One RiverもビットコインETFに参入
米大手資産運用企業「One River Asset Management」傘下の仮想通貨ヘッジファンド「One River Digital Asset Management(以下、One River Digital)」が、ビットコインETF申請の目論見書をSEC(証券取引委員会)に提出した。米SECのクレイトン元委員長が顧問役を務める。
このビットコイン(BTC)の上場投資信託は、「One River Carbon Neutral Bitcoin Trust」と名付けられカーボンニュートラル(炭素中立)の仕組みが取られるもので、ビットコインマイニングによる環境への影響を考慮する新たな投資手段の提供を目指す。具体的には、One River Digitalが南米ウルグアイのカーボンクレジット関連企業Moss Earthと提携、炭素中立に達成するためにMCO2トークンを購入する。
「カーボンクレジット」とは、再生可能エネルギーの導入や植林等の森林管理によって実現できた温室効果ガス削減・吸収量を決められた方法に従って数値化し取引可能な形態にしたもの(環境省参照 )。One River Digitalは、Moss EarthのMCO2トークンを持って認証されたカーボンクレジットと交換することができる仕組みを提供している。
石炭など再生できないエネルギーによって採掘されたビットコインを巡るエネルギー消費問題は、現在業界が取り組まなければならない最重要課題のひとつとなっており、投資企業も対策に乗り出した。
顧問役はSECのクレイトン元委員長
One River DigitalはこのビットコインETFがニューヨーク証券取引所のArca取引所へ上場することを目指し、Coinbase Custodyを指定カストディ企業とする。
また、今回注目されるのはOne River Digitalの規制顧問役を務める人物で、それがSECのクレイトン元委員長だ。
クレイトン元委員長は昨年12月にSECを退職し、今年の3月よりOne River Digitalの規制関連の諮問委員会に参加している。金融や銀行業、資本市場のデジタル化に対する意見を諮問委員会に提供してもらい、同社の透明性向上に繋げることが主な目的だ。
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クレイトン元委員長はSEC在職時に、ビットコインの上場投資信託を最後まで承認しなかったことや、米リップル社を提訴したことなど仮想通貨業界へ厳しいスタンスで向き合っていた人物でもある。ビットコインETFの不承認については、比較的小規模の市場や市場操作の懸念、機関レベルのカストディの欠如を理由にしていたが、かつて政府の「インサイダー」だったため、One River Digitalがクレイトン元委員長の知見を生かしてビットコインETFを承認させられるか、ビットコインの長期的展望に関わる重要な要素になり得えそうだ。