Santimentデータから見るETHクジラの動き
仮想通貨イーサリアム(ETH)が3日〜6日に続落する際、一部のクジラ(大口保有者)が買い増ししていたことを、仮想通貨データ企業Santimentが報告した。
イーサリアム価格は9月2日に年初来最高値の490ドルを記録するも、DeFi分野の過熱感への警戒から、売りが優勢になると、一時300ドル目前まで市場価格が続落した。
オンチェーンデータを分析するAli MartinezはSantimentのデータを引用し、「1,000〜10,000ETHを所有するクジラ投資家で8月31日から約68のクジラが増えてきたと説明。ETH価格の下落に伴い、一部の大口投資家は安値で買い増ししてETHクジラの群れに加わったと喩えた。
‘@santimentfeed‘s holder distribution chart shows that as #Ethereum was falling, there was a spike in the number of addresses with millions of dollars in #ETH, colloquially known as whales.
— Ali Martinez (@satoshilatino) September 6, 2020
Roughly 68 new whales holding 1K to 10K $ETH have joined the network in the past 3 days. pic.twitter.com/HucYyMPQ2p
一方、Santimentは相場の下落時にも大口の売却が一因にあったとして、ETH関連の100の取引所ユーザーアドレスから、約103万(約3.6億ドル)のETHが売却されたことをデータを用いて指摘した。
$ETH's top 100 exchange addresses have decreased their tokens held from 16.92M to 15.89M over the past week, a significant decrease of -6.1% in these online bags. From a short-term perspective, this was almost certainly a sparkplug to the -22.3% dump. 🐳🔻 https://t.co/eZcvHimKGx pic.twitter.com/fGwE8Cywnu
— Santiment (@santimentfeed) September 6, 2020
クジラ買い増しの理由
なお、イーサリアムの買い意欲が高まっていた背景には、下落時の押し目買いのほかに、DeFi(分散型金融)分野のロックアップや精算メカニズムも一つの材料となっていた。
例に、イールド・ファーミング分野の中心となるYearn.finance(イールド戦略プラットフォーム)で、特に人気が高まっているイールド戦略「yETH」がある。
9月2日にローンチされたyETHはプロトコルの1つで、わずか48時間で1.4億ドルに相当するETHが入金。ETHの入金によって、手数料およびCurvefinanceのCRVトークンを稼ぐイールド・ファーミングとして「ファーマーたち」を中心に話題に上がった。ETHが大量にロックされるため、ETHの売り圧も軽減されると見込まれる。
イールドファーミングとは、需給バランスによって常に変化する利率に応じて流動性の提供先を変え、最も大きなリターンを得る取り組みのこと。
流動性マイニングはイールドファーミングを行う人達を惹き付けるために、流動性提供の対価として利息の他にガバナンストークン(ガバナンスへの参加権を表現するトークン)が付与されることを指す。
yETHのメカニズムとしては、入金されたETHがMakerDAOで、担保金として預けられステーブルコインのDAIが発行される。その仕組みから、ETHの価格が一定のラインを割ると、24時間以内にETHをプロトコルに補充しない限り、預けられたETHは清算される可能性がある。今回のETHの急落で、yETHを利用する一部の大口投資家も清算を回避するために、ETHを追加で買っていた可能性も指摘される。
yETHだけでなく、直接MakerDAOを利用するユーザーもDAIの担保金を維持するために、ETHを追加する必要はあった。過去事例としては、3月の相場大暴落時、MakerDAO関連で強制清算の例が相次いで報告されていた。
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