ビットコイン100万円割れ
新型コロナウイルスの感染拡大と景気回復の遅れに懸念が強まるなか、株式や、原油価格などの下落が加速している。その下げ圧力は、ビットコインなどの仮想通貨市場にも波及した。
ダウ工業株30種平均は6月12日、一時1900ドルを超える下げ幅で、前日比1861ドル82セント安の2万5128ドル17セントで引けた。ビットコインは前日から8万円以上下落し、100万円を割った。100万円を下回るのは2週間ぶりで、ビットコイン以外の仮想通貨も軒並み5%以上落ち込んだ。
米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が景気の先行きに慎重な見方を示したことで、アメリカ経済のV字回復期待が後退した。米国では、米南部テキサス州では1日あたりの新規感染者数が過去最大を記録(10日)したほか、全米の感染者数も200万人に到達。感染の広がりが数字で示される中で、感染「第2波」の影響も経済回復が遅れるとの懸念を招いている。
実体経済や企業業績との乖離が指摘されるなか、伝統金融市場では過去前例のない規模の金融緩和や財政支出などの経済政策が、昨今の株価上昇の原動力となり、「コロナバブル」の様相を呈しており、過熱感も否めない。コロナ禍における産業構造の変化も、株価の見通しを不透明にする要因になり得る。
一方、ビットコイン市場への影響は、コロナ感染が株価に影響した3月に、大幅な連れ安をした実績がある。追証回避売りや現金需要が急速に高まりパニック売りが発生。安全資産とされる金(ゴールド)や米国債のほか、オルタナティブ資産に分類されるビットコインも大きく売られた。
11日の金融市場との比較
マイニング関連で懸念材料も
一方、ビットコインマーケットが嫌気する材料も出てきている。
大手仮想通貨(暗号資産)マイニング企業Bitmainの共同創業者Micree Zhanが、中国の深センにある同社の工場に対し、顧客へのマイニング機器の配送を止めるように要求していることが新たに分かった。Bitmainの元従業員が創業した「 Wushuo Blockchain」など、複数の現地メディアが報じた。
報道によると、既に支払いを済ませている顧客への配送を止め、Zhanは自身の親しいマイナーへマイニング機器の販売権変更を行おうとしている。
問題は、半減期後にマイナーの収益性が不安定な状況にある中で、マイニングマシンの供給元が混乱に陥っている点だ。コロナ明けでs19など最新マシンの出荷状況に見通しが立つ中での問題に、再び出荷遅れに繋がる懸念が生じている。
なお、この背景は根深く、企業内の争いが顧客にも影響を及ぼしている可能性がある。
昨年10月、ZhanのCEOや法定代理人のポジションを共同創業者Jihan Wuが奪うかたちで、ZhanはBitmainを追放されており、法的措置に踏み切るなど、企業内の争いが続いている。
一時は裁判で不正解雇を巡り争った両者であったが、最終的に、北京の司法局は解雇の不当性を認めている。今月に入りZhanのBitmain復帰も報じられたばかりであったが、社内のチームが2分する形で両者の争いが継続しているという。
Bitmainの工場などのサプライヤーチームは、Zhan側につくなどして、工場の出荷状況に影響が懸念される要因の一つになっている。
Zhanは最近、授業員と株主に対しBitmainの運営権を取り戻した旨の書面を送っている。10日にはZhanの新しい人事部が、最高財務責任者やマイニングファームとセールスの責任者など、多くの従業員を解雇した。
一方Wuは、Zhanには従業員を解雇・雇用する法的権利はないと主張しており、企業内の争いは混迷している。その争いが顧客にも影響を与えている模様だ。
マイニングハッシュレートも伸び悩む可能性
4日にも半減期後2度目の難易度調整を終えたビットコインネットワークは(前回比マイナス9.29%で大幅易化)、半減期後の一部のマイナー撤退の影響を織り込む形で難易度を調整した。
ハッシュレートの回復に繋がり、100EH/sの水準を上回り、11日時点では120EH/sまで戻している。
一方、問題は次回の難易度調整がすでに4日後に迫っている点で、調整幅はプラス10%と大幅な難化予想となっている。
4日後の難易度調整は、平均14日ごとに行われる難易度調整の平均期間と比較して、3日ほど早く到達する見込みで、ブロックの生成速度が加速したことが影響している。11日時点のビットコイン統計データでも、24時間のブロック平均生成時間は7.44分と難易度のリーゲティング基準「10分」を大幅に早まっている状況にある。
難易度の難化は通常、ビットコインを掘るための採掘コストが上昇する観点から、マイナーの損益分岐点上昇に伴い、ビットコインのターゲット価格が上昇するとの見方が強まる一方で、現時点では半減期後のマイナー収益への影響への懸念が大きい。
Bitmainの事例と合わせて、市場の警戒ポイントとなるのは必至だ。
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