はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習 WebX
CoinPostで今最も読まれています

仮想通貨リスクの仕組みから紐解く「コインチェック新サービスの重要ポイント」=LiskJapan寄稿

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

コインチェックの新サービスとLiskの投票の仕組みを徹底解説

仮想通貨取引所コインチェックは1月9日、仮想通貨Liskのステーキングサービスの提供を発表した。

仮想通貨取引所がLiskのステーキングサービスを採用する事例として世界初。キャピタルゲインが中心であった仮想通貨投資にLiskを保有するだけで資産が増えるインカムゲインという新たな価値を提供することになる。

預り資産であるLSKの一部を運用するというが、実際どのような仕組みなのか?本稿では、Liskプロジェクトと技術の動向を追う「Lisk Japan」が解説を行う。

コインチェックのLiskステーキングサービスの説明の前に、Liskとは何か、ステーキングサービスを理解する上での用語の説明を行う。

Liskとは

Liskは世界で最も一般的に使用されているプログラミング言語 “JavaScript” を開発言語とする、Max KordekとOliver Beddowsにより開発されたブロックチェーンアプリケーションプラットフォームだ。

フロントエンドはhtml5, css3, JavaScript 、バックエンドはJavaScript, node.jsで構築が可能。個人・企業におけるブロックチェーンの技術者不足を解消するだけでなく開発コストを低く押さえ、主力となるサービス開発に最大限のリソースとコストを集中させることができる。

Lisk自体はスマートコントラクトを持っていないが、Liskサイドチェーン上に設置する事が可能。

採用するアルゴリズムと承認の仕組み

ビットコインは、多くのマイニングマシンを利用した計算能力でブロックの承認権利を競う(特定の条件を満たすハッシュを探す問題を最初に解いたものに権利)PoW(プルーフ・オブ・ワーク)というコンセンサスアルゴリズムを採用している。

一方のLiskは、DPoS(デリゲーテッド・プルーフ・オブ・ステーク)を採用している。

違いは、通貨保有者自身がブロックの承認者になるのではなく、サードパーティーに作業をアウトソースするための投票システムが備わっている。具体的には、通貨保有者の代わりに、ネットワークを維持するデリゲートに対して投票を行う投票制度がある。

この選出された人達をデリゲートと呼び、Liskの場合、投票数の上位101名がアクティブデリゲートと呼ばれブロック生成を行うことができるようになる。

このブロック生成を行うことをLiskではフォージング(鋳造)と呼び、新規発行されたLSKが報酬(フォージング報酬)としてデリゲートへ支払われる。デリゲートは受け取った報酬をノブリスオブリージュの精神に則り、自身へ投票してくれた投票者へ自主的に還元する仕組みだ。

後述するが、コインチェックは、ユーザーの資金を運用し、この投票を行うことで、報酬獲得(投票者からの還元)を目指すことになる。

その他のアルゴリズム比較

  • PoW(Proof of Work) : ビットコインに代表されるコンセンサスアルゴリズムでマイニングを行うマイナーが膨大な計算により取引情報の正当性を証明し承認し報酬を得る仕組み。
  • PoS(Proof of Stake) : 仮想通貨の保有量と保有期間に応じて取引の承認権を得て、報酬を得る仕組み。
  • PoI(Proof of Importance) : PoIは保有量と取引量、そして取引回数による貢献度をもとに取引の承認権を得て、報酬を得る仕組み。

vote(投票)とは(2020年1月9日現在)

voteとは上記で述べたデリゲートを選出するためにLSKトークン保有者がブロック生成を委任したい人を選出するために行う投票のこと。

PC版の公式ウォレットから投票を行うことができ、手数料が1LSKかかる。(1LSKにつき33人まで投票可能、最大101人まで)

投票することによりデリゲートから還元される報酬はvote報酬と呼ばれる。

コインチェックのLiskステーキングサービスについて

コインチェックはLSKを保有しているユーザーの預かり資産を利用しLiskデリゲートへの投票を実施、上記でも述べた仕組みを利用しvote報酬を得ることとなり、コインチェックはこの報酬をLSKを保有するユーザーの保有量に応じて付与する。

