中央銀行発行のデジタル通貨CBDCが年内運用開始か|市場に与える影響は?

CBDC年内運用開始の可能性
分散型台帳開発を専門とするアメリカの企業R3が中心となった世界各国の金融事業者のコンソーシアム、R3コンソーシアムが、先日行われたDeconomyにて、CBDC年内運用開始の可能性があると発表しました。
これまでのR3の動き
R3はブロックチェーン技術を応用した、スマートコントラクト同祭の分散型台帳であるcordaを運用しており、このCorda上で動く金融事業者同士の取引プラットフォームDLTが新たに立ち上げられたことが今回の結果に繋がっているようです。

既存金融市場の動きはこれまでも仮想通貨市場に大きな影響を与えています。

今回、既存金融市場からまた仮想通貨市場に変化をもたらす可能性のある情報が発表されました。

CBDC年内運用開始の可能性があるというのです。

4月3日、4日に行われた初の仮想通貨関連国際フォーラムDeconomyにて、R3の調査部門ディレクターである、Antony Lewis氏が発表しました。

現在世界各国で利用が検討されているのが、中央銀行が発行する公式のデジタル通貨CBDC(Central Bank Digital Currencyの略)です。

仮想通貨と同じく、ブロックチェーンをベースとしていますが、主に銀行間の決済に使われることを想定しており、銀行と紐づいています。

仮想通貨の非中央集権的な仕組みとは大きく異なるのです。

これまでも、様々な情報が飛び交い、その開発元であるR3もブロックチェーンの分散型台帳技術関連の研究を行っていましたが、実現には至っていませんでした。

今回の2018年度内に実現可能の見通しが立ったという発言は、ブロックチェーンによって作られる分散型台帳の技術研究に専念し、その適応を発表していた矢先になります。

CBDCが2018年に運用開始の見通し

R3は、2014年にDavid Rutter氏によって創業され分散型台帳開発を専門とするアメリカの企業で、CBDCの利用構想を練っていました。

このR3が中心となった、世界各国の金融事業者70社によって作られたコンソーシアムがR3コンソーシアムです。

R3コンソーシアム調査部門のディレクターであるAntony Lewis氏が、先日行われたDeconomyにて正式に2018年以内のCBDC運用の見通しを発表しました。

CBDCの運用開始は2018年中に行われると私は考えています。私たちは支払いに関する問題解決に取り組む権限を持つ、中央銀行と対話を行ってきました。そして彼らは解決法の一つとして、ブロックチェーン型のプラットフォームを検討しているのです。

Deconomyは史上初の、仮想通貨関連技術に焦点を置いた国際フォーラムです。

2018年4月3日、4日に韓国にて初めて開催されました。

ブロックチェーン技術や分散型台帳関連技術の開発など、仮想通貨関連事業を手掛ける50以上の企業が参加し、事業の今後の方針などを発表しました。

R3が行った発表のほかにも、ビットコインのRoger ver氏、イーサリアムの創業者であるVitalik氏が中心となったプレゼンテーションや討論が行われるなど、仮想通貨を動かすキーパーソンたちの意見交換がなされました。

R3の発表にはAndrew氏をはじめ、これまでIBMやシンガポール中央銀行で、CBDC関連の調査を行い、世界を牽引して来たStanley Yong氏や、金融分野で仮想通貨研究に携わっている Ian Grigg氏などが参加しました。

彼らは既存の中央銀行の問題を説明するとともに、ブロックチェーン技術の一部である、分散型台帳を利用したデジタル通貨CBDCが果たす役割について公的な見解を述べました。

彼らは中央銀行がセキュリティに対して現在大きな問題を抱えていると語り、中央集権的な構造からくる脆弱性を指摘します。

中央銀行は確かに国、場合によっては世界の金融市場に多大なる影響を与える通貨の発行権が与えられた銀行です。

当然セキュリティにはほとんど問題はないといって過言ではないでしょう。

しかしどうしても避けられない不測の事態もあります。

例えば自然災害や、起きてはならないことですが、戦争がそれにあたります。

また、昨今ハッキングのようなサイバー攻撃もその数を増やしており、手口も巧妙化しているため、ハッキング攻撃によってシステムがダウンしてしまう可能性もゼロではないでしょう。

こうした攻撃に中央集権的な体制をとっている既存の中央銀行は耐えられない可能性があるのです。

一度攻撃を受けて中央がダウンしてしまえば、そこに付随しているすべてのものが芋づる式にダメージを受け、あっという間に極限の状態にまで達してしまう可能性があります。

この問題に対応できるのが分散型の台帳であると彼らは主張しているのです。

CBDCとは

CBDCとは中央銀行が利用する公式デジタル通貨のことです。

R3を中心とした、分散型台帳システムを利用した新たな経済システム確立を目指すコンソーシアム、R3コンソーシアムに所属する70以上の企業が共同で練っている構想です。

