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NFT市場はバブルなのか?ブームの要因を考察(前編)|CoinGecko Japan寄稿

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

*本記事は、Understanding the Hype behind Non-Fungible Tokens(NFTs)の内容を日本語に翻訳、要約したものです。

はじめに

まずFungible Goodsとは、相互に代替可能なアセットです。1万円札などの「貨幣」が良い例で、例えば100ドル札の価値は、他の100ドル札(あるいは50ドル札2枚)と等しく扱うことができます。

製造番号や発行日など細かな違いはあるものの、日常生活の取引プロセスを簡略化するため、金融当局はこれらを「代替可能(Fungible)」とみなしています。

一方、非代替性(Non-Fungible)資産とは、美術品や土地の権利書、出生証明書などのような唯一無二のものであり、相互交換することが不可能な資産のことです。

非代替性資産の最も大きな問題に、真正性を証明が困難であるという点があります。

例えば、誰かがレオナルド・ダ・ヴィンチの名画「モナリザ」を盗み、その偽物を市場で販売したとしても、それが本物であることを確認するのは素人には難しく、美術品の専門家を呼んでその正当性を判断してもらう必要があります。

そこで登場するのが、今巷で話題の「NFT(Non-Fungible-Token:非代替性資産)」です。

NFTは、スマートコントラクト技術を利用して、固有の情報をブロックチェーン上に保存・記録します。これにより、NFTが作成されるたびに、唯一のNFTが検証可能に存在することになります。

また、NFTの作成者は、豊富なメタデータや安全なファイルリンクなどの詳細情報を暗号化することができます。このような技術は、資産を安全に、効率的に、検証可能な形で移転することを可能にし、所有権の扱い方に大きな影響を与えています。

ブームのワケ

NonFungible社とL’Atelier BNP Paribas社は、2020年だけでもNFT市場の時価総額は3億3,800万ドルになると推定しています。これは2018年からの年間平均成長率(CAGR)にすると、102%と著しい成長率です。

多くのクリプト専門家は、2021年がNFTの年になると予想していますが、新しい資金調達方法を過剰に宣伝した結果、大規模な詐欺が大量に発生した2017年の資金調達手段「ICO(イニシャルコインオファリング」ブームの再来になるのではないかと懸念する声もあります。

現在のブームは、正当なものなのでしょうか?それとも、単なる1つの巨大な投機的バブルなのでしょうか?

本記事は3つのセクションに分割されています。

最初に、誇大広告の要因を把握します。次に、NFTがどのように評価されているかを考察し、最後のセクションでは本稿で得られた知見に基づいて、業界全体の動向をまとめます。

A) 誇大広告の要因とは?

1. 人間は生来的に収集家である

切手やトレーディングカードのような伝統的な収集品を見れば、人は様々な理由で様々なものを収集していることがわかります。2012年の米国小売売上高34億5,000万ドル(時価総額全体の15%)に相当すると言われている玩具・模型業界の収集商品がその好例です。

この調査はNPDグループが行ったもので、オークションハウスやeコマースプラットフォームなどの他のチャネルは含まれていません。もし、この調査にオンラインゲーム、書籍、美術品などの異なる業界が含まれていたらと想像すると、収集品アイテム市場全体の規模は遥かに大きいと推測できます。

社会学者はさまざまな理論を提唱していますが、これらの収集行動には感情的な要因が大きく影響しているとされています。Everest Ventures Group(EVG)のMedium記事は、バーチャルアバターの服を引き合いに出し、この論点を見事に説明しています。

このデジタル投資グループは、仮想資産に現実のお金を費やすことは、オンラインマルチプレイヤーゲームが普及し始めた2000年代初頭から始まったと強調しています。競争力を高めるための機能的なアセットも一部のゲームでは存在しますが、プレイヤーの能力の差別化に全く貢献しないファッション又はコスメアイテムに対する需要はそれ以上です。

Fortnite、Dota 2、Counter-Strikeなどの一般的なゲームは、スキン(仮想のコスチューム)やその他コスメアイテムの販売収益で成功しているFree-to-Play(F2P)ゲームの好例です。

EVGによれば、ゲーム内での滞在時間が長くなるほど、人々のゲーム、特にゲーム内のコミュニティに対する感情的な愛着が増すといいます。多くのプレイヤーは、自分のバーチャルな所有物や加わっているコミュニティに愛着を持っており、中には現実よりも仮想の資産やコミュニティを好む人もいます。

ゲーム内で自身の容姿やコミュニティの認知度を高めることは非常に重要であるため、アセットへの課金を厭わないユーザーも多いでしょう。

全てのNFTがゲームをベースにしているわけではありませんが、強い類似性があると言えます。クリプトコミュニティはバラバラですが、私たちの多くはクリプトという成長し続けるムーブメントの一部であることを誇りに思っています。

