バフェットの投資方針に変化
バフェットが率いる米バークシャー・ハザウェイは31日、日本5大商社の株式をそれぞれ5%超取得したと発表した。財務省関東財務局に提出した大量保有報告書によると、伊藤忠商事の5.02%、丸紅5.06%、三菱商事5.04%、三井物産5.03%、住友商事を5.04%の株式をそれぞれ取得したという。
バークシャーの発表によれば、長期保有として保有率を最大9.9%まで引き上げる可能性があり、新型コロナの終息後の経済浮揚を見越している可能性がある。
5大商社は世界各地に合弁事業が多数あり、今後さらに増やす公算が大きい。将来的に相互に有益な機会があることを期待したい。
ーバフェット
カイザーは31日、「バフェットの日本商社株取得の動きは、ゴールド関連企業への投資とともに、米ドル投資から撤退する意思を示している」とコメント。「ビットコイン、金、銀は、今後短期間で過去最高値を更新するだろう」との見解を見せた。
Buffett’s move into Japan, along with his $GOLD investment, confirms he’s getting out of $USD BIGLY $USD is trending lower today, about to break key support #Bitcoin – Gold – Silver
— Max Keiser (@maxkeiser) August 31, 2020
Will all make new ATH in the near term
なぜ日本の商社に
市場関係者は、バフェット及びバークシャーの動きに対し、一様に驚きを隠せない。
「5大商社すべてに投資するのは、バフェットらしくない」との指摘がある一方、「バークシャーのポートフォリオにApple偏重感が出ており、真逆の投資先を探していた」との分析もみられた。バフェットは「バリュー投資家」の象徴として知られ、株価が簿価を上回る伊藤忠はその戦略に見合っているとの見方も強いという。商社はコモディティー(商品)、鉄鋼、海運などの幅広い分野を通じて実体経済に深く関与しているため、「理解できない事業には投資しない主義」を持つバフェットにとって、投資先としてわかりやすいといったメリットがあると見られる。
方針転換の意図
8月半ばには、これまでの方針と打って変わっれカナダのグローバル鉱山会社バリックゴールド社へ投資したバフェット。金などの貴金属投資に懐疑的な姿勢を示していたが、間接的な金の購入は、新型コロナの影響で大きく落ち込む米GDPや、大規模金融緩和に伴う「ドル安」を回避しようとするバフェットの意図も見え隠れする。
バフェットは、これまでビットコインなど仮想通貨の価値に対しても一貫して否定的な態度を貫いていたが、ここへきて金鉱株の購入したことで、ビットコインに対する価値観の変化を期待する向きもある。
仮想通貨ファンドの「モルガン・クリーク・デジタル」の共同創業者ポンプは、バフェットによるバリックゴールド社への投資が発表されたことを受け、いずれビットコインも購入する状況になると期待を寄せた。カイザーは、バフェットの金鉱株投資などの動きが、ビットコインを5万ドルまで押し上げる後押しになるとの見方を示している。
下落するドル指数
バークシャー発表の数日前、パウエルFRB(米連邦準備施制度理事会)議長は国際経済シンポジウム(ジャクソンホール会議)で、新型コロナで落ち込む経済支援を優先すべく、「ゼロ金利政策」を長期に渡って維持する姿勢を示したほか、2%超のインフレを許容する新たな政策方針を表明。
FRBの政策を受け、米ドルは下げ幅を拡大していた経緯がある。
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一部有識者は、ドルのさらなる価値毀損を警戒する投資家により、金やビットコイン(BTC)など、インフレ耐性を持つオルタナティブ資産に資金を移す動きが加速すると見込む。
米仮想通貨取引所Geminiを運営するウィンクルボス兄弟は、長期的にはビットコイン価格が50万ドル(約5200万円)に達する可能性があるとの見解を示す。
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ウィンクルボス兄弟は「価値の保存手段」という観点から、米ドルや原油、ゴールド(金)よりも優れていると主張。「米ドルはコロナ禍の景気刺激策のための大量供給が続いており、米政府が内部で借金し合っている現状と合わせ、最終的なインフレリスクが高まる。特に今年はコロナ対策の影響で、GDP比の債務は過去10年間で最も膨らみ、米国がソフトデフォルトに陥る可能性も考えられる」と警鐘を鳴らした。
金については、コロナ禍のように行動が制限されると輸送ができなくなる問題を指摘、供給量が正確に把握されていない点も欠点として挙げ、「最終的にインフレヘッジとして利用できるのはビットコインだけだ」と主張した。