はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習-運用 WebX
CoinPostで今最も読まれています

「ルール形成のジレンマと仮想通貨市場への影響」bitFlyer創業者、元副大臣らが熱論

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

ルール形成が仮想通貨市場に与える影響

イノベーションにおけるルール形成の必要性の周知に努めるCRSTubeは、Kawasaki-NEDO Inovation Center(K-Nic)とコラボし「世界市場で勝つルールメイキング戦略~暗号資産に見るルール形成~」をテーマとした討論会が行われた。

そのゲストとして、日本ブロックチェーン協会代表理事、株式会社bitFlyer Blockchain CEOを務める加納裕三氏、元内閣府副大臣の福田 峰之氏、多摩⼤学ルール形成戦略研究所客員主任研究員の荻生 泰之氏らが参加している。

ルール形成の重要性とその過程

規制に関して、不明瞭な点も多い現在の仮想通貨市場だが、福田氏は「新興市場におけるルール形成は必要不可欠」だと語り、「優れた技術が存在しても、ルールがないと判断軸がないため社会に広まっていかない」とし、その重要性を強調した。

しかし、同氏が実際に仮想通貨市場のルール策定にかかわる中で、様々な壁に直面したという。まず初めにぶつかった壁は、ビットコイン以外にも存在する仮想通貨の総称をどう呼ぶかという問題だ。

結果として「価値記録」という名称がつけられたのだが、その決定に至るまでに、非常に考え抜かれたプロセスを経ていたことが見えてくる。

加納氏によれば、「通貨」は既に法律用語となっていたため、「Crypto Currency」を翻訳した暗号通貨という文言を使えなかった。その中で、当時の関係者らは市場の発展という観点から、「価値記録」との結論に至ったのだと話す。ルール策定の関係者の一人である荻生氏は、以下のように当時を振り返った。

(仮想通貨は)価値交換の手段がある一方で、マイニングをすると価値が生み出され、所有者などが記録されるという、金融的側面とIT的側面の二つがあった。

どっちで捉えるかとなったとき、金融的アプローチで捉えてしまうと、ルールがガチガチになりかねない。

日本市場が海外に比べて小さかった当時、暗号資産・その根幹技術のブロックチェーンに、新たな産業として芽がある中で、金融ではなくIT的側面に焦点を当てて規制を進めたほうが、より自由な市場形成ができ、市場の広がりを見せるのではないかということで、「価値記録」として名称が決まった。

このように法整備においては、名称の決定や変更が市場形成に非常に大きな影響を及ぼしうることが見て取れる。

ルール形成のジレンマ

新技術の普及や市場の発展にとってルール策定が大きな意味を持つことが分かるが、そこには数多くのジレンマも存在する。

例えば、黎明期の仮想通貨市場において、本人確認やセキュリティ向上の観点から、加納氏は自主規制によるルールの作成に取り組んだ際、強制力がないことで頭を抱えていたと語っている。

セキュリティ向上や本人確認などに関する適切な規制のもと、イノベーションを促進したかった。

しかし自主規制(本人確認など)をすると顧客獲得コストが20倍から30倍に上がる。それほどコストが上がると、自主規制を進めようとする企業とそうでない企業との間で派閥が生まれた。

こうした派閥が生まれる中、自主規制を定めずに法のグレーゾーンを突く企業は得をし、自主規制を守る企業にとっては不公平ともいえる状況が生まれてしまう。このような状況を経験した加納氏は、「最初に明確な規制は作れないけども、自主規制だと強制力がないというジレンマに対する解決策が見つかれば、事業者としてはやりやすい」とし、ルール策定における課題を示した。

一方で、加納氏と福田氏の両者は共に「最終的に残っている企業は自主規制をしっかりと守った企業だけ」と話すなど、中長期的には消費者保護をきっちり行った企業だけが残っているとし、規制を守ることによる企業側のメリットについても説明。企業および市場の発展にとって、規制が果たす役割の大切さを語った。

