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第二回仮想通貨交換業等に関する研究会|匿名性通貨や登録審査など重要論点まとめ

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

研究会での重要論点
交換業者の参入障壁や、登録審査のハードルの高さ、また匿名通貨への対処など様々な重要議題が議論されました。

仮想通貨交換業等に関する研究会(第二回)重要論点まとめ

4月27日に金融庁で行われた「仮想通貨交換業等に関する研究会(第二回)」が開催されました。

今回の開催は仮想通貨に関して起こってくる問題にどう対処していくのか、第一回よりもより踏み込んだ議論がなされました。

印象的だったのは、メンバーと自主規制団体側との最後のやり取りです。

メンバー等からは「より規制すべきだ」との声もあった一方で、日本仮想通貨事業者協会の会長兼株式会社マネーパートナーズ代表取締役社長であり、オブザーバーとして参加していた奥山泰全氏(以下、奥山氏)は、インターネット証券の黎明期を例に挙げ、「どのように改善されていくのかというところは少し見守ってほしい」と相次ぐ厳しい意見に返答していました。

主なメンバーの意見と、それに対応した奥山氏の発言を対応させてまとめました。(研究会では一人一人メンバーが意見を述べた後、最後に奥山氏の発言がありました)

1.仮想通貨交換業者が顧客口座の資産を預託されている点について

研究会メンバーの岩下直行氏(京都大学公共政策大学院教授)は、仮想通貨取り扱い業を銀行業に該当するとしているスイスの例を挙げながら、仮想通貨交換業者の中で、顧客の資産を管理する点について「通常の銀行システムと技術的には類似の構造」、「銀行と比較しても安全性は低いだけでなく、規制も緩いものだ」といった旨の指摘をしました。

その他様々な意見が挙がる中で、こういった指摘に対して奥山氏は以下の様に応じました。

「各業者について預かり資産というのは兆単位という話もあるが、実態は最大でも数千億にとどまるものでございます。

預かり資産に関してもはピンキリでございまして、数十億円という会社もあれば、数億円というような会社もあるので、銀行と同等の規制をしていくというのは過度ではないでしょうか」

2.交換業者の参入障壁、登録に関しての審査に関して

また、研究会メンバーの中島真志氏(麗澤大学経済学部教授)からは現在金融庁への仮想通貨交換登録業の登録に関してを含めて、厳しい指摘がありました。

100社を超える新規参入がある状況がある状況は、異例なものではないか。

世界の交換業者は130社ほどだと言われているが、一国でその数に匹敵するような状況が出てきている。

参入規制が緩いのではないか。今回(コインチェック社事件)の流出を鑑みれば、もう少し参入規制を見直すべきだ。」

それについても奥山氏は以下のように返答しました。

「100社超申請があるという話については、海外の業者様が多く流入されてきている、申請してきているところも多いようなところでございます。

日本が先行して仮想通貨に関する法律を作っているので、日本で正規ライセンスをとって国際的に認めてもらいたいという動きもあるため、それを鑑みると100社超という数字は異常な数字ではないと感じているところでございます。」

また、認定自主規制団体の運営についても奥山氏は「認定自主規制団体がきとんと機能する為には、10社、20社ではコスト的に運営は厳しく、最低数十社ないと民間で自主規制団体を運営していくのは難しい」と述べました。

3.匿名性の高い通貨をどう規制していくかについて

匿名性の通貨に関しても、楠正憲氏(Japan Digital Design 株式会社最高技術責任者)からも意見があがりました。

「ランサムウェア等がモネロ、Zキャッシュなど匿名性の高い通貨で身代金を要求する例が増えている

そこに資金が流入していく事については防がなければならない現状がある。

しかし、一概に規制してしまえばいいというわけではなく、もし規制で日本で上記通貨が規制され、ランサムウェアの被害に実際にあった場合にはどうするのか

警察などと協力して、その時だけ所有を認めたりするのか、議論されるべきだ」

4.その他

その他、森下哲朗氏(上智大学法科大学院教授)からは以下の様な旨の発言がありました。

「ICO一つとっても多様な種類のもの(株式、社債に近いもの、ビジネス上の投資のようなもの)があり、一概に一括りで考えるのではなく、それぞれにどんなリスクがあり、どんなリスクに投資がされているのか、きちんと議論されるべきであり、ICOの実態の把握や分析をすべきだ。」

さらに、奥山氏は以下の様に述べました。

「改正資金決済法に基づく仮想通貨取引に関して、仮想通貨交換業者に対する1回目の検査の中で、ずさんな実態が出てきたというところは我々業界としては恥じるべきだとは思いますが、それがどのように改善されていくのかというところは少し見守っていただきたいとお願いをしたいというところもございます。

インターネット証券や外国為替証拠金取引が出てきた時と同様に、黎明期のものの中、どれだけ誠実かつ忠実に業務を運用できるような業者になるのかという点については、(改善サイクルとしての)時間的なご猶予をいただければと思います」

次回の会合では、「仮想通貨交換業者に関しても何が問題なのか(ex.分別管理なのか、秘密鍵なのか)」をしっかり具体的に話していこうという旨が神田秀樹座長(学習院大学大学院法務研究科教授)から述べられ、第二回の研究会が締めくくられました。

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