「仮想通貨取引は将来的に起こる」と意見
中国政府の元金融当局幹部が、デジタル資本市場の開拓を呼び掛けた。また、仮想通貨取引などは将来的に行われることが必然とみなしていることも分かった。
証券監督管理委員会の元議長Xiao Gangは、第19回中国金融40フォーラムで講演、中国経済の現在と将来展望を語った。その中で重要な要素として経済のデジタル化について言及、仮想通貨についても触れた。
元議長は、すみやかにデジタル改革を行うことが必要があるとして、次のように述べた。
デジタル資本市場の発展は、組織変化の問題に直面している。仮想通貨取引など最も一般的なものは、将来必ず出現する。そうした組織的な変化への対処方法も、私たちが直面する可能性のある問題だ。
デジタル資本市場における製品やサービスについては、現在の法律や規制では対応できないという。
また、世界的に急速に発展しているデジタル経済の重要性をあらゆる国が理解し、多くの投資を行っている状況で、デジタル金融分野の競争はますます激しくなるだろうと予測、中国もこの分野において最前線にあるべきと語った。
デジタル資本市場のもたらす課題
元議長は、デジタル資本市場の課題についても取り上げた。
独占の出現、開発経路、情報開示、分散化、包摂性とコントロールのバランスなど、多くの点について議論が必要だという。
またデジタル資本市場を発展させる上ではオープン性、包括性、共有性、公平性の原則を遵守する必要があり、実体経済のニーズに合わせてデジタルイノベーションを実行しなければいけないと指摘した。
従来型資本市場と、デジタル資本市場は技術やツール面で大きく違うものの本質は変わっておらず、つまり市場の発展を通じて、企業、実体経済、金融界、投資家に利益と利便性をもたらし、経済発展を促進することが大きな目標であるという。
経済的利益のある限り、仮想通貨を採用の可能性
中国政府は、2017年より仮想通貨取引所での取引を禁止しているが、人民元から仮想通貨のOTC(取引所を介さず、個人が直接仮想通貨売買する)ルートは、まだ仮想通貨への主要なアクセス手段として利用されている。
資金洗浄の疑いに巻き込まれて一部のユーザーアカウントが凍結されることもあったが、その後大手銀行やAlipayは、マネーロンダリングや詐欺その他違法性がない口座の凍結は行わないと公式発表した。
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こうした状況で中国の金融当局元幹部の発言は、中国が仮想通貨取引をデジタル経済の一環として将来、より広範に認める可能性があることも示唆するものだ。
仮想通貨が中国の企業や経済に「利益や利便性」を与える限り、それらを何らかの形で採用していくのかもしれない。その上で、民間の通貨と政府の通貨、どちらをどのように活用していくのかにも注目される。
中国は、中央銀行発行デジタル通貨(CBDC)も、一部地域でスターバックスやマクドナルドで試験運用を行うなど、世界に先駆けて開発を進めている。仮想通貨ハードウェアウォレットメーカーLedger社のアジア太平洋地域責任者Glen Wooによると中国の少額の小売取引の96%以上がAliPayまたはWeChat Payで処理されているという。
CBDCは、すでに発展しているこれらのデジタル経済システムに統合することで、ユーザー体験を変えないまま導入開始が可能な状況だ。こうした取引へのCBDC導入は、政府の小売経済コントロール能力を高めることになると予測されている。