
ドル離れと脱リスク化の動きが加速
ブルームバーグが7日に報じたところによると、米大手ヘッジファンド シタデルの創業者ケン・グリフィン氏は投資家がドルより金を安全資産と見なし始めている状況について「非常に懸念している」と述べた。同氏はブルームバーグのフランシーン・ラクア記者とのインタビューで、人々が事実上ドル離れやポートフォリオの脱リスク化を図る方法を模索しており、ドルから大幅な資産インフレが起きていると指摘した。
グリフィン氏は、今年投資家が金、銀、ビットコインへの投資を増やしており、これが「デベースメント・トレード」と呼ばれていると説明した。デベースメント・トレードとは、政府赤字やインフレ、地政学リスク、法定通貨の弱体化への懸念から、代替的な価値保存手段へ資金を移す投資行動を指す。連邦政府機関の閉鎖長期化と利下げの見通しが金やビットコイン(BTC)の価格を押し上げ、7日には記録的水準に達した。
グリフィン氏は、米国が通常は景気後退時に見られる規模の財政・金融刺激策を実施しており、これが市場を押し上げていると述べ、「米国経済は現在、いささか砂糖でハイな状態にある」と表現し市場の過熱感へ懸念を示した。
JPモルガンの見解
The BlockとCoinDeskが報じたところによると、JPモルガンのアナリストは10月2日、ビットコインが年末までに16万5,000ドルまで上昇する可能性があるとの見解を示した。ボラティリティ調整ベースで金と比較した場合、ビットコインは過小評価されているという。
JPモルガンのアナリストらは、ビットコインと金のボラティリティ比率が2.0を下回り、ビットコインが金の約1.85倍のリスク資本を消費している状況だと指摘した。この比率に基づくとビットコインの現在の時価総額2兆3,000億ドルは約42%上昇する必要があり、理論上の価格は16万5,000ドルになるとした。
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JPモルガンは、デベースメント・トレードでは個人投資家の傾向が強いと分析。同行は8月にビットコインの年末価格を12万6,000ドルと予測していたが、今回の新たな目標価格は金の値動きを反映したものとなっている。
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