参考:イノベーションとルール形成 produced by CRS&PdC 番外編#1 世界市場で勝つルールメイキング戦略~暗号資産に見るルール形成~

CoinPost App DL
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
12/03 水曜日
17:03
XRP ETF、13取引日で8億ドル(約1240億円)到達 仮想通貨史上2番目の速さ
XRP現物ETFが上場13日で8億ドル超の流入を達成し、ビットコインETFに次ぐ史上2番目の速さを記録。ソラナETFを大きく上回るペースで、アナリストは最大1兆円超の市場規模を予測。
16:25
バイナンス(海外)、15種類の現物取引ペアを停止へ 12月5日実施
バイナンス(海外)は流動性レビューに基づき、12月5日に現物取引ペア15種を停止すると発表。停止は特定ペアのみで、対象トークンの上場廃止を意味しない。取引ボットも同時に終了予定。
15:14
ゲンスラー前SEC委員長「仮想通貨は投機的」 ビットコイン除く全トークンに警告
ゲンスラー前SEC委員長がブルームバーグのインタビューで、ビットコインを除くすべての仮想通貨を「極めて投機的」と評価。退任後も投資家保護の重要性を強調し、規制の観点からビットコインのみをコモディティとして区別する姿勢を維持している。
15:00
HashPortウォレット、Pontaポイントでステーブルコインの購入が可能に
HashPortは12月1日、HashPort WalletでPontaポイントをBase上のUSDCやcbBTCに交換できる「オンランプ」機能と、暗号資産をau PAYギフトカードに変換する「オフランプ」機能を開始した。
13:40
カルシが米CNNの公式パートナーに、予測市場のリアルタイムデータを報道に統合
米予測市場プラットフォームのカルシがCNNと提携し公式予測市場パートナーになった。カルシのリアルタイムデータがCNN番組全体に統合され、政治的・文化的イベントの確率情報を報道に活用する。ソラナ上でのトークン化予測市場も開始した。
12:45
ストラテジーCEO「米ドル準備金でビットコイン売却回避」、配当戦略を語る
米ストラテジー社CEOが今後の準備金や配当戦略を詳細に説明した。米ドル準備金で当面の配当資金を確保し、ビットコイン売却を回避する。レンディング参入の可能性も示唆した。
12:14
イーロンの「Xマネー」決済システム開発で人材募集 ソラナが支援表明
イーロン・マスク氏のX Moneyが決済プラットフォームの技術責任者を募集。ソラナが協力を表明し、仮想通貨統合の可能性に注目が集まる。WeChat型スーパーアプリ実現への動きを解説。
10:32
「資産トークン化が金融のあり方を変革」ブラックロックのフィンクCEOらが論説
ブラックロックのフィンクCEOらが現実資産(RWA)トークン化の可能性を様々な観点から解説した。トークン化の2つの大きな利点や規制当局の役割などにも言及している。
10:15
Trust Wallet、予測市場へのアクセス機能をローンチ
仮想通貨ウォレットのTrust Walletは、予測市場にアクセスできる機能をローンチ。まずはMyriad、ポリマーケット、カルシの3つの予測市場に対応する。
09:49
クラーケン、Backed買収 米国株のトークン化取引を拡大
仮想通貨取引所クラーケンがスイスのBacked Finance買収を発表。トークン化株式サービス「xStocks」は半年で取引高100億ドルを突破。RWA市場は2028年に2兆ドル規模へ成長見込み。
07:25
欧州10銀行がユーロ連動ステーブルコイン発行へ、2026年後半に開始予定
INGやBNPパリバなど欧州10銀行がユーロ連動ステーブルコイン発行を計画中。新会社キバリスを設立し2026年後半の発行を目指す。
07:15
バンカメ「資産管理サービスの顧客は仮想通貨投資を検討すべき」
バンク・オブ・アメリカは、資産管理サービスの顧客に対しポートフォリオの最大4%を仮想通貨などのデジタル資産に配分するように推奨していることがわかった。ビットコイン現物ETFも投資対象にする計画だ。
06:45
トム・リーのビットマインが継続的にイーサリアムを押し目買い、3日間で110億円相当
ビットマインが市場下落局面でも3日間に110億円相当のイーサリアムを追加購入した。同社は約373万ETHを保有し総供給量5%保有の目標に向け62%まで進捗。
06:25
米CME、ビットコインの恐怖指数VIXなどの新ベンチマークを導入
米CMEがビットコイン、イーサリアム、ソラナ、XRPを対象とした仮想通貨ベンチマーク指数を導入した。ビットコインのボラティリティを追跡する指数は株式市場のVIXに相当し、機関投資家のリスク管理ツールとなる。
05:55
チェーンリンク初の現物ETFがNYSEで取引開始、グレースケール「GLNK」
仮想通貨チェーンリンクの初の現物ETFが3日にニューヨーク証券取引所で取引を開始した。グレースケールがGLNKとして上場し運用資産は1700万ドル超となっている。
通貨データ
グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