はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習-運用 WebX
CoinPostで今最も読まれています

新たな取引チャンスも、「イーサリアム基盤・DeFi使用のトレード戦略分析」バイナンス・リサーチ調査

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

バイナンスの研究部門がDeFiでのトレード戦略を分析
バイナンスの研究部門は、分散金融(DeFi)市場での裁定取引およびキャリートレード戦略の分析レポートを公開した。DeFi内で完結する戦略と既存の金融機関を利用する手法の両方で分析が行われた。

バイナンス・リサーチがトレード戦略分析を公開

大手仮想通貨取引所バイナンスの調査研究部門、バイナンス・リサーチが、分散化金融におけるアービトラージ(裁定取引)やキャリートレードの取引戦略に関する新たなレポートを公開した。

同レポートでは、DeFi領域内で完結する取引と、中央集権型金融(CeFi)間での取引の両方のケースにおけるリスクと制限について、具体的な例を挙げながら説明している。

市場価格の非効率性に基づいて行われるアービトラージは、一般的に成熟度の低い市場に対してより多くのチャンスが存在するが、レポートで分析対象となったのは次のようなプラットフォーム間での取引戦略だ。

1.DeFiプラットフォーム

2.カストディプラットフォーム (CeFi)

3.非ブロックチェーン金融機関(銀行、融資会社等、CeFi)

DeFiとCeFi間の取引の事例分析

1. 銀行(CeFiプラットフォーム)とDeFiプラットフォーム間

商業銀行(CeFi)から無担保で借り入れた資金(米ドル)をステーブルコインUSDCに両替し、DeFiプラットフォームCompoundまたはdYdXに預け入れる。

このケースで年間利息が得られるのは、次の条件を満たす場合:

USDC 貸出金利(複利)% > USD 預金金利%

なお、レポートでは、収益を最大化するためには、銀行からの借入ではなく普通預金口座からCompoundまたはdYdXに預け入れることが、より現実的な方法だと述べている。

CeFi-DeFiアービトラージのポジションを構築する際の注意事項として、次のような点をあげている。

(1)変動レートのボラティリティ

DeFiプラットフォームでは、金利はプロトコルの需要と供給のメカニズムに基づいて変動するため、貸出金利に関連するボラティリティリスクが生じる。DeFiの規模が小さいことも関係している

(2)CeFiローンの早期返済に対するペナルティ

(3)イーサリアムブロックチェーンの手数料ガス

次にDefiプラットフォーム独自のリスクとして、資金の引き出しリスク、中央管理者が金利設定モデルを変更するリスク(透明性は維持)、スマートコントラクトに関するリスクをあげた。なお、スマートコントラクトのリスクに関しては保険も充実してきているという。

2. カストディプラットフォームとDeFiプラットフォーム間 

事例:BlockFiとdYdX間の取引

BlockFiの貸出金利がdYdXの借入金利よりも高いため、両者間の金利差は裁定可能だと判断される。 dYdXにおいて、DAI またはUSDCを担保とし、初期レート0.99%でETHを借り入れ、 BlockFiで3.3%のレートでETHを貸し出す。

このアービトラージ事例におけるリスクと考慮すべき点として、次のような点をあげた。

(1)BlockFiのようなCeFiが、借入金利と貸付金利を手動で設定する点

(2)価格変動リスク:ETHの価格が上昇した場合、dY​​dXのポジションが清算される 可能性があり、監視が必要

(3)スマートコントラクトのリスク

(4)ローン承認の不確実性:BlockFiローンのマッチングプロセスに時間を要すると、   収益損失に繋がる可能性がある

3. dYdX とBinance Lending間の事例

dYdXにおいて、DAIまたはUSDCを担保とし、初期レート0.99%でETHを借り入れ、 Binance Lendingで6.0%のレートでETHを貸し出す。BinanceのETH貸出金利が、dYdXの借入金利よりも高いため、利益が出ることになる。なおdYdXに預けられた担保にも貸出金利が適用され、担保として使用されるすべてのDaiにも貸出金利が適用される。

