ブロックチェーンによる次世代決済システムを展開
米大手銀行JPモルガンチェースが、ブロックチェーン分野の人材を大規模で拡充しようとしている。
現在そのホームページでは、「ブロックチェーン」に関連する求人募集が60件ほど掲載されており、勤務地はインド、米国、英国、シンガポールなど様々だ。
こうした求人の多くは、JPモルガンが2020年10月に立ち上げた「Onyx(オニキス)」という新部門に関係している。これは、ブロックチェーンを利用した次世代決済システム等を展開するための部門だ。
JPモルガンは、企業間決済に特化した独自のデジタル通貨「JPMコイン」を昨年から利用開始しており、Onyxはこれをサポートする必要性からも立ち上げられたとみられる。当初から100人以上の専任スタッフが配属された。
銀行間決済や小切手処理に活用
CNBCのインタビューで、JPモルガンのホールセール決済グローバル責任者Takis Georgakopoulos氏は、ホールセール決済(銀行間決済)の問題点に焦点を当てていると語る。
この分野で銀行業界は、より良いソリューションの登場により何億ドルも節約できるという。
例えば、JPモルガンは国際決済で最大のプレーヤーの一つで、100か国以上で1日6兆ドル(約655兆円)以上を動かしている。しかしアカウント情報のエラーなどのために決済が一度で成功せず、コストが発生する事例があった。
そこで、JPモルガンはブロックチェーンを活用した情報プラットフォーム「Liink(旧称:Interbank Information Network)」を開発。400以上の銀行や企業が参加し、決済情報の送信前に、適切なアカウント情報と規制形式を持っていることを検証することができる。
また、これまで物理的に行われていた小切手の処理も、小切手に関するデジタル情報のやり取りに置き換えることで、大幅に手続きが簡素化できる可能性もあるという。
Georgakopoulos氏は、ブロックチェーンを使用すれば「小切手処理に関するコストの75%を節約し、小切手を数分で有効にすることができるようになる」場合があると説明。また同氏によると、JPモルガンは、中央銀行デジタル通貨(CBDC)を発行しようとする国に向けた新しい決済プラットフォームを提供するサービスも検討中だ。
さらに、ブロックチェーンを活用したJPモルガンの最近の動きとしては、地球の外側を回る人工衛星同士が決済をする実験を行い、成功を収めた事例がある。
関連:米大手銀行JPモルガン、人工衛星でブロックチェーン決済を実験=ロイター