Bithumb(ビッサム)が売却検討
韓国最大の暗号資産(仮想通貨)取引所Bithumb(ビッサム)について、再び売却を検討していることが判明した。
現地メディアは、ビッサムは5000億ウォン(約450億円)から7000億ウォン(約630億円)の範囲で取引所を売却しようと報じた。
韓国の投資銀行関係者は、「(Bithumbに関連した)経営権紛争と法的紛争が続いているため、投資家が資金を回収しようとしているのではないか」と推測している。
ビッサムは470万人を超える会員を抱え、一時は韓国の仮想通貨取引量の50%以上を占めた巨大取引所だ。現物取引量でも世界5位にランク付けされている。
報道は、買収について、外国の投資家や、国内のプライベートエクイティファンドが関心を持っていると伝えている。
2018年の売却案失敗で訴訟に発展中
2018年には、シンガポールを本拠とするBK Groupが約4000億ウォンの価格で買収する予定だったものの、投資ラウンドで十分な資金を調達できず失敗に終わった。
この際、BXAトークンを発行して資金調達が行われていたが、2019年に買収が不発だったことにより、トークン価格が暴落した。
同年11月に損失を問題視した投資家らを中心に詐欺とする訴えが相次いでおり、現在ビッサムホールディングスと、その会長Lee Jung Hoonはソウルの法執行機関による調査を受けたことが報じられている。
実際のトークン価格は、初期投資で100万ドル以上の資金を投じた場合、わずかの数万ドルになるほど価値が低下しており、初期投資家の損失比率は99%減を超える状況に陥っている。
2021年3月施行の規制法案に対応する必要
また、韓国では3月に仮想通貨取引所を規制する法案が可決されており、2021年3月に法律が施行される予定だ。
この法案は仮想通貨取引所、ファンド、ウォレットなどを対象とするもので、財務報告要件や、実名の銀行口座使用、顧客身元確認ルールやセキュリティシステムを満たすことが求められるようになる。
ビッサムの買い手は、こうした訴訟問題や、新たな規制に対応していかねばならないこととなり、買収のハードルになるとの指摘もある。
顧客情報漏洩を巡る裁判では賠償命令
2017年にビッサムにハッキングがあり顧客情報が流出、顧客資金の盗難があった事件については、先日裁判の結果が出た。
ソウル中央地方裁判所は、ハッカーへ情報を伝えた顧客の責任も認識し、ビッサムには請求された賠償金の全額ではなく、一部を被害者に支給するよう命じている。
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仮想通貨のキャピタルゲインに20%課税方針
尚、韓国では仮想通貨に対して20%課税する方針が決定。改正された税法が国会の承認を受けると、2021年の10月1日から施行される予定だ。
仮想通貨を資産価値のある商品としてみなし、取引で得た250万ウォン(約21万円)以上の収入に対し税金が課されることになる。
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