このポジションを取る際のリスクとしては、価格変動、スマートコントラクトのリスク、DeFiレートのボラティリティリスクが考えられる。

さらに、この事例では、次のような要素も考慮に入れる必要がある。

(1)Binance Lendingはサブスクリプションに基づくため、満期日前の資金の引き換え ができない。

(2)サブスクリプションの人気が高いため、サブスクリプションごとの上限や ユーザーの使用上限が設けられている。

(3)Binanceの引き出し手数料

(4)イーサリアムブロックチェーンの手数料ガス

DeF間で完結するアービトラージとキャリートレード

1.USDCとDAIの金利差

どちらも米ドルに連動されているが、DAIはUSDCよりも高い貸出金利が設定されている。 リスクは、それぞれの通貨が米ドルとの価格連動からずれてしまうことだが、DAIの価格がUSDCに対して上昇する場合は、さらなる利益が見込める可能性が観測されている。 

また、ETH保有者の他の選択肢として、レポートでは次のようなキャリートレードの例を示している。

CompoundでETHを預け入れ、USDCを借り入れる> 借入たUSDCをKyberまたはUniswapで売り、DAIを購入>CompoundでDAIを貸し出す。 

2. Maker とCompound 間のアービトラージ (過去の事例)

2018年後半、CompoundにおけるDaiのの貸出金利が、MakerDaoエコシステムの安定化手数料よりも高くなった結果、MakerでETHによって担保されたCDPを開設し、CompoundにDaiを預け入れることで、ETHの貸出金利よりも高い年利を得ることができた。 

この方法で利益を得るためには、

Dai の貸出金利(複利)% > 安定化手数料 %

という図式が成り立たなくてはならない。

さらに、CompoundやdYdXとは異なり、CDPに預けられたETHは利息がつかないことに留意する必要がある。

この事例におけるリスクは、MakerDAOにおける担保要件が150%と高いことと利息を生み出さないこと、ガス手数料、ETHの価格下落に伴う清算リスク、複合償還リスク、プラットフォーム固有のリスク(価格予測のミスマッチ)などが挙げられている。

結論

レポートでは、DefFiスペースの成熟度の欠如、プロトコルにおける過剰担保の重要性、およびプロトコルの供給/需要要因を反映した金利設定メカニズムといった理由から、アービトラージの機会は、DeFi内で完結する取引よりもCeFiとDeFi間における取引の方が、持続性があると結論づけている。

また、DAIとUSDCの間では、それぞれのリスクが異なるため、金利の差が生じているとした。

また、取引の上での重要な側面として、長期的な資産配分と金利エクスポージャーの多様化を挙げた上で、次のようなアービトラージに便利な新たな機能が、DeFiプロトコルのセカンドレイヤーとして導入されていることに触れている。

· プラットフォームブリッジ

MakerとCompoundの間で自動的にローンを移動する(InstaDappなど)

·自動的に最適なプラットフォームに割り当てる機能を備えたプロトコルやコントラクト

MetaMoneyMarket やRobo-Advisor for Yieldなど

·プロトコル間の金利の相互化

異なるDeFiプロトコルから統合された金利を提供するプラットフォーム

同レポートでは、DeFiには、Uniswapのような新たな分散型プラットフォームの登場という新たな側面もあり、今後、金利スワップや金利方向性のヘッジなどから「新たな取引チャンス」も生まれてくると、結んでいる。

