- スケーラビリティの問題
- スケーラビリティは度々問題になっていますが、その解決策としては、メインチェーン(イーサリアムブロックチェーン)に付随させる形で構築するPlasmaが有効であると語られています。また、シャーディングについても注目されています。
- PoWからPoSへ
- 費用の高さや、電力浪費が問題とされているproof-of-work(PoW)ではなく、PoW及び、proof-of-stake(PoS)のハイブリッド型であるCasperの採用も2018年に行われるのではないかとされています。
- JPモルガンやトヨタ自動車、三菱UFJなども参加するEnterprise Ethereum Alliance(EEA)
- EEAには、世界中からスタートアップや大企業も含む主要企業が集まってきており、イーサリアムの発展に向かって一丸となって取り組んでいます。
Casper や Constantinople、そして、ステーキングやシャーディング。
イーサリアムの次のアップグレードは、プラットフォームを一新させる準備ができています。
ブロックチェーン及び仮想通貨は、ついに大衆に浸透してきており、彼らの本質的な理解がこの技術をさらに加速させ、普及させることに繋がり、その技術の周りの熱も次第に高まっていくでしょう。
非中央集権的システムは、その特性として構築されているネットワークに依存しています。
よって、あなたがその技術を使うことで、あなた自身がそのインフラを拡大させ、向上させることに繋がるのです。
Cornell大学のEmin Gün Sirer氏は以下のように述べました。
「大切なのは、健全なコミュニティが科学的発見による技術の発展を受け入れる準備ができていることです。
そして、イーサリアムコミュニティは、間違いなく健全なコミュニティを持っていると言えます」
では、イーサリアムエコシステムは2018年そして、それ以降に向けてどのような展望を持っているのでしょうか?
イーサリアムの開発計画は継続
2017年11月に台北でVitalik Buterin氏(以下、Buterin氏)は、”イーサリアム 2.0”と呼ばれる新しい開発計画を説明しました。
「実際は、何がイーサリアム2.0に採用されて、何が採用されていないかという具体的な考えがあるわけではありません」
「イーサリアムは、企業によって発表される商品の類ではなく、時間をかけて徐々に変化していくものなのです。そして、イーサリアム構成の大きな変化が数年間かけて起きると考えています」
Buterin氏はさらに、こう続けました。
「現時点で大きな3つの問題があり、私は毎年その問題について言及しています。その理由としては、ただ単に、それらの問題が大きな問題で、重要な問題だからです」
と続けました。
Ethereum Foundation及び、エコシステムにおいて成されるべき途方も無い量の作業が残っていますが、多くの重大な問題点は、Ethereum Foundationによって2015年から議論されているものなのです。
イーサリアムにおいて、大きなアップデートであった、Frontier、Homestead、Metropolis、そして、Serenityは、そのプラットフォームを次世代のインターネット技術に推し進めるための布石であると言えるでしょう。
Constantinople とスケーリング
イーサリアムは現在ハードフォークの間にあり、Metropolisを構成する一つであるByzantiumの移行が無事終了し、エコシステムはConstantinopleの移行を持っている状態です。
Githubに提案されるEthereum Improvement Proposals(EIPs)にも、実装されるであろうEIPsで、まだ実装されていない3つの”異なるEIPs”が存在しています。
Ethereum Foundationのコア開発者であるNick Johnson氏(以下、Johnson氏)は、ETHNewsでEIPs86、96、145に対して以下のようにコメントしました。
「Constantinopleで追加されるコンテンツに関してはまだ具体的でなく、提案されたEIPsに関してもまだ欠陥が見られます」
ETHNewsによるインタビュー
- ―Q.Constantinopleのハードフォークは近いうちに起こると思いますか?
-
Johnson氏:
ハードフォークは2018年の内に起こるのでは無いかと考えています。
どのEIPsが実装されるかやどのようなアップデートが行われるかなどの具体的なことはまだ決められていません。
- ―Q.スケーリングはなぜ難しいのでしょうか?イーサリアムをどのようにスケーリングさせようと考えていますか?
-
Johnson氏:
ブロックチェーン技術が革新的なのはそのトラストレスな特性からです。
よって、誰でも正当に運用されているか確認することができ、そのバージョンは全ての人々によって同意される必要があります。
これが大きな障害となっており、正常に処理されたかを確かめるためにネットワークの全てのノードで全ての取引を処理する必要があるのです。
これが、単一のノードが処理できる先にあるたった一つのブロックチェーンを変更する際に非実用的に作用しています。
さらに、情報量が増えるにつれ、帯域幅や格納場所の増加という課題も出てきています。
- ―Q.現時点での有効な解決方法にはどのようなものが考えられますか?