このサービスは報酬から手数料を差し引いたものをユーザーへ付与するもので、通常は自身が保有しているウォレットから手数料を支払い投票しvote報酬を受け取るが、この作業をコインチェックが代わりに行うことになる。

ステーキング報酬の付与はコインチェックの取引アカウントにて1日あたり平均10LSK以上保有、もしくは貸仮想通貨アカウントで貸出中ではないLSKを10LSK以上保有しているユーザーが対象。

一部専門的な内容があるvoteの機能を代理運用されるため、自身のウォレットにLSKを移動して投票しなくてもコインチェックに預けておくことで報酬を受け取れる、便利なサービスになる可能性がある。

一方で、可能性としているのは、コインチェックのvote先が投票数の上位101名のアクティブデリゲートに選ばれ、報酬が支払われた場合という、報酬を得られるポイントに一部条件があるためだ。

新DPoSについて

現在のLisk DPoSは、必ずしもエコシステムへの貢献度を反映するシステムになっておらず、デリゲートが固定的になっている状況がある。

デリゲートが固定されてしまうと、仮に悪意のあるデリゲートが存在し団結した場合、51% 攻撃が発生する可能性がある。(ネットワーク全体の51%を取られる)

51%攻撃とは悪意のあるグループまたは個人により、ネットワーク全体の採掘速度の 51%(50% 以上)を支配すること。

そのためできるだけ立候補したデリゲートが公平に選任されるようシステムを改善し、より安全でクリーンなDPoSへ変えようという動きがあり、これが新DPoSに相当する。

それでは、いくつかある案の中で有力なものについて現在のDPoSと比較してみる。

[承認作業に携わる人数]

(既存)アクティブデリゲート101名

(新) アクティブデリゲート101名に加え1000LSK以上保有しているスタンバイデリゲートの中から2名(都度ランダム選出)

[デリゲートランクを決める投票数(投票の重み)]

(既存)投票者の保有枚数

(新) 投票者が投票時にロックした枚数

※ロックは、既存DPoSにはなかった機能で、投票時に一定時間トークンのロックされる。

投票したデリゲートが不正を働くなどした場合はロック期間が延長。ここで取り上げた提案はLIP0022、及びLIP0023となり、他のDPoS提案(LIP)より優先されるべき事案となる。詳細については下記リンクを参考に。

LIP0022:参照

LIP0023:参照

この記事はLisk Japanによって寄稿されました。

Lisk Japanは「より簡単なブロックチェーンの構築」を目指すブロックチェーン・アプリケーション・プラットフォーム”Lisk”を普及させることを目的に発足されました。

