米国初のセキュリティトークンによるIPO、最低調達額を突破

米国初のセキュリティトークンによるIPO

米国初のセキュリティトークンによるIPOを実施しているINX Limited(以下、INX)が、米証券取引委員会(SEC)が課した最小オファリング要件(最低調達額に設定されていた)である750万ドル(約8億円)の調達額を突破した。

SECはINXが行う、最大1億1700万ドル(約124億円)のIPOの最初の750万ドルを、仮想通貨ではなくドルで調達することを要求しており、今回の調達額は全て米ドル建てで取引されたことになる。

IPOの要件を満たしたことで、今後は暗号資産(仮想通貨)でのINXトークン(デジタル証券)購入も可能とする。

9月14日から開始されたフェーズでは、ビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)、USDコイン(USDC)の受付を開始している。

INXは8月25日よりトークンオファリングを開始しており、同社によると最初の3日間で3,000人以上の個人投資家と認定投資家がトークンの購入登録をしたという。提供価格は1トークンあたり0.90ドルで、最低投資額は1,000ドルであった。

尚、INXトークンはイーサリアムのERC20を採用している。

様々なデジタル資産を扱う取引プラットフォーム

INXは、暗号資産(仮想通貨)取引のソリューション開発を行う企業で、今回のトークン販売から調達した資金により、様々な種類のデジタル資産を扱うプラットフォームを立ち上げる予定である。

仮想通貨、セキュリティトークン、及びそれらのデリバティブ商品の規制された取引所を構築し、また現金準備金も用意。

2,500万ドルを超えて調達された金額の75%は、サイバーセキュリティの問題が発生した場合の保険金準備となる。

今回の資金調達が成功すれば、米国でも最大手の上場仮想通貨関連企業となる見込みだ。

INXトークンの保有者は、INXの営業活動による正味調整累積キャッシュフローの40%の比例配分を受け取る権利があり、同社の取引プラットフォームでの決済手段にこのトークンを使用する場合、取引手数料が割引される。

トークン保有者は株主とはされず、プラットフォームのガバナンスについては発言権がない見込みで、代わりにINXは40%という高率のキャッシュフローをインセンティブにしているようだ。

INXのCEO、Alan Silbertは、仮想通貨ファンド大手「グレースケール」のCEOを務めるBarry Silbertの兄弟である。またナスダック元副理事長David Weild、モルガンクリークキャピタルCEOのMark Yuskoなど業界の実力者が幹部やアドバイサーに名を連ねている。

スイスもトークンによるIPOを初承認

今年1月にはスイスでも、初のトークン化した株式によるIPOが規制当局により承認された。

ブロックチェーン企業OverFuture社がEURO DAXX(欧州デジタル資産取引所)が提供するスマートコントラクトを使用して、イーサリアムブロックチェーン上で株式を発行することになる。

このIPOでは、株主の登録簿がブロックチェーンを使用して保存され、トークンの所有権によって、保有者は株主となる仕組みだ。

OverFuture社によると、ブロックチェーンテクノロジーを採用することで、第三者(銀行、ブローカー・ディーラー、中央預託システム、公証人など)の仲介をなくし、関係各機関のやり取りを省略することができるという。

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