WebX完全ガイド
TOP 新着一覧 取引所 WebX
CoinPostで今最も読まれています

人間が関与しない新たな「銀行」の形──米通貨監督庁トップが描く未来

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

自動運転銀行

米国通貨監督庁(OCC)の最高責任者であるブライアン・ブルック氏は、分散型金融(DeFi)を自動運転車に例え、人間が運営に関わらない新しい銀行の形態「自動運転銀行」の概念を提示した。

ブルック氏は、「自動運転銀行へ備えよう」(”Get ready for self-driving banks “)と題した米ファイナンシャル・タイムス紙への寄稿で、DeFiがもたらすメリットとリスクについて論じ、今、規制当局がなすべきことは、21世紀のテクノロジーに即した柔軟で新たな視点から規制のあり方を決定することだと主張した。

規制の対象

ブルック氏は、運転手を主眼においた安全規制が自動運転車の実現に追いついていないように、主に銀行員を対象とする銀行規制も、DeFiには適応できていないと指摘。現在OCCが義務付けているのは、各銀行がリスク管理や監査の責任者を置くこと、役員への融資の上限、銀行員による不正対策などで、規制の対象は「人によるリスク」が主なものだ。

しかし、ブロックチェーン技術を活用し、人間が仲介しないサービスを提供するDeFiは、この規制対象から大きく逸脱する。例えば、金利の場合、従来の銀行では人間が決定を下しているが、DeFiでは需要と供給に基づいたアルゴリズムであったりする。また、ブローカーを介さずにユーザー同士が直接取引できる分散型取引所、融資担当者や信用委員会を介さない融資プロトコルなども既に存在しており、その規模は決して小さいものではないとブルック氏は述べた。

「自動運転車が空を飛ぶようになる前に」DeFiが主流となる可能性が高いと同氏は考えているようだ。

自動運転銀行のメリットとリスク

ブルック氏は次の点をDeFi銀行のメリットとして挙げている。

  • アルゴリズムが最良の金利を決定することで、預金者は様々な金利を比較検討する必要がなくなる。
  • ソフトウェアが信用判断するため、特定の借り手に対する差別を無くすることができる
  • 人間が運営に関わらないことで、不正行為や汚職のリスクを排除できる

一方、リスクとしては、アルゴリズムによる高頻度の取引で株式の売却が加速されるのと同様、資金の引き出しが加速した場合、流動性リスクが高まる可能性を指摘した。また、資産のボラティリティに対する懸念や、ローン担保の管理が困難になる可能性についても言及している。

さらに、国レベルでの規制が明確性に欠けるため、州ごとに独自の規制が生まれ一貫性がなくなることにより、自動運転車の規制で起きたように、国内市場の発展が阻害されるリスクもあるとブルック氏は述べた。

規制当局の役割

そこで重要なのが、連邦規制当局によって、明確な規制の方向性が示されることだとブルック氏は主張し、次のような規制の論点を自問自答している。

1.顧客を公平に扱うことが保証できるか

ほとんどの偏見は「人間の脳に組み込まれたもの」であるため、アルゴリズムのルール変更で根絶することは可能。

2.規制当局は「ソフトウェアとして存在する銀行」を適切に審査できるか

可能。ただし、審査官が預金金利や信用決定を行うアルゴリズムを読み解き、法に準拠しているかを審査できるような再教育が必要となる。

3.自動運転銀行が適切に地域社会にサービスを提供することを保証できるか

「絶対に可能。」効率性の向上によって運営コストや意思決定の遅延で失われた資本が大幅に解放される。

  

ただし、現行の法律では、「役員や取締役の存在しないオープンソースのソフトウェア」に国法銀行の認可を与えることはできない。

ブルック氏は20世紀の初めの状況下で制定された現行法は、「時代遅れ」になりつつあり、見直されるべきだと主張している。規制当局や銀行、そして政治家が「10年前の自動車メーカーのように大胆に行動」することが、アメリカの銀行業務の革新につながると同氏は見ているようだ。

ブルック氏の任期

ブルック氏は昨年4月1日より、会計監督官代理として通貨監督庁のトップを務めており、11月17日にトランプ大統領より正式に会計監督官に任命された。しかし、同氏がその地位に正式に就任するためには、米国上院の承認を得る必要があり、今月3日に上院の会期は始まっているものの議会はまだ開かれていない。つまり、まだ正式には就任していないことになる。

米仮想通貨メディアCoindeskによると、米政治メディアの「Politico」がブルック氏辞任の可能性を報道したという。一方、OCCの副広報担当官Bryan Hubbard氏は、「そのような噂の確認を拒否した」と伝えられている。

ブルック氏は、ブロックチェーンや仮想通貨への造詣が深く、銀行による仮想通貨の管理を容認する文書や、銀行が仮想通貨企業を含む様々な業界に公平な金融サービスを提供するよう求めるなど、仮想通貨の普及促進に役立つガイドラインを短期間に打ち出してきた。

直近では、銀行によるパブリックチェーンやステーブルコインの利用を認める解釈書も公開している。

このような仮想通貨に積極的なOCCの姿勢に対し、米下院の金融サービス委員会のMaxine Waters委員長は昨年12月、政権移行後には、トランプ政権下の全ての仮想通貨関連ガイダンスを撤回または監視するように求めたと報じられている。