開発者やアーティスト、NFTプロジェクトを支援することは、私たちの心の琴線に触れる何かがあるのでしょう。また、単に日頃のストレス解消のためにNFTを愛好する人もいます。

要するに、NFTで遊んだり、NFTを買ったりするのは、共同体的な要因であることが多いのです。

EVGは、従来のバーチャルアセットの普及を阻害している要因の一つとして、実際の所有権がないことを挙げています。ゲームの世界では、開発会社が世界を支配しているため、アイテムの用途はゲーム内に限定されます。

このような状況を踏まえると、この問題を解決できるNFTに大きな将来性があることが分かります。NFTは従来のデジタル資産とは異なり、感情的にも法的にも、所有者に「本物」の所有権を与えることができます。

実際、NonFungible社とL’Atelier BNP Paribas社が行ったNFT保有者へのアンケート調査では、68.4%の回答者が(「いいえ、単なる投資です」ではなく)NFTに感情的な愛着を持っていると回答しています。したがって、NFTはより強い感情的価値を備える、全く新しい収集品アイテムだということです。

2. 可処分所得の増加

収集の起源は、原始社会で奇岩を集めていた時代まで遡ります。時が流れるにつれ、「収集家」の体質は進化してきました。

社会心理学者のアンドリュー・ディロンは「現代の収集家は、消費や生存のためというよりも、楽しみや展示あるいはその他の無意識的動機で物を収集する人々を指す。こうした人々は、「富の余剰」が生まれると同時に現れる」と述べています。

つまり、ディロンの解釈では、富が収集を生むというのです。当初は、裕福で強力な支配階級だけが、自分の興味を追求するための経済的な自由を持っていました。

しかし、近代社会の発展に伴い、大衆の間でもレジャーが浸透し、収集活動も一気に一般化し始めたのです。

NFT業界に目を向けると、この仮説に沿ってNFT市場が発展してきたことと、いくつかの顕著な類似点があります。

アンドリュー・スタインウォルド氏によるNFTの歴史講座では、初期のNFTプロジェクトで最も成功したものの一つがCryptoKittiesでした。彼自身の言葉を借りれば、「人々は狂ったようにバーチャルな猫を購入し、繁殖させ取引していた」のです。

注目すべきは、CryptoKittiesの成功が2017年の仮想通貨バブルと重なったことです。バブルが崩壊し、クリプト市場が下落サイクルに入ると、NFT市場の活気は同時に消失しました。NonFungible社は、その後の期間を統合と安定化の期間と捉えています。

新しいNFTプロジェクトは急増しましたが、そのほとんどは軌道に乗らず最終的には失敗に終わりました。

2020年になると、仮想通貨市場全体の時価総額が2017年から2018年の強気相場と同様のレベルに達しました。それと同時に、NFTプロジェクトは再びペースを上げ始めました。

以下のデータを見ると、2020年の方が市場の成長率は大きいということが分かります。

出典: NonFungible

現在、市場に出回っているNFTの多くは、コレクション性とエンターテインメント性を中心としたものです。過去の市場動向や人間の心理を考慮すると、NFT消費は可処分所得が高いとき、つまり強気相場において多く発生すると考えるのが妥当です。

3. 収益化

NFTには、いくつかのマネタイズ手法が存在します。

Nonfungible社によれば、これを裏付ける指標がいくつかあるといいます。

  1. 2020年第4四半期には、発行市場(=最初の購入先)よりも、流通市場(=P2Pでの販売)での合計販売額が大きかった。これは、NFTトレーダーがNFTを発行時に購入し、より高い価格で転売できているということを示唆している。
  2. NFTの購入者数は販売者数を上回っている。これは、より多くのユーザーがNFTを買い占めていることを示唆しているが、その理由は、転売して利益を得るためや、保持・使用するためなど、さまざまな可能性がある。
  3. 特定のNFTカテゴリー(例:メタバース、スポーツ)の流動性率(流通市場で取引されたNFTの取引高を、各資産の総供給量で割って算出)が高い。これは、NFTの販売者が、これらの分野で大きな投機的価格を動かしていることを示唆している。

NFTトレードは、適切に行えば大きな利益が期待できます。ここ数ヶ月間のメディアの注目度(後述)を見ればそれは明らかです。

Grimesのような有名人は、600万ドル相当のNFTアートトークンを作成・販売し、「最も希少なPepe Meme」は32万ドルで販売されました。そして、有名な芸術家Beepleはたった1枚のNFTアートを6,900万ドルでオークションで販売することに成功しました。

