はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習-運用 WebX
CoinPostで今最も読まれています

コロナ危機の今こそ、社会変革を促進するブロックチェーン技術導入を=BRIレポート

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

新型コロナに対応するブロックチェーン技術

カナダに拠点を置くブロックチェーン技術シンクタンク「Blockchain Research Institute」が、新型コロナによって引き起こされた様々な問題を、ブロックチェーン技術によりグローバル規模で解決するための提言をまとめ、レポートを公開した。

「パンデミックにおけるブロックチェーン・ソリューション」と題されたこのレポートは、3月26日に招集された30人の専門家によるオンライン会議の内容をまとめたもので、パンデミックの対応に必要とされる5つの分野で、どのようにブロックチェーン技術が活用できるかについて、枠組みを策定した。

レポートでは、すでにパンデミックに対応している実際のユースケースを特定するとともに、公衆衛生インフラや、迅速対応システム(RRS)の構築にはブロックチェーン技術が欠かせない要素であると主張している。

パンデミックとの闘いで最も重要な資産:データ

レポートでは「この危機は、データアクセスの危機から生じている」と総括するほど、パンデミック時にデータが果たす役割の大きさとデータへの容易なアクセスの重要性を強調している。

政府や臨床医、一般市民がウイルスに関する正確なデータに容易にアクセスできれば、ウイルスに対して効果的な対策を講じることも可能になる。例えば、どこで、誰が、いつ、どのように感染しているのか、またその連絡経路、回復状況などに関するデータが、比較的入手しやすい環境にある国々(中国、韓国、シンガポール等)では、より迅速に対応措置が取られ、感染拡大阻止に貢献したと、レポートは指摘している。

一方で、データ取得の際にプライバシーや個人の権利をどう守るかという切実な課題も存在する。

このケースでは、個人が自分自身の診療記録を管理する「自己主権型アイデンティティ」を介して、政府や関係医療機関などと必要な情報を、同意ベースで共有できるシステムが有効な解決策となるとしている。ブロックチェーン技術で、プライバシーと公衆衛生保全のバランスを保ちつつ、必要なデータへのアクセスを高めることが可能になるという。

ブロックチェーン企業Shivom社が、EUの革新医療イニシアチブからの要請に応じて、ウイルスホストデータの収集・共有プロジェクトに取り組んでいるという具体的な事例を紹介した。

サプライチェーンの再構築

新型コロナは、グローバル化したサプライチェーンにも打撃を与え始めているが、ブロックチェーン技術により透明性を高め、正確な情報に迅速にアクセス可能なシステムへと転換していくことも可能だ。

医薬品のサプライヤーと在庫状況(有効期限を含む)を可視化することで、分散化された全国的な在庫目録地図を作成。新型コロナ感染症治療に対する有効性が注目を集めている、抗マラリア薬、ヒドロキシクロロキンのような既存の医薬品への突然の需要が生じた際にも、医療従事者が余剰分を確保することが可能になる。また、同じシステムは、人工呼吸器や個人防護具にも適用できる。

経済の持続性への貢献

レポートでは、新型コロナのような感染症の流行時には、現金に変わる「デジタルキャッシュ」への移行が重要になってくると予測し、三つのオプションとして仮想通貨ビットコイン、リブラのような民間デジタル通貨、そして中央銀行発行のデジタル通貨(CBDC)を取り上げた。「キャッシュレス経済が監視経済」とならないための課題も指摘している。

また、パンデミックが経済への影響を拡大する中で、ブロックチェーンベースの金融ソリューションの重要性、またリスク管理のための保険分野への適用についても、詳細に説明。

さらにガバナンスや組織、そして問題解決に関する分散型モデルが、医療経費の削減に繋がるだけではなく、資金の流れや組織運営の透明性、効率性向上にもつながると述べている。

迅速対応に適した医療従事者登録

コロナ危機で顕在化した問題の一つに、医療従事者の不足があるが、レポートでは人材不足というより、医療機関が適切な資格を持つ人材を見つけることに苦心しているという問題があると指摘した。

ブロックチェーン技術を利用して、様々な地域や部門、そして資格認証機関間の調整を合理化し、資格やスキルに見合った需要と供給を効率的かつ透明性を持って結びつけることが可能になるという。具体的にはProCredExやZinc.work等の複数のプラットフォームがすでに稼働しているとのことだ。

インセンティブモデル

人々の行動パターンをより健康的なものに変えるように動機づけるインセンティブにもブロックチェーンが活用できるとカナダの心臓・脳卒中財団とIBMの取り組みを紹介した。

