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イラン大統領:経済を弱体化すると警告した仮想通貨有するTelegramの禁止を否定

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

イラン大統領が噂を否定
テレグラムが経済プラットフォームとして使われるようになることを公式に発表した事で、イラン通貨の土台を弱体化させることになると発言していましたが、イランのHassan Rouhani大統領は、4月4日テレグラム(Telegram) を禁止する予定はないと述べました

イランのHassan Rouhani大統領は、4月4日、ここ数週間の噂に反して、暗号化されたメッセージプラットフォームであるテレグラム(Telegram) を禁止する予定はないと述べました。 

穏健派として知られるRouhani大統領は、政府高官の正式会合において、イラン国内でのテレグラムの独占状態を終わらせることを目標として、政府は自国製のメッセージアプリを導入することを明らかにしました。

Rouhani大統領は、この問題の報道に答えて、次のように述べました。

「国民のニーズや問題を解決できる、強固で安全、かつ安価な、イラン製のメッセージアプリがあれば、誰もがその事実を誇りに思うことでしょう。 イラン製メッセージアプリを作成し、その性能を高めることの目的は、他のアプリへのアクセスを阻止することではなく、その独占状態を排除することにあります。」

テレグラム禁止の噂の経緯

テレグラム禁止の噂が広まったのは、イラン国会 ・国家安全保障外交政策委員会のAlaeddin Boroujerdi委員長が、去る3月31日に、テレグラムの「破壊的な役割」を終わらせるために、「政府最高レベル」が、テレグラムを自国製のアプリに置き換える決定をしたと発言したためです。

この発言は、テレグラムが、世界最大であり、17億ドルに達した同社の第二次ICO ( Initial Coin Offering/新規仮想通貨公開 )を完了してから、1週間も経たないうちに報じられました。

このICOは、総合的なブロックチェーンエコシステムとなることを目指した「高速で、拡張性があり、使いやすい」仮想通貨とブロックチェーンのプラットフォーム、Telegram Open Network (TON) 構築のために行われたのですが、イラン政府にとっては、それが非常に憂慮すべき事態であると認識されたようです。

アメリカに拠点をおき、中東地域のニュースを報道しているAL-Monitorによるとイラン政府サイバースペース最高会議長官のHassan Firouzabad氏は、テレグラムの新しい仮想通貨は、看過されると、イラン経済を弱体化させると警告し、国営テレビで次のように述べました。

テレグラムは、イラン以外では、優勢なメッセージアプリではない。 テレグラムは経済プラットフォームとして使われるようになることを公式に発表したが、テレグラムはイラン通貨の土台を弱体化させることになるだろう

「我々は、テレグラムの仮想通貨がこの国に入ってくることを許容できない。」

と述べ、 その存在によって500億ドルほどの国外への資金流出につながる恐れがあると付け加えました。

一方で、イラン国会議員のReza Badamchi氏は、テレグラムを禁止してしまうと、20万もの職が失われ、約50万人もの人々の財政状況に打撃を与えると、テヘランの記者団に述べました。

現在イラン国内では、4千万人ものテレグラムユーザーがおり、多くの電子商取引を行なっている中小企業が、業務の維持、拡張のためにテレグラムアプリを利用しているのです。

同国内での禁止は慎重なテーマ

人権問題に関して、あまり評判の芳しくないイランでは、「禁止」は慎重に扱うべきテーマです。

イラン当局が、テレグラムとインスタグラム(Instagram) を数日間禁止したところ、昨年12月下旬から今年1月にかけて、100を超えるイランの都市の街頭で抗議行動が沸き起こったため、警察は数人のサイバー活動家を逮捕する事態となりました。デモが当初の勢いを失うと、禁止は解かれました。

4月3日、二人の国会議員が、人々の自国製アプリに対する信頼度を測るため、世論調査の実施を要請しました。「テレグラムを禁止することは、国民と政府当局との食い違いを助長すると同時に、国民の政府不信をさらに深めることになるでしょう」と、二人の議員は述べました。

この世論調査を提案した、電子ビジネスを保護するMajles委員会のメンバーである Fatemeh Saeedi議員は、イラン労働通信に対し、外国製のメッセージアプリをふるいにかけることでは、国民が自国製のアプリを使うことを促進することはできないと、語りました。

Saeedi議員は「国民の仮想ネットワークへのアクセスを制限するのではなく、世論調査の結果に基づいて、我々の政策についての見直しを行うべきです。」と述べ、さらに「テレグラムを禁止することは大きな間違いでしょう。私たちは、社会の現実を無視することは、どうしてもできないのです。」と付け加えました。

さらに、同Majles委員会の Parvaneh Mafi委員長は、テレグラムを禁止することによる社会的影響についても警告しました。Mafi委員長の言葉を、イラン学生通信(ISNA)は次のように伝えています。

テレグラムを禁止することは、国民の政府に対する不信を強めることになり、国家の社会資本を脅かし、危機的状況に近づけてしまうでしょう。国民は、自国製のメーセージサービスを信用していませんし、この現状こそが、我が国の意思決定システムに対する不信の要素でもあるのです。

イラン政府とテレグラム社の攻防は、国家と、国境を持たないブロックチェーン技術のグローバルな展開と発展が、落とし所を探る未来の縮図を垣間見せてくれているようです。

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