の拡大、DeFi(分散型金融)プラットフォームの発展などを背景として2025年末に4,500ドルと予想している。
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