緊急事態は社会的進歩を加速

現在、世界が直面しているパンデミックという緊急事態は、現代社会が抱える様々な課題を露呈すると同時に、新たなテクノロジーの採用も促進する機会となる。

また、感染拡大を阻止するためのロックダウン措置等により、人々の行動は一夜にして変わることが可能だということにも気づくことになった。

レポートは、デジタル時代がもたらす恩恵を最大限に活用する能力のある、新しい世代のリーダーを、このコロナ危機が呼び起こすだろうかと、私たちに問いかけている。

参考:Blockchain Research Institute

CoinPost App DL
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
08/18 月曜日
17:00
Tezos ecosystem at WebX 2025:RWA最新動向から日本限定グッズ、体験型コンテンツまで一挙公開
テゾス(Tezos)は、ハードフォークなしでアップグレードできる独自の仕組みを持つブロックチェーンプラットフォームです。2014年にArthur Breitman氏とKathl…
15:50
NewLo、リワードプログラム上のポイントを暗号資産に交換できる新機能をリリース
Web3マーケティング企業のNewLoは8月18日、「NewLo Quest」でポイントを暗号資産ETHに交換できる機能を開始。企業向けサービスも展開し、既存ポイントプログラムのブロックチェーン拡張を支援。
14:27
スイス大手スーパー「SPAR」、全国100店舗で仮想通貨決済開始 
スイスの大手スーパーマーケットチェーン「SPAR」が全国100店舗で仮想通貨決済を開始した。Binance PayとDFX.swissとの提携により、100種類以上の仮想通貨とステーブルコインでの支払いが可能になる。
13:30
加藤財務大臣・金融担当大臣の「基調講演」が決定|WebX2025
加藤財務大臣・金融担当大臣が登壇決定 国内最大手のWeb3メディア「CoinPost」の運営会社、株式会社CoinPost(本社:東京千代田区、代表取締役CEO:各務貴仁)が企…
12:28
イーサリアム RWAトークン化のリスクとは?有識者が指摘する課題と対策
ニューヨーク大学教授が、仮想通貨イーサリアムにおける資産トークン化が普及する上での課題を指摘した。大規模採用前に解決すべき問題を提示している。
12:11
メタプラネット、137億円でビットコインを追加購入 
メタプラネットは137億円で仮想通貨ビットコイン 775BTCを追加購入し、累計18,888BTCを保有。通算取得額は2,840億円超に到達し、戦略的なBTC投資を継続している。
11:59
ビットコインETF好調も個人投資家は利益確定売り先行、ジャクソンホール会議控える中
仮想通貨市場ではビットコインETFやイーサリアムETFに過去最高水準の資金流入が続く中、BTC価格は調整中。ジャクソンホール会議でパウエルFRB議長の利下げ示唆に期待が高まる一方、機関投資家の買いと個人の利益確定売りが交錯している。
09:56
タイ政府、外国人観光客に仮想通貨決済システム「TouristDigiPay」を提供開始
タイ政府が外国人観光客向けに仮想通貨をバーツに交換して決済できる新システムを導入する。マネロン対策などで安全性を確保しつつ、観光業活性化を目指す。
08/17 日曜日
19:37
金融庁、日本円建てステーブルコイン「JPYC」承認へ=日本経済新聞
金融庁が国内初の円建てステーブルコイン「JPYC」を承認へ。今秋にも発行開始予定で、3年間で1兆円分の発行を目標とする。JPYC代表の岡部氏は「ステーブルコインは巨大な国債消化装置」とコメントし、日本国債市場への影響を予測。国際送金やDeFi活用に期待が集まる
14:00
今週の主要材料まとめ、ビットコイン6年以内1000万ドル到達の可能性やリップル訴訟終了発表など
前週比で振り返る仮想通貨市場の最新動向。ビットコインやイーサリアム、XRP、ソラナといった主要銘柄の騰落率や注目材料を一挙紹介。市場トレンドと関連ニュースを詳しく解説する。
12:00
ステーキング 主要取引所の仮想通貨別・年率報酬を徹底比較
【2025年7月最新】国内主要取引所のステーキング対応銘柄と年率を一覧比較。イーサリアムやソラナなど人気コインの高利率サービスを紹介し、各取引所のメリット・デメリットや税金のポイントも解説します。
11:30
ビットコイン1750万円台で方向感欠く、ジャクソンホール会議が転換点に|bitbankアナリスト寄稿
ビットコイン(BTC)対円相場が1750万円周辺で方向感を欠く展開。米CPI下振れで利下げ期待が高まるも、PPI上振れで大幅利下げ観測が後退。来週のジャクソンホール会議とパウエルFRB議長発言が相場の鍵を握る。テクニカルサポートも豊富な現在の市況を詳しく分析。
11:00
週刊仮想通貨ニュース|メタプラネットの大幅増益に高い関心
今週は、メタプラネットの決算発表、バリュークリエーションのビットコイン全売却、スコット・ベッセント米財務長官のビットコイン準備金に関する投稿のニュースが最も関心を集めた。
11:00
『守りの金(ゴールド) vs 攻めのビットコイン』資産配分における役割の違いを解説
相場暴落時に注目の集まりやすい金(ゴールド)とビットコインの比較を初心者にもわかるよう解説、インフレ耐性や政府の影響回避といった類似性と、安定性や価格変動要因の違いを比較、投資戦略や資産配分のポイントも提示する。
08/16 土曜日
13:45
トランプ一族支援のアメリカンビットコイン、日本・香港企業買収を検討
ドナルドJrとエリック・トランプ氏が支援する米仮想通貨マイニング企業アメリカンビットコインが、日本と香港の上場企業買収を検討中。マイケル・セイラー氏の戦略に倣い企業財務でビットコイントレジャリー企業を目指す。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