金融市場とビットコイン
日経平均株価が30年ぶりに3万円の大台を突破するなど官製バブルの様相を呈していた金融市場が、ここへ来て強いダウンサイドリスクにさらされている。東京株式市場では、日経平均株価は前日比一時600円安の2万8400円台まで下げた。米国株でも、高PERを許容できないテック関連などグロース株を中心に売りが先行している。
リスクオフ転換の発端となったのは、米長期金利(米10年国債利回り)の急騰だ。本日にかけて再び上昇し、一時1.54%水準に達した。ドル・インデックス上昇も続いており、マクロ要因として逆相関しやすいゴールド(金)市場やビットコインなど仮想通貨市場が下げている。ゴールド相場は一時1,600ドル台まで急落した。
ドルインデックス(指数)とは、為替市場における「ドル円」など複数の主要通貨に対する、米ドルの為替レートを指数化したもの。米ドルの強さを示している。
米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は、大規模な金融緩和の当面の継続と市場動向を注視する方針を示したものの、金利高対策の”牽制”としては弱いとみなされ売りが加速した。
新型コロナウイルスのパンデミックからの世界景気回復が望まれる一方、過剰流動性をもたらした金融緩和縮小(テーパリング)による官製相場の反動(巻き戻し)が警戒されている。
今晩には米雇用統計が、16~17日に米連邦公開市場委員会(FOMC)が予定されるほか、12日にはメジャーSQを控えており、個人投資家の信用維持率も毀損していることから、しばらくは足元不安定な相場が続くか。
また、毎年3月〜4月は、売却益の確定申告期限に伴う日米投資家の納税売り(現金化)の売り圧力があり、昨年のコロナ禍における異例の株高の影響で、例年より強い影響を及ぼす可能性も考えられる。
ビットコイン相場
5日の暗号資産(仮想通貨)市場。
株式市場のリスクオフを背景に、ビットコイン(BTC)価格は、前日比-7.83%の506万円(47.100ドル)と大幅下落した。
直近安値の4万3千〜4万5千ドル付近の下値支持線で耐えきれるかどうかが注視される。
一方、中・長期で俯瞰すると、同様の代替資産性を持つ金(ゴールド)よりも、強気相場が継続してきたことがわかる。(上図:矢印)
個別銘柄の動向
日本時間6日0時過ぎ、XRP(リップル)が一時前日比10%の52円台まで上昇する場面があった。
リップル社のGarlinghouse CEOに続き、共同創設者のChris Larsen氏が米SEC(証券取引委員会)に対し、訴状取り下げを求める申立を裁判書に提出したことなど新たな動きがあったことが好感された。
SECは、XRPの有価証券問題をめぐりリップル社を提訴しており、これを機にXRP価格は低迷していた。
関連:リップル訴訟まとめ──仮想通貨XRPへの影響・弁護士の見解
4日には、リップル社が、分散型台帳「XRP Ledger(XRPL)」のプライベート版をテストしていることが分かった。各国の中央銀行による利用を想定し、CBDCなどデジタル通貨を安全かつ柔軟に発行・管理できるソリューションを提供することを目指し、「CBDC Private Ledger」の開発を行っており、これも材料視された可能性がある。
CoinMarketCapの時価総額ランキングでは、XRPは、ADA、BNB、DOTに抜かれて時価総額ランキング7位まで後退するなど大きく出遅れており、循環物色が進む中で相対的な割安感による見直し買いと、4時間足などのチャート形状がブレイクを後押ししたものとみられる。しかしその後、株式市場とビットコイン大幅下落に伴い、XRPも上昇幅を大きく押し下げた。
関連:仮想通貨XRP(リップル)とは|関連プロジェクトと今後の将来性