参考:DeFi Series #2 – Arbitrage and Carry Trade Strategies

CoinPostの関連記事

最大手バイナンス、先物取引所「Binance Futures」と「Binance JEX」を正式ローンチ
先物取引所コンペを実施した2つのバイナンスプラットフォーム「Binance Futures」と「Binance JEX」が両方ローンチされた。取引手数料50%割引キャンペーンなども行われている。
「米国市場は十分チャンスがある」仮想通貨取引所バイナンスUSのCEOがAMA実施
米国版バイナンスCEOのCatherine Coley氏がAMAセッションを実施。質問に回答する中で、「米国の仮想通貨取引市場には十分チャンスがある」と意欲を示した。
CoinPost App DL
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
09/18 木曜日
13:40
ウォーレン米議員ら、トランプ政権の仮想通貨特命官に対する倫理調査を開始
エリザベス・ウォーレン米上院議員ら8名の民主党議員が、トランプ政権のAI・仮想通貨特別顧問デービッド・サックス氏の特別政府職員としての任期制限超過疑惑について倫理調査を開始した。130日の上限を超過している可能性を指摘し、詳細な勤務日数報告を要求している。
13:35
米SECが承認、BTCやXRP投資のマルチ仮想通貨投資信託のETF転換
米SECがグレースケールのマルチ仮想通貨ETPを承認し、ビットコインやイーサリアムなど5銘柄への一般投資家アクセス投資が可能になった。新たな包括的上場基準も同時に導入されている。
13:02
ポリマーケットでの裁定取引で年間60億円の利益発生か 研究者ら分析
分散型予測市場ポリマーケットでミスプライシングを利用した裁定取引により年間60億円の利益が発生しているとの論文が発表された。研究者による分析を解説する。
12:04
FRB利下げ決定も仮想通貨の市場反応は限定的、BNB前週比9.2%高で1000ドルの大台迫る
FOMCでは米FRBが0.25%利下げを決定したが、暗号資産(仮想通貨)への影響は限定的だった。主要アルトコインでは、BNBが前週比9.2%高の1,000ドル目前に。背景としては、バイナンスの規制環境の進展の兆しとMegadropなどの需要が挙げられる。パウエル議長は年内2回の追加利下げを予想するも慎重姿勢を維持。
11:03
業界の行方を決める「天王山」に臨む──ビットバンク廣末氏が描く未来戦略
ビットバンク廣末紀之CEOが語る、預かり資産1兆円規模への成長と今後の展望。金商法への移行と分離課税実現に向けた2025年後半は業界の「天王山」。
11:00
ビットコイン・トレジャリー企業の勢い減速か、4社に1社が純資産割れで取引=K33報告
K33リサーチなどが報告したところによると、ビットコイン・トレジャリー企業の4分の1が純資産価値を下回る時価総額で取引されており、業界の統合が進む可能性が指摘された。
10:02
ヴィタリック、イーサリアムの開発計画をプレゼン
ヴィタリック・ブテリン氏は、仮想通貨イーサリアムの開発計画についてプレゼンを行った。大阪で開催されているイーサリアムのカンファレンスEDCONに登壇した。
09:40
フォワード・インダストリーズ、最大5900億円規模の資金調達でソラナ戦略を推進
米上場企業フォワード・インダストリーズが最大40億ドル規模のATM増資で仮想通貨ソラナトレジャリー戦略を推進する。DeFi Development Corpもソラナ買い増しを発表した。
08:45
トランプ・ジュニア出資のサムザップ、750万ドージコインを初購入
米ナスダック上場のサムザップメディアが750万ドージコインを200万ドルで公開市場から初回取得したと発表した。
07:20
米SEC、仮想通貨ETF上場手続きを大幅簡素化へ
米証券取引委員会が、ナスダック、Cboe BZX、NYSEアルカの3大取引所による包括的上場基準を承認。今後、仮想通貨を含むコモディティベース株式の上場プロセスが大幅に簡素化される見通しである。
07:10
SBI新生銀行、トークン化預金「DCJPY」の導入を検討へ
SBI新生銀行は、円建てトークン化預金DCJPYの導入を検討すると発表。JPモルガンらが参加するプラットフォームを活用し、トークン化預金での多様な外貨の取り扱いも検討する。
06:50
仮想通貨取引所Bullish、NY州からビットライセンス取得 米国展開へ
機関投資家向け仮想通貨取引所ブリッシュが17日にニューヨーク州金融サービス局からビットライセンスと送金業ライセンスを取得したと発表した。
06:25
マネーグラム、ステーブルコイン送金サービス開始 
国際送金大手のマネーグラムが9月17日にクロスミントと提携しステーブルコインを活用した新たな送金サービスを南米コロンビアで開始すると発表した。
06:02
カルシ、予測市場エコシステムハブ開始 ソラナとベースと提携
予測市場プラットフォーム大手Kalshiが17日、ソラナとベースとの提携によるエコシステム支援ネットワーク「カルシエコ」の開始を発表した。
05:45
米CME、ソラナとXRPの先物オプション取引を10月に提供予定
世界最大のデリバティブ取引所CMEグループが10月13日にソラナとXRPの先物オプション取引を開始すると発表した。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