EU圏を統一する法的フレームワーク
EU(欧州連合)が、全域で仮想通貨に関する規制を統一し、仮想通貨の単一市場を作成する意向であることが判明した。
EUの政策執行機関である欧州委員会は、2020年第3四半期に法的枠組みの採択を目指している。
統一的なフレームワークにより、仮想通貨関連の事業活動とステーブルコインの利用を急成長させ、ヨーロッパ経済に組み入れるための最適な法的環境が構築されるという。
このフレームワークは、主に次の5つの項目を中心として設計される予定だ。
- 全体的な対象範囲
- 主題となる項目と定義
- 仮想通貨サービスプロバイダーの要件
- ステーブルコイン発行者の要件
- ステーブルコイン発行者の監督
昨年、欧州委員会はヨーロッパの専門家と協議を行い、仮想通貨の法的規制について優先順位を決定していた。
優先事項は「ステーブルコインやセキュリティトークンを含む、すべてのタイプの仮想通貨の定義」、「暗号資産を含めるための、第2次金融商品市場指令(MiFID II)の改正」、「ブロックチェーンベースのプラットフォームのための体制」となっている。
仮想通貨は「金融商品」の資格を得る
欧州各国メンバーからなるブロックチェーン支持団体European Blocktech Federationの会長、Schneider-Le Saoutは今回の法的フレームワーク作成について次のように述べた。
この法律はヨーロッパにとって歴史的なものになると期待している。今後何年にもわたってEU全体のデジタル金融を促進するだろう。
新しいEUの法律枠組みは、既存のEU金融サービス法でカバーされていない仮想通貨(暗号資産)や、DLT(分散型台帳技術)の金融サービスへの適用、従来の金融商品のトークン化などに、必要とされる法的根拠を提供することになるという。
そして、重要なのは、仮想通貨が「金融商品」としての資格を得ることで、EUの金融市場を規制する様々な法的文書、特にMifid IIの中でも仮想通貨が規定されることになることだとLe Saoutは付け加えた。
ヨーロッパがデジタル金融のルールメーカーになることを目指す
今年6月に、欧州連合は仮想通貨規制のフレームワークを準備していることを発表した。欧州委員会副委員長のヴァルディス・ドンブロウスキス氏は、EUがデジタル金融の主要ルールメーカーになるべきと主張して次のように語った。
法的確実性の欠如は、EUで健全な暗号資産市場を開発するための大きな障壁だと言われている。
欧州の企業がデジタル金融の新技術をリードするようになり、ヨーロッパの国際的地位を強化し、グローバルスタンダードの設定者になるチャンスだ。
これまでフランスやドイツ、イタリアなどでは独自ルールが施行されているものの、EU規模では、統一的な法的フレームワークは存在していなかった。
この状態が「健全なデジタルアセット市場」形成のための障害として見なされていた。
新型コロナウイルスの影響により、採択が遅れる可能性もあるというが、欧州連合に統一的なフレームワークが導入された暁には、ヨーロッパが仮想通貨・ブロックチェーン分野で大きく成長することが期待される。