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インターチェーン時代の幕開けか、Cosmosでクロスチェーンのトークン転送が可能に

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

クロスチェーン通信プロトコル「IBC」を導入

異なるブロックチェーンの相互運用実現を目指す「ブロックチェーンのインターネット」コスモス(Cosmos)が、ブロックチェーン間通信(IBC=Inter-Blockchain Communication)プロトコルを有効化した。IBCの導入により、異なるブロックチェーン間でトークンの転送が可能になる。

IBCは、先月実施されたCosmosの最新アップグレードStargateに組み込まれていたが、CosmosのガバナンストークンATOMの保有者は、試験運用期間とテストを経てIBC導入の投票を行った。その結果、1億1200万対75という圧倒的な支持を受け、3月29日、IBCが有効化されるに至った。

IBCとは

IBCはデータの転送と認証、信頼性を処理するモジュール間の通信プロトコルで、コンセンサスアルゴリズムやプログラミング言語が異なる様々なブロックチェーンに対応が可能。IBCはネットワークの標準的な通信プロトコル群TCP/IPをモデルにしており、多様なユースケースやブロックチェーンに適用できる汎用的なソリューションとなることを目指しているという。

IBCプロトコル上に用途に応じたアプリケーション層を構築できるが、最も有望視されているユースケースが、クロスチェーンの資産移転(トークンスワップ)だ。IBCが有効化されたことで、CosmosのネイティブトークンATOMは、他のIBC対応のブロックチェーンと互換性を持ち、相互運用が可能になった。

他のユースケースとしては、アトミックスワップやマルチチェーンのスマートコントラクトなどのクロスチェーンアプリの構築が挙げられている。また、ブロックチェーンアプリのデータを複数のチェーンに分割するシャーディングにより、スケーラビリティ問題の解決にも有効だと考えられている。

Cosmosエコシステムのため投資ベンチャー設立

Cosmosの開発を行うTendermint社は、IBCプロトコル導入に合わせ、2,000万ドル(約22億円)規模の投資ファンド『Tendermint Ventures』の設立を発表した。現在、Cosmosエコシステムは、200を超えるプロジェクトで構成されており、その時価総額総計は600億ドル。IBCプロトコルは、Cosmos内の様々なブロックチェーン間で資産やデータのやり取りを可能にする基盤となる。

Tendermint Ventures(以下、TVと表記)は、このようなCosmosエコシステム内で構築される「インターチェーンの相互運用性を実現する価値あるプロジェクト」に投資するという。また、資金提供だけでなくアドバイスをはじめ、コミュニティづくりや成長を促すリソースを提供し、プロジェクトの市場参入を支援する。

Tendermint社は、同ファンドの役割をイーサリアムブロックチェーンの開発支援を行うConsenSys Venturesに重ねているようだ。TVを率いるJin Kwon氏は、ファンドが支援するプロジェクトがお互いに補完し合うような関係を築くことを、長期の目標に定めているという。一方、当面の目標としてCosmos内に強固な分散型金融(DeFi)エコシステムを創ることに注力すると説明。

TVの投資先に選ばれたプロジェクトの一つが、高利回りのDeFi貯蓄口座「Anchor」をローンチしたTerraブロックチェーンだ。例えば、TerraがIBC規格を導入した場合、CosmosのトークンATOMを利用した融資も可能になる。

TVは、Terra以外に、気候変動ソリューション市場のRegen、DeFiアプリのサポートモジュールを提供するIRIS、そして規制されたDeFi製品の基盤を提供するTgradeを、初期投資プロジェクトとして発表した。

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