仮想通貨市場とBTC(ビットコイン)
仮想通貨(暗号資産)データ分析企業Glassnodeによれば、直近のビットコイン(BTC)価格高騰に伴い、マイナー(採掘者)の利益が半減期前水準まで回復した。
半減期のあった今年5月水準よりも100万ドル高い1990万ドルに達している。
ビットコインは20年5月12日に4年に1度の「半減期」を迎え、ブロック承認報酬が12.5BTCから6.25BTCに半減するなど、マイナーの収益環境は大きく変化した。ビットコインの希少性を担保することで、米ドルヘッジなどの大口投資家需要を喚起する一方、マイナーが半減期前と同等の収益を上げるには、単純計算で2倍の価格になっている必要があったからだ。
マシン製造最大手Bitmainの新型マシンAntminer S19シリーズの出荷数増加や、世界最大のマイナー集積地帯である中国・四川省を中心とする競争環境の激化と、「半減期」によるBTC報酬半減の結果、Antminer S9などの旧型モデルではマイナーが利益を上げるのは困難になりつつあったが、昨今のBTC価格の高騰で状況は一変しつつある。
半減期後の収益環境をマイニングマシン別に分析、考察した記事は下記参照。
関連:高騰するビットコイン、半減期後の「損益分岐点」を新旧マイニングマシン別に分析仮想通貨市況
19日の暗号資産(仮想通貨)市場。ビットコイン(BTC)価格は、乱高下しつつも、11時時点では前日比+1.14%の186.5万円(18,000ドル)で推移している。
ビットコインは16日以降、15,800ドルからほぼ調整なしに3,000ドル急騰するなど足元では過熱感が強まっていた。18日昼過ぎには、反動で18,500ドルから1,000ドル幅下落する局面もみられた。
急落後の反発は強く、押し目とみた買いが集まっている。一方、直近下値を割り込んで日足を閉じれば目先天井を示唆することになるため、資金管理には特に注意が必要な局面と言えそうだ。
過去の強気相場を振り返ると、20%〜40%のリトレースメント(相場の引き戻し)が計9回発生していた。18,000ドル(188万円)から30%の調整であれば、12,600ドル(130万円)までの暴落を意味する。
海外の著名アナリストJosh Rager(@Josh_Rager)氏は昨年、過去の上昇相場では30%超のプルバック発生後、平均153%ほどの上値余地があると指摘している。
ただし現在では、詐欺案件の横行したICO(イニシャル・コイン・オファリング)を含め、取引所への規制面及び顧客保護の仕組みが追い付いていなかった17年当時とは比較にならないほど市場環境が整備された。レバレッジ主体の証拠金取引(デリバティブ)市場が以前ほど過熱しておらず、機関投資家の資金流入も増加傾向にあることから、狼狽売りを伴う暴落率は限定的とみる向きもある。
現時点ではにわかには想像し難いが、今後、過去最高値の20,000ドル(210万円)をブレイクした場合、フィボナッチ・リトレースメント(Fibonacci Retracement)で推し量る上値目処としては、127.2%の24,170ドル(250万円)、141.4%の26,500ドル(275万円)が心理的節目となる。
フィボナッチ・リトレースメントは、「押し目」や「戻り」を作る相場の習性を予測に役立てるもので、黄金比で計算されるフィボナッチ数列を利用してターゲットを導き出す。単体で参考にするものではなく、ローソク足のプライスアクションを元にした通常のテクニカル分析や他の指標と組み合わせて使うことが多い。
海外トレーダーSmokey(@TraderSmokey)氏は、残すところあと2つの上値抵抗線しか残されていないと指摘した。週足の過去最高値18,900ドルと、17年12月に記録した史上最高値(ATH:All Time High)の20,000ドルとなる。
ブルームバーグの見解
ブルームバーグインテレジェンスのアナリストMike McGlone氏が「ブルームバーグ経済番組」に出演。
ビットコインのボラティリティについて、180日(約半年)平均で、ゴールド市場や米ナスダック株式市場のボラティリティを下回っている点を指摘。中央銀行のQE(量的緩和)に相対して、発行枚数上限があることで”インフレヘッジ”になり得る点を高く評価した。
McGlone氏の見解では、17年のバブル相場は個人投資家のFOMO(乗り遅れる恐怖)が相場を主導したが、現在は機関投資家のFOMOが始まっていると見ている。