ロシアで新たな法案が提出
仮想通貨(暗号資産)のマイニング企業に、事業の報告義務が課される可能性のある法案が、ロシアで提出されたことが分かった。
法案はマイニング企業に限定しているのではなく、データセンターを対象にしている。法案が可決すれば、データセンターにマイニング企業が含まれる可能性があり、自社の事業に関する詳細を政府に報告する義務が生じることになる。
多くの国でマイニング事業を行う際、行政への届け出で、メインフレームやサーバ等のコンピュータやデータ通信などの装置を設置・運用することに特化した施設「データセンター」を利用するケースがあるが、昨今のマイニング業界への規制整備に伴い、その事業の明文化が求められることが増えてきた。
今回、ロシアのデジタル発展・通信・マスコミ省が提出した法案の中でデータセンターとは、データを処理・保存するためのハードウェアを備えた独自のインフラを所有し、高レベルのアクセスビリティ、セキィリティ、管理力を備えている施設と定義。これらの定義から、マイニング事業も政府が把握するための報告義務の対象になるとの見方が強まってる。
法案が可決すれば、コンピューターのキャパシティ、データの保存方法、提供するサービスの内容、コストなどを報告する必要がある。さらにデータセンターがある土地や建物、そこにどのくらいの棚があり、どこまで利用されているか、またどのように電力を使用しているかなど、細部に渡って報告が求められる。
ロシアでは7月に国内初の仮想通貨法案「デジタル金融資産関連法(On Digital Financial Assets:DFA)」が可決。仮想通貨規制の大枠が決定するのは、2020年12月下旬まで開かれる国会で審議される「デジタル通貨関連法(DA)」が承認されてからになるが、規制整備を着々と進めている。
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業界の反応
ロシア最大級のマイニングファーム「Bitriver」のCEOは仮想通貨メディアCoinDeskに対し、今回の法案はマイナーにも適用されるとの見解を示した。そして、四半期ごとにレポートの提出が求められる可能性が高いと述べている。
「政府はデジタル経済の発展を監視するために、データを必要としている。現在はデータセンターの情報を収集している人はいない」と説明。さらに「政府は大規模なマイナーは全てすでに把握しているはずだ。1または2メガワット超の電力を消費していれば、電力会社で調べられる」とも述べた。
法案で定められているように、データセンターの詳細な情報を1箇所に集めることに、セキュリティリスクを懸念する声も上がっている。海外の諜報機関や犯罪組織などに狙われる可能性があるという。
参考資料 : ロシア政府