全てのNFTに同じ価値があるわけではありませんが、NFTトレーダーはこのような莫大な利益に魅了されるに違いありません。さて、最後に参考データとしてもう一つ、NFT市場のプラットフォームでの市場活動(*下図)に目を向けてみましょう。

出典: Messari

Messariの集計した売上高は、Opensea、Zora、SuperRare、Rarible、Foundation、MakersPlace、KnownOrigin、Async Artなど、合計8つの主要なNFTマーケットプレイスのデータを基にしています。ボリュームは、2020年9月以前はほとんどなく、2020年の第4四半期を通して徐々に上昇していきました。

しかし、2021年2月には販売量が爆発的に増加し、2億ドル強に達しています。

4. 市場認知度の向上

さて、現在のハイプを導いている要因のは、この記事で取り上げた内容が全てなのでしょうか?それとも、マスメディアの報道、業界内外からの批評、ブランドの推奨が主な要因となっているのでしょうか?

DoubleVerify社が2020年9月に実施した調査によると、コンテンツ消費はパンデミック中にピークを迎えていることがわかりました。

世界的に見て、消費者の可処分時間や情報へのニーズは増加しました。消費者が1日にコンテンツを消費する時間は、平均で3時間17分から平均6時間59分へと倍増しています。

出典: DoubleVerify

そして、Googleトレンドにおいては、「NFT」と「Non-fungible token」の両方の検索関心度が、2021年2月末頃にそれぞれ過去最高になっていることがわかります。この値は、その期間のチャート上の最高点に対する検索関心度を表しており、100の値はその用語の人気がピークに達したことを意味し、50の値はその用語の人気が半分になったことを意味します。

出典: Google Trends

これらのデータは、2020年を通してNFTが健全な有機的成長を遂げたにもかかわらず、コンテンツ消費量の増加が市場認知度に与える影響はさほど大きくなかったということを示唆しています。それよりも考えられるのは、ここ数カ月の間に主流メディアからの注目度が急上昇したことです。

NBA TopshotやChristie’sのような高額商品がここ最近のヘッドラインを賑わせており、Mark Cuban, Lindsay Lohan, and Grimesなどの有名人も引き続き話題を提供しています。

5. オンラインの世界が支配している

おそらく最も見過ごされている点は、デジタルであることの重要性です。純粋にオンラインの世界で活動することに慣れているクリプト愛好家にとって、この点は重要ではありませんが、一方で新しく参入する人々にとっては、オンライン決済などのデジタルな手続きがまだ障壁になっている可能性はあります。

しかし、そのような考え方にも変化の兆しが見えてきています。

出典:Statista Statista

消費者は何年も前からデジタル経済にシフトしており、この変化は新型コロナウイルスの発生によってさらに加速しています。2014年から2020年にかけて、世界のEコマース取引の売上高は、年率17.8%で着実に成長しています。

今後の売上予測を見ると、今後の成長は指数関数的であること予測できます。

もう一つの興味深い指標は、人々の1日当たりの平均オンライン滞在時間です。

出典:Statista Statista

2019年、一人の人間が携帯電話に費やす時間は平均2時間12分、デスクトップに費やす時間は39分でした。新型コロナウイルスは、オンライン化の波を一層加速させたと言えるでしょう。

オンラインコンテンツの消費量の増加(DoubleVerify社の調査に基づく)と相まって、本質的に仮想世界への時間とコミットメントは激増しています。

EVGの調査結果にもあるように、消費者は、バーチャルな資産やコミュニティに長く滞在するほど、感情的な愛着を持つようになります。現在の市場トレンドに基づけば、NFTの価値とその人気の上昇には十分な理由があるように思えます。

消費者は、新しいオンラインメディアを探索したり、取引したりすることに熱心になってきており、自然にオンラインで過ごす時間が長くなっています。NFTは、デジタル製品であるがゆえに、この市場のギャップを埋めることができます。

NFTの中には、アート作品やトレーディングカードなどの伝統的な商品と直接競合するカテゴリがありますが、NFTにはいくつかの優位性があります。例えばNFTのアート作品は、オンライン上で数分で売買・閲覧が可能ですが、物理的な絵画は輸送が必要で、家庭での閲覧に限られてしまいます。

またオンラインで写真をアップロードすることは簡単ですが、実物資産を所有・管理したり、絵の写真を撮ってインスタグラムに投稿するといった行為はそうではありません。

多くの人にとって、現実と仮想世界の境界はますます曖昧になっています。NFTはそのギャップを埋め、デジタルメディアで彼らの社会的なニーズに応えることができるかもしれません。

企業紹介

CoinGecko

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