OCCによるフィンテック企業の国法銀行化を奨励する論文では、社会へもたらす恩恵と方法論を論じる一方で、執筆者の主任エコノミストは「政治には独自の論理があり、必ずしも綺麗事では済まされない」と指摘していた。

CoinPost App DL
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
07/02 木曜日
17:43
バイナンス小口ビットコイン流入、1日平均329BTCで過去最低に=アナリスト
オンチェーンアナリストのDarkfost氏が、バイナンスにおける1BTC未満の小口流入を分析。1日平均329BTCとなり過去最低水準に、2021年の2690BTC、2018年の3700BTCから大幅減少。リテール層減少の背景を読む。
17:04
JCBA、ウォレット・AI部会を設立 37社が参加
JCBAが「ウォレット・AI部会」を新設し、37社51名が参加。ノンカストディアルウォレットとAI統合ウォレットの利用者保護基準、責任分界、申告分離課税の論点整理を進める。
16:19
メタプラネット、ビットコイン保有43000BTC到達 Q2に2823BTC取得
メタプラネットが2026年12月期第2四半期のビットコイン取得状況を公表。43,000BTC保有に至るまでの2,823BTC取得や平均取得価格の推移、BTCイールド6.6%などの主要指標を解説する。
15:22
大阪府、AI・ブロックチェーン実証実験に補助金 上限1000万円
大阪府が先駆的金融市場等形成支援事業補助金の公募を開始した。ブロックチェーンやAI等を用いた金融サービスの実証実験が対象で、補助上限は1件あたり1000万円。公募期間や対象要件、補助率を解説する。
14:37
Kウェーブ・メディア、ビットコイン保有ゼロに 1万BTC目標から転換
Kウェーブ・メディアが保有する全ビットコインを売却し、財務戦略を一時停止した。2025年に掲げた1万BTC取得目標は達成前に撤回され、AIインフラ事業へ軸足を移す。売却の経緯をSEC提出書類をもとに整理する。
13:55
MiCA全面施行、EUでポーランドのみ未対応 仮想通貨企業2000社が認可なしで窮地に
2026年7月1日のMiCA全面施行に伴い、ポーランドのみが国内法制化に至らず、規制の空白状態となっている。同国内約2,000社の仮想通貨事業者は自国でのCASP認可取得手段を失い、他国でのライセンス取得か事業撤退の選択を迫られている。
13:05
仮想通貨ハッキング被害額、6月は120億円で前月比7%減少 ヒューマニティプロトコルが最大
ペックシールドの報告によると、6月の仮想通貨ハッキング被害は40件・約7,590万ドルで前月比7%減となった。最大被害はヒューマニティプロトコルからの流出だ。
11:48
仮想通貨大手306億円相当の中間選挙献金、米政治団体で首位に
仮想通貨業界が2026年米中間選挙の政治献金で総額1億8900万ドルに達し、全業種で最大の献金主体になったと米パブリック・シチズンが報告。リップル・コインベース・クリプトコムが主導し、AI業界も同様の手法で追随している。
11:00
サークルCEOがOUSDの優位性主張に反論、有識者「DAOと同じ末路」と懸念
140社超が支援するOUSDの登場を受け、ステーブルコイン大手サークルのCEOがコンソーシアム型モデルの限界を公開反論。米系証券各社はUSDCの競争優位が維持されるとの見方を示した。
10:42
スクウェア・エニックス、脱炭素アプリにブロックチェーン採用
スクウェア・エニックスとENECHANGEが脱炭素アクションを促す新アプリを共同開発。ミッション達成でポイントを得るゲーム設計とし、データ管理にはブロックチェーン「Oasys」を採用する。サービス開始は2026年内を予定。
09:48
イーサリアム財団、政府・機関向けガイド公開 中立性を強調
イーサリアム財団が政府・機関向けに、中立なインフラとしてのイーサリアムを解説する報告書を公開。稼働実績や経済的セキュリティなどOpenZeppelinの客観的指標をもとに他ブロックチェーンとの違いを示している。
09:45
ビットコイン、買い集め広がるもリスク残存 底打ちの確証なし=グラスノード
グラスノードが仮想通貨市場週間レポートを発表。ビットコイン下落局面でも買い集める層が広がる一方、ETF資金流出やレバレッジロング積み上がりなど不安要素も残ると分析した。
09:15
トルコ大手取引所がハイパーリキッドとポリマーケットを統合、規制取引所として初事例
トルコの大手仮想通貨取引所パリブが1日、ハイパーリキッドの無期限先物とポリマーケットの予測市場をアプリ内に統合した。規制済み取引所として世界初の事例とされ、NYSE・ナスダック株の取引ウェイトリストも開設した。
08:25
イーサリアムに新たな独立組織が誕生、機関向けの採用を促進へ
仮想通貨イーサリアムでイーサリアム・インスティテューショナルという独立組織が新たに誕生。L2を含めたイーサリアムのエコシステム全体の機関・企業への普及を加速させる。
07:35
スタンダードチャータード、DeFi拡大でモルフォに強気見通し
スタンダードチャータードはDeFi貸し借りプロトコルのモルフォ(Morpho)の分析カバレッジを開始、2030年末の目標価格を60ドルに設定した。ビットコインとイーサリアムを上回るリターンを見込み、DeFi資産の37倍拡大を原動力とする。
今から始める仮想通貨特集
通貨データ
重要指標
一覧
新着指標
一覧