2015年頃からその構想は生まれており、R3以外にも私的、公的機関を問わず、世界各国で採用が検討されています。

仮想通貨の流れからいうと比較的早くから構想は生まれていましたが、ブロックチェーンやその関連技術が抱えていた欠点から、実現が難航していました。

その欠点の一つはセキュリティ的な問題です。

ビットコインのマリアビリティ問題などで明らかになったように、プログラムにバグと呼べる欠陥を有するものも存在しており、中央銀行という公的機関で採用するには非常に危険との声があるのです。

また、昨今の急激な利用者の高まりにより、取引速度が低下するトランザクション問題も明らかになりました。

一刻一秒を争う有事の際には、より迅速な対応が求められます。

また、実生活に結びついている中央銀行ではこうした取引速度の低下によって流動性を欠くと、莫大な人間の経済活動に影響を与える可能性もあるのです。

例えばビットコインのブロックチェーンのように、取引完了まで10分もかかるようではとても実用的ではできません。

またビットコインとビットコインキャッシュの分裂騒動のように、非中央集権的な構造を予定していた仮想通貨が、利権構造によって容易に分裂、場合によっては機能しなくなる危険性を有していることも、これまでの事例から明らかです。

こうした問題からブロックチェーン技術を完全に適応することを断念し、その中の一技術である分散化された台帳に研究をしぼり、CBDCへの利用を考えていました。

これまでのR3の動き

そんなCBDC構想を動かすのが先ほどから登場しているR3です。

2015年にコンソーシアムを形成しまし、その中には日本の三菱のほか、モルガンスタンレーなどそうそうたる世界のトップ金融事業者が名を連ねています。

かねてから仮想通貨業界ではその動向に注目が集まっていました。

もともと、R3ではcordaと呼ばれる、ブロックチェーン技術を応用した、スマートコントラクト搭載の分散型台帳を運用しています。

Cordaはブロックチェーン技術を応用していますが、利用者を不特定にすることができるというこれまでのオープンなブロックチェーン技術は大きく異なる特徴を持っており、高いセキュリティ体制を有するとされています。

このCorda上で動く、金融事業者同士の取引プラットフォームDLTが新たに立ち上げられたのが2017年8月のことです。

これによって下地ができた結果が今回の2018年以内にCBDC可能発言につながっているようです。

CBDC運用が仮想通貨市場に与える影響は

CBDCに関してはこれまでも仮想通貨にどのような影響を与えるかといった観点から大きな注目が集められてきました。

実際のところこのCBDCはあくまでも既存の金融市場間で作られるプラットフォームで取り扱いされるデジタル通貨です。

確かに技術的な部分はブロックチェーン技術が応用されていますが、R3自身も公式に、ブロックチェーンとは全く異なるもので、あくまでも現状は中央集権の既存システムに付随するものであると答えています。

その意味では仮想通貨市場とはかかわりのないものであり、まったくの別物といっても過言ではないでしょう。

中央集権的な既存の金融市場の権化ともいえるR3が実現を果たすのは皮肉とも言えます。

ですが、その一方でこれが実現されれば、当初予想されていた、仮想通貨の有用性の何点かかが認められたということになります。

現時点でこのことが市場にどのような影響を与えるかはわかりませんが、大きな好材料となるのではないかと考えている投資家も少なくありません。

ただし、懸念材料もあります。

CBDCの適用によって、一般的な金融市場に悪影響を与える可能性があるとして、国際決済銀行が正式に懸念を表明しています。

国際決済銀行はその長が仮想通貨批判を行うなど、仮想通貨関連技術には厳しい目を向けていました。

正式に何らかの措置が取られたわけではありませんが、国際決済銀行世界各国中央銀行の決済を取り仕切る組織ですので、この動向によってはCBDC構想自体が一気に白紙に戻ってしまう可能性もあるのです。

今年に入り急激な値下がりを見せ、これで終わりなのではないかという噂までささやかれた仮想通貨市場ですが、2018年に入りCBDCのように現実社会での本格的な利用に向けたプロジェクトも見られるようになりました。

仮想通貨は現時点であくまでも試験段階です。

まだその真価が問われる段階にはありません。

2018年は、そんな仮想通貨が現在の投機目的の一時的な利用が大半を占めるという状況から大きく変化を遂げる年となるかもしれないのです。

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

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