ウェブサイトliskjapan.org

Twittertwitter.com/LiskJPN

CoinPost App DL
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
12/10 水曜日
18:00
JPYC株式会社、次世代金融カンファレンスMoneyX 2026の企画・運営として参画決定
JPYC株式会社が、2026年2月27日に東京都内で開催される次世代金融カンファレンス「MoneyX」に共催企業として参画。ステーブルコインやデジタル証券など「通貨の進化と社会実装」をテーマに、産官学のリーダーが議論を行う。
17:48
仮想通貨のインサイダー規制導入、市場成熟へ IEO投資上限も提案|金融審議会
2025年12月10日公表の最新の金融審議会報告書で暗号資産(仮想通貨)が金商法の規制対象になることが明記された。IEO投資上限のほか、コード監査義務化、インサイダー取引規制など投資家保護を抜本強化する。交換業者への影響と今後の展望を詳解
17:11
シルクロード関連ウォレット、10年ぶりに突如活動 4.7億円相当ビットコインを送金
10年以上休眠していたシルクロード関連の仮想通貨ウォレット約312個が突如活動を再開し、約4.7億円相当のビットコインを送金。今年は5月にも大規模な移動が確認されている。米政府は押収資産を戦略準備金として保有する方針を示すも、売却疑惑も浮上。
14:59
SEC委員長、2026年に仮想通貨規制の大幅進展を予告 トークン分類制度など導入加速
SEC委員長が2026年の仮想通貨規制大幅進展を予告。トークン分類制度で3カテゴリーを非証券化、1月にイノベーション免除導入へ。前政権の法執行重視から明確なルール制定へ転換。
14:10
著名投資家レイ・ダリオ「中東は資本家のシリコンバレー」:国家によるAI・デジタル資産戦略を絶賛
著名投資家レイ・ダリオ氏がAIのハブとして急速に成長する中東を高く評価し、「資本家のためのシリコンバレーになりつつある」と述べた。一方、マイケル・セイラー氏は中東がビットコイン担保型デジタル銀行システムによって「21世紀のスイス」になる可能性を指摘した。
11:05
「ビットコイン・アフターダークETF」申請 夜間取引時間の高パフォーマンスに着目
ニコラス・ウェルスが米国夜間取引時間のみ仮想通貨ビットコインを保有する新たなETFを申請した。夜間の高リターン傾向に注目したものだ。ヘッジ型ETFも同時申請した。
09:50
プライバシー重視のステーブルコイン「USDCx」、Aleoのテストネットでローンチ
仮想通貨のステーブルコインUSDCを発行するサークルは、プライバシー機能を持つL1ブロックチェーンAleoのテストネットでUSDCxがローンチされたことを発表。ユースケースなどを説明した。
09:48
仮想通貨市場は政策待ち姿勢 ビットコインとイーサリアムに資金集中=Wintermute分析
Wintermuteの最新市場分析によると、仮想通貨市場は米FRBや日銀の政策決定を前に様子見姿勢を強めている。資金はビットコインとイーサリアムに集中し、レバレッジ水平は低位。先週金曜の急落後も市場は底堅さを保ち、質への選別が進む。レンジ相場継続の見通し。
09:05
プライバシー重視ブロックチェーン「Octra」、30億円規模のICO実施へ
完全準同型暗号技術を採用する仮想通貨プロジェクト「Octra」が2000万ドル規模のトークンセールを実施する。これまでも分散化重視で資金調達を行ってきた。
08:40
コインチェック、NACの新規取扱いを検討 NOT A HOTELとRWA領域で協業強化へ
コインチェックがNOT A HOTEL DAOの暗号資産NACの取扱い検討とRWA領域の協業強化を発表。NACの活用や共同サービスの開発方針について解説します。
08:20
「仮想通貨市場は次の10年間で最大20倍成長する可能性」Bitwise幹部
Bitwiseの最高投資責任者は、仮想通貨市場は次の10年間で10倍から20倍まで容易に成長する可能性があるとの見方を示した。ビットコインなどを例に挙げ、根拠を説明している。
06:00
仮想通貨トランプ(TRUMP)は「どこで買える?」買い方を初心者向けに解説
ソラナで発行されたトランプ大統領公式ミームコイン『TRUMP』について初心者向けに詳しく解説。Phantomウォレットやソラナ系DEXでの買い方、投資リスク、今後の見通しまで説明しています。
12/09 火曜日
17:40
リミックスポイント、エネルギー事業の中期経営計画を発表 3年で営業利益3.7倍目指す
リミックスポイントが2027-2029年度の中期経営計画を発表。エネルギー・蓄電事業で売上高692億円、営業利益91億円を目指す。日本蓄電池と提携し系統用蓄電所7カ所を共同運営。同社は242億円超の仮想通貨も保有し、多角的な事業展開を推進。
15:52
補正予算の国会質疑で仮想通貨税制が議題に 国民民主党が質問、高市首相は「与党税調で検討中」と答弁
補正予算の国会質疑で暗号資産(仮想通貨)税制が議題に。国民民主党は雑所得として最高税率55%が適用される現行制度を見直し、分離課税化を要求。高市首相は税制改正大綱に基づき与党税調で検討を進めていると答弁した。
13:35
米XRP現物ETF、全期間で純流入を記録 約1459億円に到達
米XRP現物ETFが上場以来全期間で純流入を記録し、約1,459億円に到達。仮想通貨ETF史上2番目の速さで8億ドルを突破し、機関投資家の継続的な買いが続いている
通貨データ
グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