高機能インテリジェンスツール「ナカモト・ターミナル」が優勝
米商品先物取引委員会(CFTC)が主催する、第1回科学賞コンペティションにて「Nakamoto Terminal(NTerminal)」が優勝したことが発表された。「Project Streetlampコンテスト」で優勝した他、初のイノベーター・オブ・ザ・イヤー賞も同時に受賞している。
このNTerminalは、ビットコインの生みの親「サトシ・ナカモト」にちなんで名付けられたプラットフォームである。開発したのは、デジタル資産エコシステムのデータ分析を提供するInca Digital社だ。
「Streetlampコンテスト」の課題は、AIやその他技術を使用して、CFTCに未登録の外国企業を特定しCFTCの登録不完全(RED)リストに追加するプロセスを自動化することだった。
NTerminalは、REDリストに追加するエンティティのリストを自動的に作成するツールの開発に成功。エンティティのメタデータの検索を自動化する。
メタデータは、NTerminalのデータ集約プラットフォームにより収集され、REDリストに掲載すべき企業とそうでない企業を区別することもできる。ツールはCFTCの基準に基づいて構築されているという。
CFTCは、すでにNTerminalの技術を市場監視と訴訟サポートなどに使用している。
フィンテックのイノベーションを支援するLabCFTCのディレクター兼最高イノベーション責任者Melissa Netram氏は次のように語る。
CFTCは、NTerminalを最初のイノベーターオブザイヤーとして認めることができて嬉しく思う。未登録の外国企業の識別プロセスを自動化するAIツールの開発は、CFTCだけではなく、最終的には投資家がより多くの情報に基づいた意思決定を行うことにも役立つ。
「ナカモト・ターミナル」とは
「Nakamoto Terminal」は、デジタル資産データ分析を提供するものだ。自然言語処理により個人や企業を追跡し、グローバルな規制措置を解析して、従来メディアやソーシャルメディア、およびダークネットを監視することができる。
データサイエンティスト、金融専門家、政府の政策立案者、ブロックチェーンの専門家によって構築されたものだ。
テラバイト規模で、過去の市場データや分析ツールを提供。データフィードはリアルタイムで更新され、市場アラートからワークフローを最適化するチャート機能まで備えている。市場に影響を与えうる各国の金融規制当局の政策も参照可能。
最新の自然言語処理、感情分析、自動翻訳や、光学式文字認識を駆使する高機能なシステムである。
CFTCによると、これをInca Digital社が提供する他のツールと組み合わせることで、大国間競争に関係する資金調達を巡って、ブロックチェーン上の大規模な資金の動きの帰属を特定する機能を国防総省に提供するなどのことも含め、幅広い監視・インテリジェンス分野でのユースケースを可能にするという。
2024年までに仮想通貨規制を確立へ
CFTCは7月、仮想通貨市場の健全な発展を促す規制を、2024年までに確立する計画を発表した。
「政策決定の透明性を高める」「必要のない規制負担を減らす」などの方針を盛り込み、フレームワークに包括性を持たせるために、証券取引委員会(SEC)とも共同して作業を行っていくという。
CFTCのHeath Tarbert会長は、ビットコインとイーサリアム以外のアルトコイン先物の許可について、SECによる明確なトークン定義が必要不可欠と説明したこともあり、あるトークンが有価証券に当たるかなども含めた米国の方針も、4年を目処により明確になることが期待される。
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