電子政府ランキング、日本は14位に転落
国連の経済社会局(UNDESA)が2020年の世界電子政府ランキングを発表、日本は前回の10位から14位にランクが低下したことが判明した。
1位はデンマーク、2位は韓国、3位はエストニアだった。
この順位を算出する「電子政府発展度指標(EGDI)」自体について、日本は前回(2018年)よりも高かったものの、電子化が急速に進んだ国が増えたため、追い抜かされた格好である。
上図のように、14位までが電子政府先進国として掲げられており、日本も表中では最下位ではあるもののランクインした。トップ10は以下の通り。
- デンマーク
- 韓国
- エストニア
- フィンランド
- オーストラリア
- スウェーデン
- 英国
- ニュージーランド
- 米国
- オランダ
日本に関する評価では、次のような点がレポートに記された。
- 電子政府の総合窓口サイト「イーガブ」(e-gov.go.jp)や、二次利用可能な公共データの案内・横断的検索を可能とする「データカタログサイト」(data.go.jp)、公共調達の確認や入札ができる「政府電子調達」(geps.go.jp)などの政府プラットフォームが設立されている。
- 個人のデジタルセキュリティとデジタルデータへのアクセスに重点を置く法的枠組みが存在する。(個人情報保護法、電子署名及び認証業務に関する法律、行政機関が保有する情報の公開に関する法律など)
EGDI指標は、通信インフラの整備、人的資本、アンケート調査によるオンラインサービスの存在感という3つの観点を合わせて算出される。
日本では、通信インフラ・人的資本については前回よりもポイントが高かったが、オンラインサービスの評価が下がっていた。
デジタルデバイドの解決が課題
国連のプレスリリースによると、 今年の調査では後発開発途上国を含めて、世界のすべての地域で電子化の進展が見られた。対象となった国連加盟193カ国のうち、22%以上で、電子政府開発のレベルが上昇したという。
一方で、金融リソースだけがデジタル政府を前進させる要素ではないものの、電子政府ランキングは国の所得水準と相関する傾向はあり、デジタルデバイドは続いている。
スコアの低い8カ国のうち7カ国がアフリカにあり、後発開発途上国グループに属していた。アフリカの国々の地域平均スコアは、世界平均の約3分の1(0.3914)であったという。
コロナ禍がデジタル政府の役目を活性化
国連は新型コロナウイルスのパンデミックが、デジタル政府の役割を再活性化し、接触追跡アプリなど危機管理の革新的な方法をもたらしたことにも言及した。
中国では、チャットボットを使用して感染リスク評価が行われ、英国ロンドンでは交通制御のカメラ、センサー、AIアルゴリズムを用いて歩行者間の距離を測定、ソーシャルディスタンスを制御した。
また、エストニアのコミュニティ参加アプリでは、COVID-19情報の共有、写真や動画の投稿、仮想イベントの手配など、地方自治体が住民と直接対話することを可能にしたという。
クロアチアでは、人工知能を利用した「仮想医師」が、疫学者と協力してテクノロジー企業によって開発された。
その他多くの国で、COVID-19情報のポータルサイト、医療品供給のためのeサービス、自己診断アプリ、追跡アプリ、および自宅で仕事や学習を行うためのアプリが素早く展開されたという。