個人投資家の仮想通貨取引を制限する香港規制案に「待った」 業界団体GDFが懸念表明

「適格投資家のみ取引可能」に反対

香港の暗号資産(仮想通貨)に関する規制案について、国際的な業界団体Global Digital Finance(GDF)が意見書を提出した。特に、香港での個人向け仮想通貨取引を制限し、適格投資家に限定するという点に強く懸念を表明した。

GDFは、大手仮想通貨取引所コインべースやHuobi、ブロックチェーン企業R3社などもサポートする業界団体だ。市場参加者や政策立案者、規制当局などと共有フォーラムを開催して、仮想通貨業界の行動基準を策定している。

この意見書は、香港の金融サービス・財務局(FSTB)が2020年11月に提出した規制案についてのものだ。FSTBは、マネロンおよびテロ資金調達対策強化の一環として、関連条例の対象範囲に仮想通貨取引所も含めることを提案。1月に業界団体や一般市民との協議を行っており、今年後半に、法案として香港の立法評議会に提出する予定となっている。

国際的な規制機関、金融活動タスクフォース(FATF)の勧告に準拠する努力となるが、GDFは行き過ぎなところがあると指摘している格好だ。

規制案では、すべての仮想通貨取引所を証券先物委員会の監督下に置き、さらに仮想通貨の取引がプロの投資家のみに制限される点を規定している。

香港の証券規則は「プロの投資家」を、少なくとも800万香港ドル(約1億円)のポートフォリオを持つ投資家として定義しており、個人投資家は仮想通貨取引が制限される可能性が出ている。

昨年9月に発表されたシティバンクの調査によると、2020年半ばには純資産が1,000万香港ドル(約1.3億円)以上の資産家は、香港の人口の7%。この調査結果を参考にすると、おおまかには約93%の香港の住民が仮想通貨取引所を使えなくなってしまうことが予想される状況だ。

国際基準からみても厳格すぎる規定

GDFは意見書で、「提案のうち、特にプロの投資家に限定したものは、FATFの勧告を超えたものだ」と指摘。そのような体制が導入されれば、個人投資家は運営ライセンスを持たないピアツーピアのプラットフォームを探すようになり、結果的に個人投資家は金融面でより高いリスクにさらされるとした。

GDFのアドバイザリー委員会議長であるMalcolm Wright氏は、シンガポール、英国、米国など他の法域では、個人投資家も仮想通貨取引を行うことができると述べる。これらの国もFATF加盟国であり、香港の案は、FATFの基準からみても厳しいものであると示した。

また、香港ビットコイン協会も、規制案に関して「ビットコインを扱う者が、貴金属や外貨を扱う者とは異なる扱いを受ける理由について、より正当で合理的なものである必要がある」と主張している。

すべての仮想通貨取引所を監督下に

香港では、昨年11月に香港証券監視委員会のAshley Alder最高経営責任者が、証券取引委員会が、仮想通貨取引所すべてを規制範囲とすることを発表。それまでは、セキュリティトークンと仮想通貨先物を取扱う仮想通貨取引所を監督下におく方針だったが、範囲を拡大した形だ。

背景には、BitMEXなどをはじめとするグローバル向けの取引事業者に対する規制強化の目的があるとみられる。

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