-
Johnson氏:
一番有効であるのは、恐らくイーサリアムのようなメインブロックチェーンにサイドチェーンを構築するフレームワークであり、イーサリアムのセキュリティを付随させることができるPlasmaでしょう。
これは、大量の取引高を取り入れ、アプリケーションごとのサイドチェーンに移行することでセキュリティ及び追跡性の少しの妥協で実現可能になります。
つまり、あなたのアプリケーションの独自ブロックチェーンを構築し、イーサリアムを使ってそのセキュリティを保証し、メインチェーンであるイーサリアム及びあなたのサイドチェーンを相互干渉させる事ができるのです。
- ―Q.それはシャーディングのように感じられますが、何か関係はあるのでしょうか?
-
Johnson氏:
シャーディングについての研究も順調です。
Plasmaが”異種的サイドチェーン”だとすると、シャーディングは”同種的サイドチェーン”と言えるでしょう。
もし効率的にイーサリアムと並行するサイドチェーン環境及び、お互いに干渉し合えるものを作成できたとしたら、取引の情報量は大幅に増大させることができますが、それだけ複雑にもなります。
Casperテストネット
Casperはイーサリアムの合意形成アルゴリズムをproof-of-work(以下、PoW)からproof-of-stake(以下、PoS)に変更する第一歩を担いました。
PoWは、非常に費用が高く、電気の浪費であるというのも確かではありますが、Buterin氏がこの変更に踏み出した理由は、以下の通りです。
「サイファーパンク的な思想に反し、攻撃費用及び、防御費用が1:1の比率になってしまうため、防御側に回る利益が無いのです。一方で、PoSは、報酬ではなく、罰則を使用することによってこの均整を壊すことができるのです」
ETHNewsは、イーサリアム研究者やCasper支持者のJon Choi氏(以下、Choi氏)にPoWからマイニングコミュニティを切り離すことを意味するハイブリッドPoW/PoSであるCasperのテストネット上での試用の最新情報を求めに行きました。
Choi氏は下記のように答えました。
「CasperFFGテストネットは、イーサリアムのPoS使用に向けての具体的な布石となっています。
これは、純粋なPoSではなく、いわゆるハイブリッドPoSと呼ばれるものであるため、研究チームから最新の取り組みを多く取り入れています。
これは、Karl Floersch氏、David Knott氏、Chih-Cheng Liang氏、Chang-Wu Chen氏、そして、Buterin氏による偉大なる功績と言えます。
私達は、この新しい取り組みを大手クライアントへの採用へ向けてより広いコミュニティで協力していく次第です。」
今週のはじめに、Casper correct-by-construction(Casper CBC)という新しい合意形成プロトコルのプロトタイプが発表されました。
これは、下記の要素を含むように作られました。
- ネットワークの改訂
- メッセージヘッダーのハッシュ接続されたメッセージを設定し、承認されるまで表示されないようにする
- 整数、リスト、並列スケジュールへの合意
- より多くのプロトコルの状態説明やテストのための状態言語及び、テスト言語の改訂
- テストカバレッジの増加
イーサリアムユーザー達は、相当するGitHubアカウントを作成することで特定のCasperイニシアチブに貢献することができます。
採用の予想
以下の二つはButerin氏の最新のコメントです。
「当初は、もし事象Xが起きたなら$5を口座Yに送金する、または、もし事象Zが起きたなら口座Bに$5を送金するというような一般的な金融契約プラットフォームとしての使用を想定して作成しました。
しかし、時が経つにつれ、注目も高まり、その結果、より幅広い使用方法も注目され始めてきたのです。」「私は、ブロックチェーンの最大の価値は、金融及び契約性、信用性にアクセスすることができない人を引き込むことができることだと思っています。
大きな企業が存在していることからも、彼らなりの役割があると考えています。
しかし、賢明な人々は、それに真っ向から立ち向かうのではなく、新たな第一歩を踏み出し、技術を有効活用することで、生き残ること、さらには、全ての過程から利益を得ることができるのではないでしょうか。」
JPモルガンやトヨタ自動車、三菱UFJなども参加するEnterprise Ethereum Alliance(以下、EEA)の新しいディレクターであるRon Resnick氏は、以下のように言及しました。
「EEAには、世界中からスタートアップや大企業も含む主要企業が集まってきています。そして、17社もの業界牽引社や、産業ごとのアプリケーションレイヤーを作成するグループ、委員会も発足し、イーサリアムの技術を企業に採用していこうと一丸になって取り組んでいます。」
人々は、子供を育てるには村が必要だと主張しますが、イーサリアムはそのプラットフォームを協力して押し上げようとする課題解決力のある人達が集まった、活気のあるコミュニティを有しているのです。
Plasmaを始めとするConstantinopleへの提案や、PoS合意の恩恵も受けられるCasperの採用は、このブロックチェーンが個人や企業の大衆に根付く準備ができていることを意味します。
そして、この数々の変化が今年以降もさらなる発展を促すことになるでしょう。
Ethereum Blockchain’s Future With Casper And Constantinople
Jan 28, 2017 by Jordan Daniell
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