幅広いデジタル資産に関わる法整備へ
アラブ首長国連邦のドバイ金融サービス局(DFSA)が、暗号資産(仮想通貨)にも関わる法整備を行うと発表した。2021年から2022年までの事業計画の中に、「デジタル資産(トークン化された証券や仮想通貨など)の規制制度」が構築されると記している。
計画書の中でDFSAは、金融サービスセクターのイノベーションに関して「関連事業にオープン」な姿勢を取り続けることを約束し、規制が新しく革新的なビジネスモデルにどのように対応できるかを引き続き調査していくとした。
DFSAは、アラブ首長国連邦の免税ゾーンであるドバイ国際金融センター(DIFC)を拠点として行われる金融サービスを監督する規制当局である。
計画書では規制の詳細について記載がないが、地元メディアThe Nationalによると、DFSAは2021年の第1四半期と第2四半期に、新たな規則に関するフィードバックを求める2つの協議書を発行する予定だという。
DFSAの戦略、政策、リスク担当責任者Peter Smith氏は次のように語っている。
セキュリティトークン、ユーティリティトークン、仮想通貨などのエクスチェンジトークンや決済トークンといった幅広い種類のデジタル資産、そして市場で関連サービスを提供する企業を規制する予定だ。世界中のベストプラクティスを参照して、こうした市場をバランスの取れた思慮深い方法で規制する。
業界関連企業のドバイにおける動きとしては、2020年11月、リップル社がDFSA管轄のドバイ国際金融センターに地域統括会社を設立したことを発表している。
この際、担当者は「リップル社は、MENA(中東・北アフリカ)地域に顧客基盤を構えており、新たな地域統括会社は、リップル社プロダクトの利用拡大や地域の金融機関との関係構築などに繋がる」とコメントしている。
仮想通貨事業の特別区を持つドバイ
ドバイでは以前より、仮想通貨に対する取り組みが行われている。2020年1月には、ドバイ政府コモディティ規制当局が、非課税の仮想通貨事業ゾーン立ち上げを発表、スイスの「クリプトバレー」ツークをモデルにした仮想通貨・ブロックチェーンの特別区だ。共同作業施設や教育施設を置き、関連ビジネスのインキュベーションも行う計画で、この地区では個人所得税や法人税、源泉徴収税などが免税される。
アラブ首長国連邦では、アブダビでも仮想通貨を巡る環境の整備が進められている。アブダビの金融サービス規制当局は、2018年に仮想通貨に関する最初のガイダンスを発表し、2019年には、BitOasis、Digital Assets Exchange、Matrix Exchange、MidChainsなど多くの仮想通貨取引所を承認した。
また他の中東諸国では、バーレーンが2019年に仮想通貨規制を整備している。仮想通貨取引所のライセンス制度を導入し、資金洗浄・テロ資金調達防止対策などのガイドラインを構築した。